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海外旅行の最終日の過ごし方は難しい ・さよなら台北 2016年6月の台北最終日 男3人旅行 8話(最終話)

二日酔いは台北の爽やかな朝日が醒ますのか?

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最終日。案の定、強烈な二日酔いと下痢に苛まれて目が覚める。3人共々このような状態のためトイレ渋滞が酷い。

フラフラの状態でシャワーを浴び、B共に屋上の喫煙スペースに生き、眼前に広がる朝焼けの台北市内を眺めながら一服。

これでこの旅行も最期かと思うとただただ悲しい。昨晩の楽しさの反動が明日我が身を襲う非情な現実の恐怖を益々募らせ、身が震える。

しかし座して死を待つのも面白くないため、ササッと身支度を整えてホテルをチェックアウト。

残された僅かな時間を可能な限り楽しもうと心に決めると二日酔い特有の頭痛や嗚咽が収まるから不思議だ。

これが海外旅行の魔力である。病は気から!

まずは腹ごしらえ、ということでホテル近くにある弁当屋通りで各々朝食を購入。

このあたりは予備校が多く立ち並ぶエリアのようで、予備校生をターゲットにした弁当屋が多く出典している。

日曜日の朝早い時間であってもできたてのお弁当をリーズナブルな値段で売ってくれるのは嬉しい。特に具沢山の太巻きが美味しかったが、台湾独特のスパイス類が二日酔いの胃を優しく癒やしてくれた。


朝からやっているテイクアウトの弁当屋は日本では殆ど見かけないため、これには素直に感動した。日本でも流行らないかね。

ギリギリまで寝て朝食を抜くか家で食べる人間が多い日本には馴染まないかもしれないが、朝食無しプランで国内旅行に行く度に毎度困るので、コンビニ以外で朝食を気軽に提供してくれるお店が日本にも最も増えてほしい。

最後の観光 西門町へ

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腹ごしらえを済ませ、台北の原宿・澁谷こと西門町を最後の観光場所へと決める。
実は本場の中華圏では地名にはあまり使われない「町」という漢字が名前に残ることから分かるように、ここは日本統治下に栄えた区域とのこと。


近年再開発されたらしく小洒落た新しめの商業ビルが多く立ち並び、テナントも洗練された趣。

昨晩訪れたケレン味と胡散臭さが溢れた萬華とはエライ違いである。

台北と一言でいっても区域によってここまで違いがあることに改めて驚かされた。流石アジアを代表する大都市、台北である。文化的な奥深さがここには数多くある。

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だが残念なことに、殆どの店の開店が11時以降とのことで、この町を充分満喫することはできなかった。

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帰りの便まで時間がないため、昼まで待つ余裕がなく、そそくさと周りを見て周る他なかった。残念ではあるが流石に飛行機を乗り過ごす訳にはいかない。

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毎度旅行の最終日は時間配分に頭を悩まされる。

最後の最後はハイパーマーケットでお買い物


だが何もしないのは癪なので、お土産購入のため、西門町にある大型スーパーの家樂福(カルフール)でギリギリまでショッピングを楽しむことにした。

実はこれがこの旅行で初めてのショッピングらしいショッピングになる。男3人旅なので仕方がないとは言え、振り返ればお酒ばかりの旅行であった。


カルフールはフランス資本の大規模小売店であり、スーパーマーケットを超えたハイパーマーケットとも一部では言われる特徴的なスタイルで世界的に有名なチェーンである。
一般的なスーパーよりも店舗面積が桁違いに大きく、家電や玩具、DIYなどありとあらゆる物を売っている形態のお店である。

日本のチェーン店に例えるなら、ビックロにイオンとニトリとしまむらとホームセンターが合わさった一つの巨大店舗、と言ったところだろうか。

日本以外の各国ではメジャーなスタイルの小売のようで、わーくににも一応進出したようだが、日本では地場の小売・流通網が充分に発達しているのと、野菜と家電とDIY用品を同じ店で買える!という部分が強みに映らなかったため、定着できず早々に撤退したらしい。

カルフールの話が長くなってしまったが、ここは我々のような外国人にとって、この種のハイパーマーケットは異国の日常様式を俯瞰出来る興味深い場所である。

地元台湾の人々の普段遣い品とその相場は観光地だけでは窺い知ることができない。台湾と日本は文化的にも近いと雖も、何気ない日用品や家電に意外な違いがあり、それらを発見出来るのは中々楽しい。

広大な敷地を目的もなくブラブラ歩く。大きなカートの上に子供を載せて闊歩する親子連れがいたのには度肝を抜かされた。

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扇風機・サーキュレーターの類が家電売場の一等地を陣取っており、世界的な白物家電メーカー以外の馴染みのない地場のメーカーの物まで大量に売られていたのが印象的であった。

さすが亜熱帯国家・台湾である。

加えてバイク大国でもあるので、ヘルメットやステッカーなどのバイク関係の小物も非常に幅広く売っている。

幅広いラインナップ、それも日本とはちょっと異なる部分に驚きながらも、結局購入するのは無難な食料品。

先日のホテル宅飲み宴会で美味しかったニンニクフレイバーの可楽果を袋買い。他に地元の味覇的な中華調味料類や、普段遣いの鉄観音のティーパック、レトロなパッケージのインスタント袋麺を購入。

個人的には中国製の伝説的な不味さのビール、燕京ビールをネタ的なお土産として購入したかったのだが、カートン売り限定であり、ネタで買うにはあまりに嵩張るため泣く泣く諦める。


Bは僕と同様に日本とは微妙に違う日用品のラインナップに驚き、興味を持ったちょっとした小物・食料品の類を色々と購入していたようだったが、

欧米ブランド嗜好で、奇異な物以外に何ら興味を持たないSにとって、台湾の日用品という物は興味関心の埒外にあるようで足早にフロアを駆け抜けて、何も買わずにレジの外でスマホで将棋をしながら時間を潰していた。


そんな彼の側に全自動オレンジ絞りジュース自動販売機なるものがあった。

お金を入れるとメカニカルな機構でオレンジを絞り、目の前で新鮮なフレッシュオレンジジュースを自動で提供してくれる中々ハイテクなマシーンであり、僕とBはは面白がって購入し、純度が高い美味しいフレッシュオレンジジュースに満足したのだが、
Sはその手の特殊な機械にも全く何の興味も持たず、そればかりか吐き捨てるように

「そんな得体のしれないモノよく飲めるね。虫歯になるから俺はいらないよ」

と一口でも飲んでみろよ、と薦める我々を見下すような態度を取ったのであった。
最後の最後まで彼は彼なりの哲学を持ち続けることにある意味関心したのであった。

日本へ戻る

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1時間ほどのカルフール探索を終え、ふと時計を見ると、もうこの場を去らなければ余裕が無い時間であることに気付かされてしまった。
台北駅近くのシャトルバス乗り場へ泣く泣くと向かう。


これでこの旅行も最後か、と思うと、途端に頭が痛くなり、心が重くなる。

日頃の絶望感を拭い去るための旅行であったが、却ってこの絶望がより強くなるように思えた空港までのバス。

楽しいこともあれば辛いこともある。

わかっちゃいるが、楽しみの終着点へ近づいることを肌で感じるのは言いようのない恐怖を覚えるものだ。

こうして台北を飛び去り、あっという間に成田へとついてしまった。


幻影を拭い去られてしまうことを恐れた我々三人は成田の居酒屋に入り、感想戦に入る。
だが感想戦に入って数日前の有意義な日々を回想しても明日には耐え難い現実が待っているのである。

こうして台北旅行は終わった。2泊3日だが台北は問題なく充実して楽しめる。
そしてやはり海外は良い。海外の風を感じると精気がビンビンに湧いてくる。そして日本へ戻ると体中のあらゆる精気が得体のしれない力で搾取されてしまう。


でも行けてよかった。また行こう。何処かへ……

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