夜明けの街で(東野圭吾)

<渡部の気持ち>
いやこれは
いくら何でもダメでしょう
ダメなことは分かってる
そんな 事は分かってる
一度だけならいんじゃない?
でも一回だけ 難しい
一度味わってしまうと
抜け出すことは難しい
ああどうしよう ずるずると
何がどうして抜けられない


気が付くと
君に中毒 抜けられない
もう君なしで 生きられない
失うものは大きいよ
全ては自分のわがままで
でもどうしても抜けられない
たった一度だけならば
笑って済むことあるだろう
でも駄目なんだ 両方を
取ることなんてできやしない

どうしてだ?
こんなに覚悟を決めたのに
 君と生きると決めたのに
君はあっさり抜けるのか?
すごく残念 気が抜けて
緊張の糸切れたみたい
それでも君の長年の
モヤモヤがもう晴れたなら
言い残すこと 何も無い
殺人犯は君じゃない

じゃあ僕は
君の前から消えるけど
どうぞこの先羽ばたいて
のびのび生きて行くんだよ
僕は自分が傷つけた
家族のことを考えよう
これからどんな顔をして
どういう態度を取ればいい?
アバンチュールはほどほどに
快楽の裏 リスクあり

<感想文>
ああ、浮気とはこういうものなのか、と思った。そしてよっぽどの決意がない限り、一度きりの浮気は、不倫に発展していく。
そりゃあそれぞれ、不倫の経緯や形はあるだろうけれど、それで苦しむ人は必ずいるものだ。それでも抜け出せなくなってしまうものなのか。私には経験がないけれど、その時には不倫をせざるを得ない心境が分かるかも知れない。でも、分りたくはない。

秋葉は、20代で親の離婚、家で父親の秘書の死体に遭遇する。その殺人犯だとずっと疑われながら、疑われたままでその殺人事件が時効を迎える。それを機に明かされた事実を読み、
「えええ~!非現実的~!」
と思ってしまったのは私だけだろうか。

いずれにしても、面白かった。毎度のことながら、東野圭吾の本はあっと言う間に読んでしまう。それぞれの心情の描写が素晴らしいと思う。
作家になる人って、こういう表現をして、物語を次々に作って、すごいなあと思う。

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