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台北ローカル地帯ぶらり旅 2016年6月の台北 男3人旅行二日目 第6話

遼寧街夜市

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Sの希望でローカルな夜市、遼寧街夜市へ向かう。15時頃ではあったが、日が暮れてなくとも一部夜市のお店はやっている。

先日訪れた士林夜市とは異なり、こじんまりとしたローカル感強い夜市。幅が広く自動車が当たり前のように通る100メートルほどの道路の両脇に年季の入った造りの個人商店が密に立ち並ぶ。原色に繁体字がデカデカと描かれた洗練さとは対極に位置するがインパクトは強い。
ほぼすべて飲食店であり、中途半端な時間故に道行く人は少なかったが、大体のお店は開いていたのが嬉しい。

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Sには妙な嗜好があり、メジャー所より若干マイナーでローカル色の強い所を好む。旅行に限らず都内の飲み屋でも同様である。
だが実際にそのような場所を訪れても毎度風のように歩き去ってしまい、どっぷりと観察するようなことは決してしない。
今回も予想に違わずSはいつもの振る舞いであった。


サウナに埋没しすぎたせいで、お昼を食べそこねていたため、最早おやつの時間ではあるが、適当にふらっと空いている店に入る。
古い造りのお店ではあるが店内は広々として小綺麗であり、熱帯特有の狂ったような強烈な冷房がガンガンかかっていた。

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メニューは当たり前のようにオール繁体字のローカル仕様という渋さ。台湾名物の牛肉麺と台湾ビールを注文するも、店員のお兄さんが何故か「牛肉麺と台湾ビールですね。承知しました」と普通に日本語で返答をしてきて一同ビビる。台北は意外なところで日本語が通じてしまう。海外だからと調子に乗って公共の場で下品な言葉を発することはできない。

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光華商場は台北のラジオ会館なのか?

その後、台北のラジオ会館こと光華商場へ向かう。

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ここでは理系のSの独壇場。文系のど真ん中しか歩んでこなかった僕とBでは如何なるものなのか認識すらできないパーツを見ながらSだけはやたらしゃいでいた。今や台湾は世界でも有数の電子機器立国である。この種のジャンク品を扱う個人商店が活況を極めている、というのは、電子機器産業の底辺が順調に拡大している、とも言える。台湾の未来は明るい。

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一方、嘗て日本の秋葉原にもこの手のパーツ屋が軒を連ねていたのだろうが、今やすっかり影を潜めている。そして同時に日本の電子機器産業のプレゼンスも着実に低下しているように思えるのがちょっと悲しい。

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ジャンクパーツ屋だけではなく、日本のAVやドラマ、NHKスペシャルのDVDが売られている店もあり、中々楽しい。

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日本のAV以外はハードケースに入れられており、一応公式物品のようであったが、日本円で1枚1000円未満で売られているのには驚いた。日本のソフトが高過ぎるのか、はたまた台北が安すぎるのか。

蔣介石とアダルトビデオ

だが日本製のソフトで最も圧倒的存在感を放っていたのは日本製アダルトビデオ。どれも質の悪いカラーコピーのみで包装されており、明らかに海賊版だと分かる代物であったが、その数が凄まじい。2メートル程度の高さの棚10架が全部日本のAVで埋まっている。それもハードケースではなく、紙ケースなので密度が尋常ではにほど濃い。AVショップは至るところにあったのだが、なぜか蔣介石の銅像が飾られたエリアに特に集中しているように思えた。蔣介石は台湾では毀誉褒貶の激しい人物であるため、ある種の意趣返しなのだろうか。

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日本のAV女優に会いに行く映画が台湾でヒットし、AV女優がデザインされたSuica的な電子マネーカードが一瞬で売り切れる台北のAVパワーを身を持って味わった。

台北駅地下街メガドライブインシデント

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次は台北駅地下街を散策。台北駅は言うまでもなく台湾で最も巨大な駅であり、その地下街もとにかく広大。
おしゃれな雑貨屋、ブティックだけでなく、夜市にあるようなローカル色の強いお店も散在しており非常にバラエティに富んでいる。東京の八重洲地下街というよりは、大阪の梅田地下街の方が雰囲気は似ているかもしれない。

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一番印象的であったのが日本のアニメ系サブカル物品を専門に扱う一画。
単なるアニメ系ストアではなく、中野ブロードウェイのテナントを想起させるほどの中々なコアなお店が多く連なり、メイド喫茶だけではなく男装喫茶なるものすらある所が恐ろしい。首都の最も大きな駅直下にこの種のサブカル系店舗が数多く溶け込んでいるのが台湾という国の懐の深さであろうか。

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特に我々3人の間で話題になったのは日本のレトロゲーム専門店。
ラインナップが非常に気合が入っており、プライシングも完全に日本のその手の店をほぼ踏襲している。あまりメジャーではないファミコンやスーファミのソフト類はワゴンに無造作に置かれていたが、著名なソフト類はガッチリ鍵付きケースに保管。オーナーの趣味なのか、くにおくんシリーズのラインナップがほぼ完璧であり、中でも日本ですら入手困難である「熱血すとりーとバスケット」まで陳列されていたのには驚いた。

この種のレトロゲー大好きな我々はキャッキャウフフしていたのだが、ここでちょっとした事件が。

このお店ではレトロゲーのソフトだけではなく、ハード類もかなりの数が陳列されていたのだが、角の方でセガの名作、メガドライブが大量に積み上げられていた。

「おーメガドライブ!とんでもない数あるな!」と思わず僕は叫んだのが

「違げーよ、メガドライブⅡだよ!全然違えよ!」とSがすかさず訂正。

参考までにこれが初代メガドライブ

これがメガドライブⅡ

子供の頃友人の家にあってよくやったのはメガドライブⅡだったから知らなかったけど、結構全然違うネ


それを聞いてBと僕で爆笑。しかしSは何故我々二人が爆笑したのか全く理解していなかった。この事は僕とBの間では「台北メガドライブⅡ事件」としてSの人柄を端的に表すエピソードとして深く印象に残ったのだが、S自身は何故これが事件扱いになっているのか未だに不服とのこと。

ひとしきり台北地下街も散策が終わり、地上に出るとすっかり日が落ちている。いよいよ台北最後の夜が近づいてきた。

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