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興味のマジカルバナナ

3月も本・映画・ドラマと、色々な作品に触れることができた。次はどんな作品を観ようか、どんな本を読もうか。自分の中に明確な基準があるわけではないが、関連するものを辿っていくようにしている。そうしているうちに、「点がどこかで線になる(Connecting the Dots)」感覚に気付く。

今回はそんな3月の思考遍歴を紹介する。


映画:『ゴジラ-1.0』

特攻隊の任務につくも死にきれなかった敷島少尉(神木隆之介が演じている)を主軸にして、第二次世界大戦直後の日本が描かれている。原爆・放射能・政府の対応など、ゴジラをメタファーとして現代にも通ずる課題を問いかけてくる映画だった。

命を軽視しすぎていた大日本帝国の精神と訣別することで、自分の中での終わっていなかった戦争にケジメをつける。敷島がゴジラの口に特攻するシーンは、泣けた。特攻隊の気持ちってどんな風だったのだろうか。

知覧特攻平和会館

鹿児島県南九州市にある記念館に行ってきた。

特攻兵の遺書や手紙がとても印象的だった。今の自分の年齢より若い特攻兵らが、「国のために」とか「死ぬことでやっと親孝行できます」という主旨の手紙を書いているのを読み、たった80年前のこととは思えなかったし、戦争の異常性を感じずにはいられなかった。

本:「生きるに値しない命」とは誰のことか

役に立つかどうかで、命を選別していいのだろうか。ナチス安楽死思想の原典を解読しながら、現在の「安楽死問題」を語っている本。

平常時と緊急時でも対応が変わると思う。コロナ禍など災害時の医療現場では、トリアージという形で、少なからず命の選別が行われている気もする。自分の中に潜んでいる優生思想に自覚的になれるかどうか、そこは大きな違い。全く関係ないように思えるナチスの思想も、読み解くと現代に通ずる。

必死に生きて、カッコ悪くてもいいから老いていく、そして死んでいく。そんな姿を若者に見せることに価値がある。そんな考え方もいいなぁと思った。

映画:『オッペンハイマー』

「原爆の父」物理学者オッペンハイマーの伝記的なストーリー。

結局はオッペンハイマー自身も、戦争下のアメリカという大局に流された被害者だったのではないかと思った。「真理を探究する」ための科学(science)が、戦争に利用された結果とも捉えられる。

科学技術は私たちを幸せにするのだろうか。

ドラマ:『三体』

400年後、宇宙から侵略者がくる。壮大すぎるSFドラマ。

ナノファイバーとか、脳みそを凍結保存し蘇らせるとか、実現可能に思える科学技術が随所に出てくる。科学技術はなんのためにあるのか、人間を幸せにするのか。AI含めた科学技術のexponentialな発展を、楽観視出来ないなと思ってしまった。

科学技術は私たちを幸せにするのだろうか。Part2。

「You are bugs」
たしかに宇宙人からみたら、人間なんてみんな虫ケラみたいなものなのかもしれない。どんぐりどんぐり。

本:ここはすべての夜明けまえ

20歳半ばにして融合手術を受けた女性。融合手術をすると、人間と機械の中間のような存在になり、老いないし、死なない。そんな彼女の目線で語られた家族史。

積み重ねること。
一歩一歩確実に前に進むこと。
信じること。

死ぬことが決まっているからこそ、人間らしさは生まれるものなのかもしれない。安楽死とは別の視点になるが、死ぬ権利を剥奪されるのも拷問に近いな、と。科学技術が発展した先にある人間らしさとは何か、不思議な小説だったけれども考えさせられた。

ラジオ:やなせたかしとアンパンマン

戦争は"正義を主張するもの同士"のぶつかり合いであり、そこに本当の正しさはない。人間にとって本当にツラいのは飢えであり、腹を空かせた他人を助けることこそが、時代や地域をこえた普遍的な正義である。

それが、やなせたかしがたどり着いた結論だった。

アンパンマンとバイキンマンの関係も、酵母菌とバイキンという共生関係が成りなっていて、正義と悪という二項対立が否定されている。

アンパンマン、深すぎるよ。

まとめ

興味を連鎖させていくと、幅が拡がって面白いのでオススメ。
こんな風に、関心ごとを辿っていくように旅をするのが理想。

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