メルシーベビー

言葉の国、文字通り、本棚7番街に住んでいます。

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記事一覧

みずから名乗るとモヤモヤする

 結婚する前の時代はあったけど、それを「独身」と呼ぶのはずっと変な感じがしていた。大人になりきれてなかったのかもしれない。たとえば小さな女の子が結婚していないの…

7

女子教育と出生率

 これをどう捉えるか。誰の頭にも一瞬、「じゃあ逆をやれば、日本の少子化は解決なのでは……?」がよぎると思う。noteで少子化対策について考えている記事は、自分が見る…

髪を売る

 この髪を抜いてな、かつらにしようと思うたのじゃ……。  羅生門に出てくる老婆のセリフだけど、髪の毛が売り物になるというのは、わりとあった話らしい。  小学生の…

本音はそうっと言ってほしい

 「嘘をつかないのが美徳」というのはわかるのだけど、上手な嘘が欲しいときってある。たまに「いついかなるときも本当のことしか言わない。俺は嘘はつかない(だから気高…

結婚相談所のバイトを離れてからも、ついこの業界を気にしてしまうんですが。最近知って興味深かったのが、育児体験つき婚活パーティー。
https://www.dragoncity.ne.jp/news/kosodate.html

通常よりマッチング率が高かったという報告も。へえー。

ずっと賢さに憧れている

 「絶望は愚か者の結論」だと言われる。悲観して絶望してしまうのは楽なことで、「終わった」ことにしてしまえば、それ以上なにもしなくて済む。それは楽ではあるけど怠惰…

結婚すると、結婚しなくてよくなる

 結婚・出産したらメンタルが安定した。という話をすこし前に書いた。  なんでだろうと考えて、きっと正当化する必要がなくなったからだ、と気づく。結婚しない理由、…

50

「偽韓国語」というジャンルについて考えている。たとえば乾杯を「ノミホセヨー」、サンドイッチを「ハムハサムニダ」とか言うやつ。他にもあるんだろうか。あるんだろうな。
偽中国語というのもあり、「我遅刻」「汝今何処」「我今西口也」みたいなやり取りを言うわけだけど、韓国語verも面白い。

子どもを子どもと思えるまでに

 こんな話を聞く。  ある夫婦が、子どもは持たない前提で結婚した。ところが男性のほうがどうしても子どもが欲しくなり、奥さんに頼みこんで産んでもらう。奥さんの出…

23

インド料理屋にカレーを食べに行く。ネパール人の店員さんから
「日本語あまり得意じゃない?お国は?」
と言われてしまい、とっさに
「台湾」
と答えて帰ってきた。もう行けないよあの店。

いま思えば、秋田って答えればよかったかもしれない。んだー秋田弁で話してけれーって言えばよかった。

8

深夜のすべて

むかしラジオか何かで、ある声優が話していた。その世界ではかなりのキャリアがある人らしかった。 「深夜アニメをやったとき、『あなたはすごくうまいので、これから絶対…

10

家庭を持つ。メンタルの安定

 霧雨の降る日に、旦那さんが傘を差し、自分が赤ちゃんを抱いて3人で歩いた。そこで味わったのは、かつてないメンタルの安定だった。幸福感とは違う。なにかとても安定し…

24

10代の頃「文章書くの好きなんだ」「わたし絵描けるよ。メルシーちゃんが書いた詩に、わたしが絵をつけるのいいね」なんて会話をした人が二人いて、でもどっちも実現しなかった。音楽をやっている人とは、絵を曲に入れ替えて同じ会話をしたけど、やっぱり会話だけで終わった。そういうことってある。

12

0円で幸せになる

 夢を見るのはタダだけど、見せてもらうには金がかかる。最近の詐欺事件を見ているとそんなことを思う。加害者が書いた「ターゲットになりそうな人」の項目には「夢を持っ…

21

むかし話、いまの話

 両親は完璧ではなかったけれど、いいところもたくさんあった。最近は「毒親」なんて言葉が流行っていて、ひどい親御さんのエピソードには事欠かないのだけど、そんなとき…

12

君の名は

 フリードリヒ2世と言えば、赤ちゃんを対象にした非道な実験をした人である。と言っても、本人が極悪人だったとかそんなことではなく。フリードリヒさんはただ、赤ちゃん…

10

みずから名乗るとモヤモヤする

 結婚する前の時代はあったけど、それを「独身」と呼ぶのはずっと変な感じがしていた。大人になりきれてなかったのかもしれない。たとえば小さな女の子が結婚していないのはあたり前で、それを独身とは呼ばないように。

 結婚してからは既婚者になり、それから更に「ママ」になったわけだけど、これらも自称するにはなんだか違和感がある。誰かが自分を見て「既婚ね」「お母さんなのね」と言うのは構わなくても、みずから名

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女子教育と出生率

女子教育と出生率

 これをどう捉えるか。誰の頭にも一瞬、「じゃあ逆をやれば、日本の少子化は解決なのでは……?」がよぎると思う。noteで少子化対策について考えている記事は、自分が見る限りこのデータに言及しているものはなかった。

 ひょっとしたら、きちんとした社会性のある人は、こんな引用をひっぱってこないのだろうか。でも引用元はユニセフだしな。どこぞのマッドサイエンティストが女子教育を抑圧するべく捏造したデータ、

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髪を売る

 この髪を抜いてな、かつらにしようと思うたのじゃ……。
 羅生門に出てくる老婆のセリフだけど、髪の毛が売り物になるというのは、わりとあった話らしい。

 小学生のころ読んだ『忍たま乱太郎』でも、そんなシーンがあった。箱に詰められた髪の毛を見て、乱太郎が「うわっ、気持ち悪い!」と言うと、その所有者のキリ丸に怒られる。「気持ち悪くなんかないやい、大事な商品だい」。

 売り物にするために集めていた

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本音はそうっと言ってほしい

 「嘘をつかないのが美徳」というのはわかるのだけど、上手な嘘が欲しいときってある。たまに「いついかなるときも本当のことしか言わない。俺は嘘はつかない(だから気高い)」みたいに言っている人を見ると、心底冷徹だなと思う。

 むかし父とこんな話をした。たとえ耳に痛い話であっても、本音を言ってほしいかどうか?父は「言ってほしいね。そういうのが誠実さってもんだ」。意見の違う自分は喰ってかかる。

「じ

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結婚相談所のバイトを離れてからも、ついこの業界を気にしてしまうんですが。最近知って興味深かったのが、育児体験つき婚活パーティー。
https://www.dragoncity.ne.jp/news/kosodate.html

通常よりマッチング率が高かったという報告も。へえー。

ずっと賢さに憧れている

 「絶望は愚か者の結論」だと言われる。悲観して絶望してしまうのは楽なことで、「終わった」ことにしてしまえば、それ以上なにもしなくて済む。それは楽ではあるけど怠惰であり、もっと言えばバカなのだ。

 逆に、賢い人は希望を見つけ出す。どうにか事態を突破できないか、あるいは明るい見通しがどこかに見出せないかとあがく。自分が「賢い」という言葉に感じるのは、そういうことだ。希望を持ち続けて、あがき続ける力

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結婚すると、結婚しなくてよくなる

 結婚・出産したらメンタルが安定した。という話をすこし前に書いた。


 なんでだろうと考えて、きっと正当化する必要がなくなったからだ、と気づく。結婚しない理由、出産しない言い訳を考えなくて済む。これこれこういう理由でどちらもしないんです、と、いちいち申し開きせずに済む。自分の境遇を逐一、正当化しなくていい。

 とはいえ、かつて誰も「どうして結婚しないの?」なんて聞いてきたことはなかった。親

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「偽韓国語」というジャンルについて考えている。たとえば乾杯を「ノミホセヨー」、サンドイッチを「ハムハサムニダ」とか言うやつ。他にもあるんだろうか。あるんだろうな。
偽中国語というのもあり、「我遅刻」「汝今何処」「我今西口也」みたいなやり取りを言うわけだけど、韓国語verも面白い。

子どもを子どもと思えるまでに

子どもを子どもと思えるまでに

 こんな話を聞く。

 ある夫婦が、子どもは持たない前提で結婚した。ところが男性のほうがどうしても子どもが欲しくなり、奥さんに頼みこんで産んでもらう。奥さんの出した条件は、育児はすべて夫がすること。
 無事女の子が生まれたあと、男性は約束を極力守り、ひとりで子育てをする。奥さんはなにも手伝わない。ワンオペが辛くなった夫のSOSにもほとんど応えない。男性は「確かに約束はしたけれど、彼女にとっても自

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インド料理屋にカレーを食べに行く。ネパール人の店員さんから
「日本語あまり得意じゃない?お国は?」
と言われてしまい、とっさに
「台湾」
と答えて帰ってきた。もう行けないよあの店。

いま思えば、秋田って答えればよかったかもしれない。んだー秋田弁で話してけれーって言えばよかった。

深夜のすべて

深夜のすべて

むかしラジオか何かで、ある声優が話していた。その世界ではかなりのキャリアがある人らしかった。

「深夜アニメをやったとき、『あなたはすごくうまいので、これから絶対売れると思います!頑張ってください!』ってお便りが届いたんです。深夜アニメやってる奴の、全員が新人じゃねーぞ!」

もう売れている人に対する、なかなかのお便り。

アニメはあまり見ないから事情は知らない。でもそんな勘違いをしてしまうくらい

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家庭を持つ。メンタルの安定

 霧雨の降る日に、旦那さんが傘を差し、自分が赤ちゃんを抱いて3人で歩いた。そこで味わったのは、かつてないメンタルの安定だった。幸福感とは違う。なにかとても安定した気持ち。パズルのピースがきちんとはまって落ち着くような。

 こういうものを味わえるということは、やっぱり人間、結婚して子どもを産むことが幸せに違いない。なんてことは言わない。

 メンタルが不安定な時期に結婚・出産していたら、どうな

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10代の頃「文章書くの好きなんだ」「わたし絵描けるよ。メルシーちゃんが書いた詩に、わたしが絵をつけるのいいね」なんて会話をした人が二人いて、でもどっちも実現しなかった。音楽をやっている人とは、絵を曲に入れ替えて同じ会話をしたけど、やっぱり会話だけで終わった。そういうことってある。

0円で幸せになる

0円で幸せになる

 夢を見るのはタダだけど、見せてもらうには金がかかる。最近の詐欺事件を見ているとそんなことを思う。加害者が書いた「ターゲットになりそうな人」の項目には「夢を持ってない」などの内容があり……。

 自力で夢を見られず、ひとさまに見せていただこうと思えば、観覧料くらいは取られる。ということは、ここを自前でなんとかできれば、そのぶん節約になる。かもしれない。

 むかし岡田淳の児童向け文学で「夢見る

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むかし話、いまの話

むかし話、いまの話

 両親は完璧ではなかったけれど、いいところもたくさんあった。最近は「毒親」なんて言葉が流行っていて、ひどい親御さんのエピソードには事欠かないのだけど、そんなときこそ「してもらってよかったこと」を考えるのは悪くない。

 両親はよく、兄とわたしが小さかった頃の話をしてくれた。

 幼い兄のしたことと言えば──たとえば、ハンガーで父親の鼻をひっかけて引っ張ったこと。父が帰宅するなり「お父さんおかえ

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君の名は

 フリードリヒ2世と言えば、赤ちゃんを対象にした非道な実験をした人である。と言っても、本人が極悪人だったとかそんなことではなく。フリードリヒさんはただ、赤ちゃんを集め、言葉を教えないで育てただけだった。

 どんな言語にも触れさせずに赤ん坊を育てたら、最初にどんな言葉を発するんだろう?子どもが初めに話すのは、フランス語だろうか、ラテン語だろうか?それとも他の言語?人間の始まりの言語は何だろう。そ

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