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渦を巻く

トルネード・螺旋階段・りんごの皮。世の中には渦を巻くものが沢山 "渦巻いて" います。

そしてそれは、立体に限らず平面上にも。その一部分についての雑談。


渦巻く鋼

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包丁なんかで有名な、表面に木目や渦潮のような模様が浮かび上がる、とても丈夫な金属、ダマスカス鋼というものがあります。

こんなやつ。カッコイイー。

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さてこの複雑な模様ですが、綺麗に見えるような加工を施してはあるものの、もととなる構造は製鋼の過程で自然に生まれます。

鋼を冷やし固める過程では、炭素含有量が少ない鋼が先に結晶化し、その後、炭素を多く含む鋼がその隙間を埋めるように固まります。すると全体は均一な状態ではなく、融点の異なる鋼が層のようになった状態になります。加工を行った際、それが表面に現れ、あの模様になるということなのだそう。

水道水を凍らせると、白く濁る部分と透明な部分ができますが、あれが複雑に入り組んだ状態、みたいな感じでしょうか。1つの合金から複雑な模様が浮かび上がるのはなんとも不思議ですね。

ところでこのダマスカス鋼、出自は古代インドだそうですが、製法は現代に伝わっていないそうです。様々な研究から、同じ様な構造を持つ合金は作れるようになりましたが、果たしてそれが古代作られていたものと同一の物なのかは、未だ答えが出ていないそう。

不思議な模様や、その錆びにくさ・丈夫さ故に、刃物に使われてきた歴史と併せて、なんとも妖しい魅力を纏った金属ですね。

クルクルとした図案

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古くからあるデザインの一つに、唐草模様というのがあります。植物をモチーフにした "クルクル" とした図案です。日本では、泥棒をコミカルに描くときに持たせる、風呂敷の柄としてよく見かける気がしますね。

それと似たデザインに、イスラム美術の壁画やレリーフに用いられるアラベスクがあります。日本風の唐草模様は植物モチーフではあるものの、単純で記号的な模様ですが、アラベスクはもう少し複雑かつ、バリエーションに富んでいます。こんな風に。

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アラベスク模様と一口に言っても、様々なものがありますね。"アラビア風の" という意味なので、考えてみればそれもそうか。

ちなみに僕は、こういったツタ感が全面に出ている感じのものが好き。

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"幾何学的な連続する模様" という定義からは外れている気もしますので、アラベスクと呼んでよいのか......ただこういった図案が描かれているものには、なぜだかとっても惹かれてしまいます。

例えばこういったもの。素敵ですね。



私だけのうずまき

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ところで我々は、自分だけの "一点物のうずまき" を持っています。自分に向かってグッドの手の形を作ってみると、僅かばかりの自己肯定感を纏ってこちらを向く親指の腹。そこにあるのはそう、指紋です。

探偵もので証拠としてよく登場するように、指紋は人それぞれ異なり、生涯変わることがないとされています。たとえ一卵性の双子だったとしても、指紋は必ず異なるのだそう。

江戸川乱歩の短編に、その事を題材にした物があります。双生児という題のついたその話は、双子の兄弟の成り代わりの話であり、たとえ双子でも指紋が異なる事を利用して、兄弟の片割れが......と、いうような内容。

青空文庫で読めるので、ご興味あれば。

さてそんな指紋について、刑事関係より身近なところで指紋認証なんてのがあります。僕はてっきり指紋全体を登録して比較しているのだと思っていたのですが、実は、指紋の中の特徴的な模様がどの位置にあるか、という情報を使って識別しているそうです。

だから多少切り傷ができたりしても、使う事ができるのですね。


おわりに

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そういえば以前、セキュリティゲートに指紋を登録する機会があったのですが、"指紋に特徴が無くて機械が困ってる"と言われたことを思い出しました。

江戸川乱歩 "ペテン師と空気男" を読んで以来、 "変わり者" に憧れ続けている僕ですが、こんなところでも凡庸がバレるとは......

トホホ




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