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母性の安らぎ

その像の足下には自由を奪う足かせと鎖があり、
それを踏み潰し蹴散らし、女神は決然と半歩前に歩き出す。
エマ・ラザルスのソネット(14行詩)が女神の強い意志を伝える。
 
希望の光輪を放ち、
高々と掲げた灯明が自由を求める人々に
安楽の行方を示す。
女神は高らかに呼びかける。
「ほーら!ここに、あなたが求めてきた
自由の世界への扉がありますよ。
さあ、安心してお入りなさい」
 
長らく圧政に苦しんだフランスの民衆が、
苦難の革命を経てやっと辿り着いた
民主主義人権宣言。
そのフランスが有志の募金を集めて、自由の女神像を建造して、
1886年アメリカの独立100周年の祝いとして贈った。
1865年に終結した南北戦争で
解放された黒人奴隷の自由への思いも含まれている。
 
観世音菩薩は、悩み苦しむ生きとし生けるものをすべからく、
優しく身に引き寄せる。
母性を象徴する観音様の立ち姿と
ニューヨークにそびえる自由の女神像が
重なって見えてきた。
 

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