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台北最後の夜は結局ホテルで宅飲み 2016年6月の台北 男3人旅行二日目 第7話

久々の更新になってしまった!

台北の浅草?萬華

最後の夜は台北の下町、萬華へ向かう。洗練の彼岸に位置するコテコテの下町。まるで浅草の商店街のような面構えで、雑然としている。

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嘗ては外国人だけでなく地元民も集まる一大観光地として全盛を極めたようだが、台湾という国が急速に発展し、国民も洗練されるにつれて、あまりに世俗的過ぎて下品にも見えるこの区間は、台北の都会的なイメージにそぐわないものとして煙たがられ、次第に沈没していったという。
まるで日本の都内近郊の社員旅行をターゲットにしていた温泉地と同じ道を辿っているように思える。

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と、そのような記述をガイドブックなりネットで読んだのだが、
実際はどこもかしこも人、人、人、人の海。
メインストリートと思わしきアーケード街だけではなく、士林夜市に負けないくらい数多くの屋台が周囲に立ち並び、活気と熱気は台北のどこよりもあるのではないか。

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だがどれもこれも洗練とは程遠い有様。地方のバッタ屋のようないかがわしさに、見世物小屋のような下品な原色の看板群をバックに、田舎の縁日で地元青年団連中が羽目を外している際に醸し出されるような底抜けの活気が町中に満ち満ちている。

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旧赤線地帯だけあり、檳榔子(ビンロウ)と呼ばれる覚醒作用のある一種の噛みタバコを売る店、ガイドブックやバラエティ番組で必ず出てくる蛇料理屋(性をつけるため、ということらしい)、マッサージ師と客がひしめき合い人口密度が異常に高いマッサージ屋、堂々と違法コピーの日本製AVを売る露天商と物色する高齢者、何の内装も看板もないが、中ではディルドやバイブ等の大人の玩具を剥き出しで売っている店、お年を召した方が通うカラオケスナックなど、バラエティに富む、という一言で片付けるに余るほど混沌としている。

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肩肘はらずにブラブラできる気楽さがこの街にはある。しかし苦手な人、特に女性一人旅では結構キツイ所ではないか、とも感じた。


台北の宮根誠司が仕切るオープンスタイル居酒屋


最後の夜を如何に過ごすべきか逡巡しながら、適当にアラサーの男三人でブラブラ歩くも、中々決めきれず、結局Sが直感で選んだオープンスタイルの店になんとなく入る。

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ここでは愛嬌のある宮根誠司のようなお兄さんが、オープンスタイルのキッチンで華麗な日本語で接客してくれる温かみのある店であった。特にメニューはなく、台北の綺麗な宮根兄さんの眼前に広がる食材を見ながら食べたいものを指名すると、彼が何かしらの中華料理を作ってくれるスタイルであった。日本には中々無い、旅情を感じる素敵なシステム!

だがいきなり何を食べればよいのか、どのように指定すれば良いのか初心者たる我々では分からず困惑すると、ホワイト宮根が笑顔で語りかけてきた。


「日本人なら刺し身でしょ!台北の刺し身も美味しいよ!」

台北は衛生的な町とは言うものの、流石に亜熱帯の屋外に冷蔵すらされず無造作に置かれた海鮮をナマで食べる勇気は我々には無かった。

刺し身を推す、というのは余程自信があるのだろうが、だがこればかりは。


取り敢えず適当な食材を指差しで選び、「火を通してくれ!あとは任せる!」とだけ告げて彼に全て料理を一任した。

どの料理もボリューミーで、特にニンニクの味や各種スパイスが強く効いており、酒が矢鱈と進む我々にピッタリの肴を爽やか宮根哥哥はせっせっと作ってくれた。

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ビール売りの女性は親日家


オープンテラス席にて、台湾ビールを飲みながら3人でダラダラと旅の思い出なり、過去の共通の知人の話で盛り上がっていると、昨晩同様、ワンショルダーのレオタードを身に着けたビール売りの女性がビールを売りつけに来た。


このビール売りの女性、オリビアさん(イングリッシュネーム)は日本語を学んでいる親日家であり、華の無い我々3人に非常に友好的に接してくれた。

ビールの売り子はホステスのように席について接待をするような存在ではなく、単なる瓶ビールの売り子でしかないのだが、オリビアさんは我々が瓶ビールを注文する際や、飲み終えた瓶を片付ける際に色々と日本語で話しかけてくれたのである。単純に我々のペースが非常に早いため、コミッション稼ぎのための良いカモという認識も彼女には少なからずあったかもしれないが、旅先で現地の人と仲良くなり、あれやこれやとコミュニケーションが取れたのは貴重な経験であった。


特にSは、この34歳の年上女性(聞いてもいないのに自分で年齢を言った)と非常に仲良くなり、行ってもいないのに超有名観光地である仇分を褒めだしたり、高級自転車乗りにも関わらず台湾の自転車メーカーであるジャイアントを褒めだす等、オリビアさんが喜びそうな露骨な媚びた話しを突然しだし、我々2名を唖然とさせた。


しかしながらオリビアさんが頑張って日本語で話しかけているにも関わらず、なぜか我々はカタコトの英語でレスポンスする、という訳のわからない態度を終始とってしまった。


すると突然、オリビアさんは深刻な表情になり

私の日本語、そんなに下手くそですか!日本語を勉強したくて、あなた達と日本語で喋っているのに、どうして日本語で話しかけてくれないの!」

と至極真っ当なコトを言われ、一同穴があったら入りたい気持ちになる。

日本語を学んでいる人に対して、それも英語を母語としない人に対して、対して上手くもない英語で得意気に話しかける我々ほど恥知らずの人種もいない。


そう言えば英語学習SNSであるハロートークにて、日本語学習者が日本人に日本語で話しかけたり、日本語で呟いても、英語でばかりリプライをされるのが不満であり、自分の日本語能力が低いのかと自信を失くすことがある、と感じる外国人の日本語学習者が少なからずいる聞く
(実際にそんな投稿を何度か見たが、それに対して deeply aplogise と変わらず英語で返信している人を見て呆れてしまった)


とどのつまり、日本人の多くは日本語は難解な言語であり日本語学習者と雖も日本語なんて理解できやしない、という驕りが深層心理にあるのではないか?そのような日本人ではないと思いこんでいたが自分の中にもこの種の卑小な自尊心があることに愕然とさせられた。


勿論、3人でオリビアさんに非礼を日本語で謝罪する。「大丈夫よ〜日本語で話してくれてありがとね♪」と優しく笑顔で許す彼女に一同一安心。

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そんなこともあり我々は異常にテンションが上がってしまい、この店で3時間近く時間を過ごしてしまった。ここに至るまでも隙を見ては酒をちょこちょこ飲みながら旅行をしていたのが、ここに来て更にビール大瓶を15本近く開けるという大惨事に。だが台北は食料品と酒の物価が日本より遥かに安いので大した出費ではなかった、ように感じたが、3人共かなり酩酊状態であったので、正直金額はよく覚えていない。

あまりに楽しい気分になってしまい、前回の訪台時に喫して死ぬほど後悔した檳榔子をまた買い、SとBを巻き添えにする珍プレーを犯しながら、地下鉄で帰路へとついた。慣れない覚醒作用のある嗜好品なのと、唾液が真っ赤になり苦味が口中に広まるのが非常に不愉快極まりないのよ、これ。

最後の夜はホテルで宅飲み


今の今まで散々飲み食いをしたにも関わらず、異国で完全に出来上がった3人は、近くのコンビニで酒とツマミを買う凶行に打って出た。

しかも大量に。

本当はホテル周辺でもう一軒!と洒落込みたかったのだが、ホテルのコンシェルジュ(気持ち悪いくらい日本語が上手い)とコンビニのバイトのお兄ちゃんに訪ねたところ、この辺りで夜遅くまで営業しているお店はワタミくらいしかない、と言われたため、コンビニで台湾らしいものを買い込んでホテル宅飲みコースへと相成った訳である。

態々台北まで来てワタミというのも寂しいし、イデオロギー的にもあまり行きたい所ではないからね!!

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ホテルで最後の夜の延長戦!

Lサイズのビニール袋4枚分も大量に買い込んだのだが、これが酔った勢いの怖さなのか、酒と肴は一晩で全てなくなった。

酩酊状態のため、ポットで沸騰を忘れたお湯をカップラーメンに注ぐ、というミスを犯してしまうが、実際に口にするまで3人とも気がつかず、結局水出しカップラーメンをゲラゲラ笑いながら3人で食す。

台湾版キャンパスナイトフジのような若者向け低俗深夜番組をBGMに生産性の無い会話で盛り上がり続けるも、いつの間にか三人とも寝てしまい最後の夜は終わりを告げたのであった。

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