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大園桃子と乃木坂3期生という奇跡

※これは大園桃子についての私感(思い入れ)を備忘録として書いたものです。

大園桃子は乃木坂46の3期生として2016年9月にオーディションに合格した。

乃木坂46は2011年に結成、2012年2月にファーストシングルを発売した。
それから4年が経ち、ミリオンを突破することはできず、2016年当時は最大の目標であるAKB48を追い越すことはまだできていなかった。
そして2016年には深川麻衣の卒業、そして橋本奈々未の卒業発表と、中心メンバーの卒業が始まった時期でもある。
白石麻衣も25歳を迎え、自身の方向性を探っている時期だった。
アイドルグループの賞味期限には限りがある。人気メンバーが卒業すればその分売上は落ちる。握手会とリンクしたCDを売っている構造上それは自明だった。
このままジリジリと売上が下がっていく可能性は低くない。
運営として取るべき手段は2つ。
ひとつは新メンバーを追加すること、もうひとつは新グループを結成すること。
運営は時期を若干ずらし、その両方を行うことになる。
ひとつは乃木坂3期生として、もうひとつは欅坂46として世に出ることになる。
まず世に出たのは欅坂46だった、2016年4月にまったく新しい曲調の「サイレントマジョリティー」を引っ提げ、笑わない(歌唱中は)アイドルとして世に出る。
「サイマジョ」の破壊力は凄まじく44万枚売れた。たった21人のグループが乃木坂46でいうところの6th「ガールズルール」とほぼ同じ枚数を売った。(この時期の乃木坂は36人)
枚数が全てではないが、このインパクトは予想以上のものがあり乃木坂46の今後の方向性にも影響はあっただろう。

2016年に14th深川麻衣の卒業シングル、15th齋藤飛鳥の初センター曲、16th橋本奈々未の卒業シングル、これらを経て橋本奈々未が卒業した後の新体制としての2017年3月に発売する17thシングルには『突破』と『継承』2つの意味が込められた。
『突破』とはミリオン。16thは98万枚とあと少しのところでミリオンを達成できなかった。ミリオンを達成するためにも新たな曲調として乃木坂史上最速ダンスと言われた『インフルエンサー』、そして1期生2期生が5年をかけ醸成した「清楚」「儚さ」を継承するc/w3期生曲『三番目の風』を世に放つ。
『インフルエンサー』は白石麻衣・西野七瀬のWセンターと当時の最強コンビ。そして前作の選抜メンバーに中田花奈、樋口日奈、寺田蘭世、斉藤優里といったメンバーを加え(中元日芽香が抜ける)、表題曲として乃木坂46史上最多の21人で編成する。(この時期の総人数46人)
そして『三番目の風』こそが、3期生が本格稼働し「継承」の役割りを担った重要な曲である。継承の難しさは過去に様々なグループの歴史が表している。この曲こそが乃木坂46が今後も人気アイドルグループとして成長していけるかの試金石であった。
そしてこの命運をかけた曲のセンターを任されるのが大園桃子である。
生駒里奈、白石麻衣、西野七瀬、生田絵梨花、齋藤飛鳥らが築いてきた乃木坂らしさの継承の役割りは、鹿児島から来たアイドルの世界をほとんど知らなかった小さな女の子が担うことになる。

そして3期生曲がc/wされた17thは乃木坂46初のミリオンを達成する。

大園桃子こそが「清楚」「儚さ」乃木坂の象徴

大園桃子は3期生曲「三番目の風」「思い出ファースト」のセンターを務めたのちに、18thシングル『逃げ水』で与田祐希とともに表題曲のセンターを務めることになる。
「継承」が次の段階に入る。
『逃げ水』では大園・与田のWセンターを白石麻衣・西野七瀬が挟みさらに両端に齋藤飛鳥・堀未央奈というセンター経験者を配置する完璧なフロントのフォーメーション。新しい乃木坂46のお披露目となる。
昨日まで田舎の女子高生だった子がトップアイドルとなり今は数万人の前で歌う。大園桃子は怯え泣きながらもその大役を務める。
「三番目の風」は吹いた。
3期生の大園と与田をセンターに迎えた18th『逃げ水』は見事に2作連続のミリオンを突破した。

3期生はこの時期、1期2期の先輩との5年の経験差を埋めるために早急な成長を求められ、その先頭には常に大園桃子がいた。
未知の環境下で3期生の誰もが自分のことに精一杯な中で、大園桃子は周囲の期待に応え続ける。歌だけではなくバラエティ等の番組への出演もこなしていった。
大園桃子はピュアだ。そして素の自分で乃木坂の活動をこなしていく。
そこがまた魅力なのだが、演じる部分がないとやはり疲弊していってしまう。

大園桃子がリードしていく間に与田祐希、山下美月、久保史緒里、岩本蓮加、梅澤美波といった他の3期生も徐々に成長を遂げ、乃木坂46の3期生への継承は完全に成功する。
そして26thでは18th『逃げ水』以来の3期生センターの曲『僕は僕を好きになる』(山下美月センター)を見届け、27thシングルの活動をもって大園は3期生では初の卒業を迎える。

大園桃子のセンター曲は『三番目の風』『思い出ファースト』『逃げ水』『女は一人じゃ眠れない』と17thから18thの期間の4曲。短期間に鮮烈な印象を残し、そして「乃木坂らしさの具現化」「3期生への継承」という大役をこなしきった。
あの時、大園桃子が正面に立ち突破したからこそ3期生は成功し、その後の4期生・5期生へと繋がっていった。

大園桃子以降、3期生4期生5期生は誰一人欠くことなく、乃木坂46は今も進化し続けている。

※26thの山下美月から6作ぶりに、32thで山下美月・久保史緒里のWセンターが発表された。
鈴木絢音の卒業発表により1期2期生全員の卒業が発表され、全てを継承した3期生が乃木坂46をリードしていく。


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