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桃園空港からホテルへ 安さの理由 2016年6月の台北 男3人旅行 第1話

スコールの中の台湾

悪天候のため1時間遅れの16時半に桃園空港に到着。機内を出ると南国特有のムワっとした芳しい匂いと、まとわりつく湿気に襲われ、異国に来たという実感が沸き気持ちは昂ぶる。
イミグレでは大陸からの集団が何やら集まって紙の書類をせっせっと書いているのが気になったが、日本人である我々は特に何の問題もなく突破。初の海外入国審査に相当ナーバスになっていたBも呆気ないほど無事に突破できたことに安堵していた。 日本語で「ようこそ!」と言いながら送り出してくれる入国審査官のホスピタリティには感心せざすを得ない。流石一流国家台湾である。
着陸時にガラス越しで外を見た限りでは大した悪天候ではないと思ったが、いざ空港の外を出ると傘を挿しても意味がないレベルの大雨、亜熱帯特有のスコールを目の当たりにし唖然。雨の勢いが強過ぎたため、くもりガラス越しでは恰も何も降っていないように見えるというスコールの凄まじさを早速思い知らされる。
桃園空港は台北中心部から離れた所にあるため、バスで中心部まで移動。だが金曜日の夕方という超繁忙期且つスコールの影響なのか、バスに乗るまで長蛇の列で一苦労。やっとこさバスに乗れたとしても渋滞が凄まじく、通常であれば1時間程度で到着予定も2時間近くかかってしまった。飛行機の遅れも含めると当初の予定より3時間押し、幸先の悪いことこの上ない。
初っ端からトラブルが発生し、ハードラックとダンスしている状況ではあるが、気候についてはどうしようもないことである。台湾は繁体字文化圏のため、漢字を見れば直感でありとあらゆる掲示の意味が掴めるため、このようなイレギュラーな状況であっても冷静に自体を把握することが出来るのは有り難いことだ。バスも5社ほど乗り入れており、サービス競争が苛烈を極めているためか、フカフカのシートで各シート毎にテレビまでついており、これにはビックリ。地元のテレビなので言語の壁故に完全に理解は出来ないが、字幕の繁体字を読めば大体どんな内容か掴めるのも良い。渋滞で2時間のバス旅ではあったが、不快感や不安に襲われることはなかった。何より一人旅ではなく、友人二人が一緒、というのも大きい。ただちょっとピリピリした悪い空気になったのは事実。

まさかの五つ星ホテルで”ワケあり”の宿泊


ホテルは台北駅目の前にあるシーザーパークホテル台北。前身はまさかの台北ヒルトンホテル、というからすごい。
普段の旅行ではドミトリーに毛が生えたような安かろう悪かろうの所にしているのだが、今回はたまたまこのホテルの三人部屋が異常に安い値段で(一泊一部屋1万弱)予約できたため、思い切って豪華な所にしたのである。
立地が文字通り駅の対面とムチャクチャよい所にある大型ホテルなのだが、あまりに良い条件が整い過ぎているため、却ってどこにホテルがあるのか分からずスコールに打たれてびしょ濡れになりながら十分ほど探す有様であった。まさに灯台下暗し。普段変な裏路地ばかりに泊まっているから、マトモな所への耐性が無いという情けない事実が浮き彫りに。


ホテルのフロントは現代美術っぽいモダンな幾何学的オブジェと、如何にもシノワズリ全開の調度品が品良く調和した内装。フロントもノリの効いた制服に髪上げをピッチリ決めた美男美女。いつもはモノでいっぱいの薄汚れたカウンターに、愛想の悪さを煮詰めたような連中がやる気なさげにキーを投げてよこすような所ばかりだったのでそのギャップに驚かされる。
問題なくチェックインを済まて部屋に入ると、広々とした清潔感ある室内に、新しめの高級感ある寝具やソファーに一同驚嘆。


ただ一つ問題が


ベッドが2つしかない!3人部屋なのにクイーンサイズベッド2つ!

男三人旅行でこれは大問題!


慌ててフロントに追加のベッドを置けないか交渉するも、どうやらブッキング時に3人部屋だがベッドは2つ、という条件であることが分かった。(しっかり太字で念を押して書いてあったが、浮かれていたため完全に見逃していた)自分の注意力の無さ故に無用なトラブルを産んでしまい、自責の念に駆られる。フロントの人も申し訳なさそうに、部屋の構造上、追加のベッドはどうしても置けない旨、説明してくれるのだが悪いのは契約条件をよく読まなかった僕である。

代替案としてベッド代わりにソファーを使うことを勧められ、予備のブランケットと枕を無料で貸し出してくれることになった。
では誰がソファーで寝るのか、という話になるのだが、ここは体育会系の先輩後輩のサガ。後輩のBが自主的にソファーで寝ることを承諾してくれた。初めての海外旅行でソファー泊することになったBには本当に申し訳無い。

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↑ソファーで宿泊することになり肩を落とす後輩B


ここまでトラブルばかりで全体の士気が下がりきってしまった。だが我々は台北にまで来たのだ。このままドンヨリとした雰囲気のままホテルにダラダラ籠もるのも勿体ない。友人に発破をかけ、最初の目的地である士林観光夜市へ向かう。外の様子を見ると、何とか耐えられるレベルの雨量になっているようだった。まさに不幸中の幸い。

地下鉄のある地下街 讃岐うどん屋にて


ホテルは地下鉄の駅直結という最高の立地であり、エレベーターで地下鉄の改札のあるエリアまで行けてしまうのだから凄い!流石一流ホテル、こういう所も行き届いている!改札に向かう途中は飲食店や雑貨屋が立ち並ぶ活気ある商店街になっている。東京の八重洲地下街と雰囲気が似ている。金曜の19時という時間帯と加えて外は弱まったとは言え雨が降っているという事情もあり、地下商店街は地元の人達で溢れ活気に満ちていた。特に飲食店はどこも長蛇の列であったのだが、台湾では高級志向の吉野家、そして謎の讃岐うどん屋などの日本食の店が特に賑わっていたように感じたのは我々が日本人であるが故の自意識過剰さ故の感想であろうか?

特にうどん県香川が地元であるSは、謎の讃岐うどん屋を見て大興奮し、うがった目でかなり細かく写真を撮りまくっていた。

「ここで食べる気ないけど、絶対ここの讃岐うどんより俺の地元香川のうどんの方が安くて美味いよ」

と自慢げにお国自慢をするSだが、そんなこと言わずもがなである。
彼は常日頃からそのような発言が目立つ愉快なやつなのだが、ここ台北でも全くもっていつも通りであり、Bと僕は安堵したのであった。

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↑てっきり知らない日本のチェーン店かと思ったのだが、調べても出てこなかったので、どうやら台湾オリジナルのお店らしい。カレーや丼ものもメニューにあった。

台北駅の地下街は日本の大都市の地下街と殆ど変わらないほど栄えており、また全体的に清潔で整然としており、不便等感じられる所がなかった。地下鉄の案内も非常にわかりやすく、殆ど迷うこと無く士林観光夜市へと向かう地下鉄の改札へと到着できた。

既に時計は19時を周り20時になろうとしている。だが僕らの楽しい台北旅行はここからが始まり。一体どんなことが我々を待ち構えているのだろう。

などと超弩級の有名観光地である士林観光夜市に行くのに仰々しく構えるのも気恥ずかしくはあるのだが、地下鉄に乗る瞬間の「ついにここまでやってきた!」という達成感が入り混じった解放感の快感たるや否や!

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