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降霊の箱庭

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note創作大賞2024、ホラー小説部門応募作品。 とある女子生徒たちが「こっくりさん」をしてしまったことにより、中学校は恐怖と混乱に陥れられる。 主人公は果たして、この事件を解…
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記事一覧

降霊の箱庭 ~終~

<前話> 一時間が経過して、約束通り空き教室にやって来た神山は、達季たち三人が教室のあち…

和唐那依
3週間前
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降霊の箱庭 ~第十三話~

<前話> 地獄もかくやというほど赤く染め上げられた、教室。 窓の赤い手形は、粘着シートに…

和唐那依
3週間前
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降霊の箱庭 ~第十二話~

<前話> さらに次の日の午後。 空はよく晴れ渡っていた。米野中学校にも等しく、五月の爽や…

和唐那依
3週間前
7

降霊の箱庭 ~第十一話~

<前話> 昨晩、一週間の休校を知らせるメッセージが、全校生徒の連絡網に届いた。 時間に余…

和唐那依
4週間前
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降霊の箱庭 ~第十話~

<前話> 音楽教師・神山冴雪は、空き教室の前に立った。 今やこの米野中学校にいる者なら誰…

和唐那依
1か月前
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降霊の箱庭 ~第九話~

<前話> ガシャァン!! という大きな音が体育館の方から聞こえてきたのは、達季がちょうど四…

和唐那依
1か月前
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降霊の箱庭 ~序~

こっくりさん、こっくりさん。 どうぞおいでください。 とある中学校でその日、秘密の儀式が行われていた。 儀式というのは大抵、人目を忍んで開かれるものだ。この小規模な儀式も例に漏れず、校舎の最上階・最端にある空き教室にて開かれていた。 おまけに時は放課後。大多数の生徒は部活動に向かい、そうでない生徒も帰路についた後だ。 カキーン、と。 野球部のバッティングの音が、グラウンドの方角から聞こえてくる。 プァーン、と。 吹奏楽部の合奏の音が、反対側の校舎の中で響いている。 妙

降霊の箱庭 ~第一話~

<前話> まるで、白い城塞だ。 校舎を見てまず初めに浮かんだのは、そんな感想だった。 職…

和唐那依
1か月前
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降霊の箱庭 ~第二話~

<前話> ――どうしてこうなったんだっけ。 図書準備室にて。 一並達季は困り果てていた。 …

和唐那依
1か月前
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降霊の箱庭 ~第三話~

<前話> 喧々囂々の騒ぎが収まった後。 図書準備室内の椅子に、当事者たち三人は座っていた…

和唐那依
1か月前
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降霊の箱庭 ~第四話~

<前話> 「ほんっとに馬鹿みてぇだ」 図書準備室を出てすぐ。 溜息交じりに、割垣蓮は呟いた…

和唐那依
1か月前
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降霊の箱庭 ~第五話~

<前話> また夜がやって来た。 ベッドの上で布団にくるまって、鈴木ゆうはじっと耐えていた…

和唐那依
1か月前
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降霊の箱庭 ~第六話~

<前話> 狭い場所に閉じ込められていた。 冷たい。 鉄製の天井と壁と床に囲まれた空間は、…

和唐那依
1か月前
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降霊の箱庭 ~第七話~

<前話> 「え? 分かること、ですか?」 まどかの問い掛けに、達季は必死で頭を回す。 「そうですね……この学校のこっくりさんは、人の願い、つまり呪殺を引き受けられるくらい強力だったとか?」 「そうだね、その通り」 幸いにもまどかの合格をもらえる回答だったようだ。 「三つほど考えられる説があって、一つはまさに一並君が言ったものだよ。だが確率の低い説でもある。 今更語るべくもないが、『こっくりさん』とは固有の霊を指す言葉ではない。漢字で書くと『狐狗狸さん』となる通り、動物霊が呼