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林森北路をスルーして熱炒を楽しむ台北の夜 2016年6月の台北 男3人旅行 3話

ナイトライフの聖地?林森北路にて

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次の目的地、林森北路はガイドブックやネットの口コミによるとナイトライフが盛んな夜の街、要するに台北の歌舞伎町、国分町のような所らしい。
酒好きではあるが、どんちゃん騒ぎより個人経営の意識低い系の居酒屋でこじんまりと長々飲むのが好きな我々とは根本的に合わないエリアに思えたが、主に日本人駐在員向けのお店が多く連なる、とのことで社会勉強を兼ねて繰り出してみることにした。
前回の投稿で台北は地下鉄の利便性に触れたが、このエリアは中心部にあるにも関わらずどの駅からも微妙に遠いエアポケットにあるため、結構歩かされた。

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夜の街と言うと明るいネオンが燦々と輝く街並みが想起されるため、ここもそのような所だと勝手に想像していたのだが、ここ台北の夜は基本的に何処も照明が弱く、繁華街と雖も例外ではない。
同じ中華文明の末裔たる香港やマカオの場合は、過剰なまでの電飾が街中を埋め尽くしていたが、台北の人はその手の人工的な光の濫用を好まないのだろうか。前回の来訪時も同じ感想を抱いたが、今回も同様の疑問が浮かび上がってきた。

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道中はオフィス街なのか、高い近代的なビルが立ち並んでいたが、非常灯以外の灯りはほぼ落ちており、店らしい店も殆ど見受けられず、寂しい道のりであった。あれほど降っていた雨が病んでいたのが幸運ではあったが、一人でこの道中を歩くのは少々シンドイ。道連れがいてこそ出来る経験であるとしみじみ思う。

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林森北路に到着。ここも例外なく薄暗い通りではあるが、道中と比べると人通りは絶えない。金曜の夜というのも大きな理由なのだろうが、大勢の人がひしめき合い、交差し合う亜熱帯の薄暗い繁華街、というのは何処かヘンな気持ちにさせられる。士林夜市での浮ついた気持ちがすっかり冷めてしまった。

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お店らしいお店はあるのだが、密集せずに点在しているため、街全体の活気というか盛り上がりがあまり感じられない。

しかも点在している各店舗も大きな看板や照明等で目立つようにしている訳でもなく、どこかこじんまりとした印象を受ける。
また日本食を扱うお店やスナック的なものも少なからず多いのだが、雰囲気が日本の私鉄沿線にあるようなその手のお店そのまんまであり、わざわざ台北に来てまでこの種のお見せを見て楽しいか、という気分にさせられる。本当にここがナイトライフの聖地なのか何度もグーグルマップや地図で確認したくらいである。

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キャッチとの戦いを期待したが……


またネット情報だと怪しい日本語を操る現地のポン引きやら遣手ババアから引っ切り無しに声をかけられる、ということであったが、幸か不幸か一度しか声をかけられなかった。

異国で怪しからん連中に声をかけられるのが大好き、という異常性癖を持つSは、全く声をかけられないことを非常に残念がっていたが、中華文明の落し子たる手馴れた現地のキャッチにとって、我々のような人種は所詮興味本位だけの冷やかしであると容易に看板されたのだろう。それとも単純に身なりからお金を持ってなさそうだ、と単純に判断されただけかもしれない。

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↑おそらくラブホテル

台北流の居酒屋「熱炒」

30分ほど散策したが、特にこれ以上の発見や感動はないと判断。すぐ側にある台北流の居酒屋「熱炒」が立ち並ぶエリア、長安東路一段に向かいそこで2次会へと洒落込む。

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このエリアは先程の林森北路とは打って変わってオープンスタイルの店が林立しており、健全な騒がしさと活気で溢れていた。現地の言葉に混じって時折日本語も多く聞こえてくるのが面白い。都内で例えるなら赤羽のような所だろうか。
先程の士林観光夜市は地下街であったが、ここではオープンスタイルの座席で亜熱帯の風を感じながら酒と肴を楽しめる。愉しからずや!


特に細かい調査はしていなかったので、適当に空いている熱炒の店に入ったのだが、我々の隣の席はなんと若手日本人駐在員の集まりのようだった。大学生に毛が生えたような若い連中であり、遺憾ながらその頃はとうに過ぎてしまった我々にとって、彼らの痛々しいまでの下品さと万能感溢れる会話は傍で聞いているだけで毒にしか思えなかった。加えてやつらは料理も酒も大量に注文したにも関わらずどれも殆ど手をつけずに帰っていったのが非常に不愉快だった。

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ちょっと前に訪れた士林観光夜市でもそうだったのだが、台北の料理は量がやたらと多い。そして店員が積極的に追加メニューをするよう促してくる。そしてここでも促すメニューが大抵一番高いメニューである。この手の強かさはやはり漢民族特有なのだろう。
熱炒では白飯と酒がセルフサービスという日本ではあまり見られないスタイル。炊飯器から自らご飯を装い、業務用冷蔵庫に置かれた瓶を勝手に持っていて勝手に飲んで後で清算するのだが、酔客がお金をちゃんと払うかわからないからキャッシュ・オン・デリバリーになっている英国のパブと正反対の性善説を全面的に押し出す台北の懐の深さには驚きを隠せない。

酒もセルフサービス、ということで意を決して冷蔵庫に近づこうとしたのだが、国際プロレスのアニマル浜口スタイルのワンショルダーを着けたセクシーなビール売りのお姉さんがそれを遮り、自分が売りたいビールをしきりに推してくる。

特定のビールを売るとインセンティブが入るシステムのようであり、抵抗するのも野暮なのでそのお姉さんに従い台湾ビールプレミアムなる大瓶を人数分頼む。このお姉さんは誰が見ても綺麗に感じる人ではあったが、何処か愛想がなく冷たい感じのする女性であり、また売り込み方がかなり強引であり少々怖かった。

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初日は無事終了


2軒目にしては多すぎる量の食事と酒を飲み、取り敢えずこの日はお開きに。だがホテル前のコンビニで懲りずに酒とツマミを買いこみ、ホテルで現地のテレビを見ながら3次会。この手の遊びが出来るのが複数人旅の良い所である。台北のコンビニで売っている茶葉蛋(煮玉子)と可樂果というニンニク味のスナックは本当に美味しい。
何だかんだで眠りについたのは深夜25時頃であった。お風呂にも入らず、話に夢中になりいつの間にか寝てしまった。30近いのにこの手の学生のような経験をまた出来るとは思わなかった。幸せなことである。

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