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丁寧に生きること

わたしも若い頃は人並みに夢や野望を持っていました。というよりむしろ、昔のわたしは非常に自惚れが強く、自信過剰で、そのぶん人並み以上に手に入れたいものや成し遂げたいことを胸に秘めていたと思います。じっさい、30歳をすこし過ぎるくらいまでは、そのままいけば成功者と呼ばれるであろう道を歩んでたりしました。

しかし、そういったエゴイスティックな面に加え、家系のカルマとでもいうべきものに衝き動かされて博打と薬物に溺れていった結果、わたしの人生ラインは幸運から程遠いところへとすごい速さで転移していきました。そして、夢や野望をかなえるどころか職も人脈もお金も一切を失って自己破産をしたのにさらに新たな借金が積み重なるという、いまこうして書いてみるとそれが自分の人生に起きたこととは思えないくらい、最低で最悪の生き地獄を経験しました。

そのあたりのことは in SPIRE にもうすこし詳しく書いていますので、興味のある方は読んでみてください。

そんな最悪の時期を脱してから早いものでもう15年近く経っていますが、いまのわたしには人生で成し遂げたいこともなければ、いつかは手に入れたいようなものも特にありません。それどころか、自分(エゴ)というものが幻想であることに気がついてしまったので、こういう人間になりたいとか、自分らしさを追求したいというような欲求もなくなってしまいました。

そうなってみれば、他人からどのように見られてもまったく気になりませんし、生きていくのにたいしたコストもかからなくなって、それはそれでなかなか快適ではあります。そんなんじゃ楽しみがないのでは? と思われるかもしれませんが、それがそうでもないのですよね。なぜなら、すべてを全体性(神といってもいいですが、わたし自身はあまり敬虔な人間ではないので、全体性と呼ぶほうが好みです)の中で起こることが起こるにまかせていれば、つまりすべてを明け渡して生きていれば、そこで起きてくることは、自分の力で人生を切り開こうと足掻いていたときよりもずっと、楽しくて面白くて不思議で、そして愛に満ちているからです。

記事の中で色々なことを語り、また質問箱に質問をいただいたら必ず自分に出せる最良の回答をするように心がけてはいますが、なにぶんこんな人間なので、「君たちはどう生きるか」なんていうことについては語る言葉を持っていません😌 じっさい、わたしがそうであったように、誰も自分の人生を自分の思ったとおりに生きることなんて出来ません。どんな人間もなんらかのカルマを持って生まれているので、そのカルマが終わるまではそれと向き合い続けるのが人生です。ですから、どう生きるべきかを考えることは無意味ではありませんが、すべてがその考えた通りにいくのなら、生まれてくる理由がありませんね。

ただ、そんなわたしにも、ひとつだけ心がけていることがあります。それは「丁寧に生きる」というものです。具体的な「生き方論」ではないのですが、もしかしたらこの考えが響く人もいるかもしれないと思って、いま書いています。

丁寧に生きるとは、文字通り、丁寧に生きていくということです。人生のすべての局面におけるありとあらゆる行動、言動、所作や選択といったものを丁寧にやるということです。逆にいえば、なにひとつ雑にやってしまわないということです。

歩いているのなら、歩くということに集中し、身体の動きを滑らかに、かつ俊敏に、そして安全にも気を配ります。人と話すときは、相手の言葉を傾聴し、自分が喋るときにはできるだけゆっくりはっきりと言葉を発し、姿勢や表情にも気をつけます。ご飯を食べるときはしっかり噛んでよく味わい、なるべく綺麗に食べます。だらけるときはだらけることに専念して、中途半端にならないようにします。などなど

それぞれの局面において、どうあるのが丁寧か、ということについてはそんなにこだわっていませんが、そのつもりでいればなんとなく丁寧にはなっていくものです。完璧にやろうとする必要はありません。一生懸命でもありません。ただ、丁寧にやる。それだけです。

わたしの考えでは、ものごとを丁寧にやろうとするとき、その人は「いま、ここ」に通じています。そうすると現実の解像感がぐっと上がってきて、生きていること、もっというと自分が存在している感じをハートで捉えられるようになるでしょう。丁寧にやったからといって、結果がうまくいくとは限りませんが、積み重なっていけば、長い目で人生はよくなっていくと思います。

丁寧に生きるということは、世界を丁寧に扱うということです。そしてそれは、自分自身を丁寧に扱うことと同じですから、あなたの丁寧な行いは、あなたにいずれ返ってくるはずです。あなたも丁寧道、極めてみませんか?🙂


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