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白いヴェールに包まれて

3年ぶりの再会となった友人との待ち合わせ。

マスク無し生活を満喫中の私とは対照的に、慎重派の彼女。
安心な場所として、真っ先に浮かんだ「東京會舘」ロッシニテラスへお邪魔しました。

2019年に改装後リニューアルオープンしてから初めての訪問です。
全体的に明るく開放感あるホテルのようなエントランス。

ロッシニテラスは思いのほか人もまばらで、ゆっくりと落ち着ける雰囲気でした。

久しぶりの再会におしゃべりばかりで、伝統お料理も写真を撮るのを忘れていましたが、マロンシャンテリーが運ばれてきた時には、思わず溜息がもれました。

うつくしい・・・
真っ白なヴェールに包まれた中には和栗が。
出番をひっそりと待っているかのような、何かを語ってくるようなその姿に時が止まりました。

マロンシャンテリーは東京會舘の初代製菓長が、モンブランをヒントに日本人向けに考案したスイーツとのこと。

このような美しいスイーツを大正時代に考案されたパティシエ、きっと素敵な方。。

ホイップクリームに包まれて顔を出した栗はとても上品なお味でした。

東京會舘に携わったバーテンダー、料理長のお話は、辻村深月さんの「東京會舘とわたし」にも登場します。

大正から昭和、平成、令和の大改修にかけて。戦後のマッカーサー時代から東日本大震災後の現代まで、現代史を紐解いていくような連作短編集。

読了から3年も経っているので、忘れている部分も多いのですが・・
創業時から携わっている従業員の方の誇りと、受け継がれる精神は今のホスピタリティーに繋がっている、と強く感じたことを覚えています。

当時の読書メーターを見ると、こんな感想が。

クライスラーから始まり遠藤波津子さんや越路吹雪さん、マッカーサーまで著名な方が多く関わっていることに歴史を感じました。作者辻村さんの温かいストーリー展開のおかげで、関東大震災での被災も第二次大戦後の占領下も、ただの悲劇ではなく今に繋がるエッセンスが生まれたのだと感じることができました。

melocotonの読書メーター「東京會舘とわたし(上)」

建物に焦点を当てて時代と人間模様が温かく描かれました。表紙の絵も素敵です。岩谷時子さん。彼女に憧れて音楽業界に入る人もいる程の素晴らしい方だそうです。知的で先駆者で人に尽くし愛される人生。そういう人になれたらいいな。

melocotonの読書メーター「東京會舘とわたし(下)」

あの長編大作を読んで、もっと感想なかったんかい笑、と今更突っ込みたくなるような文章ですが。

手元にあるので、いつかまた、ゆっくり読み返してみたいと思います。

彼女と過ごしたロッシニテラスでの時間が心地よくて。
せわしなく過ぎていく日々に、肩の力を抜いてゆっくりしよう。って思えた日でした。

リラックス、リラックス。

今日も最後までお読みいただき有難うございました。

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