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(元)駐妻のぼやき④

駐妻だった頃、とかく他の日本人ママ友と話す機会が多かった。治安や距離の関係で、周辺の日本人親子が行きやすい公園が限られていたのだ。

そこでは「日本に住んでいたら出会わなかった」であろう人と「日本に住んでいたらしなかった」話をすることがあった。

狭い人間関係なので、とにかく角が立たないように。
ちょっと同意できないことにも、とりあえず共感しておこう。


そんな適当なスタンスで聞いた話についてぼやいたこと色々。


駐妻ママのお金の使い方

育児に煮詰まっている様子のママさんがいた。
「とにかく平日日中子供と2人きりなのが嫌だ」と言っていて、お子さんがプリスクールに入れる年齢になってすぐに入れた。
当時、そこの地域のプリスクールはどこも高額で、働かないならまず入れないような金額だった。
彼女は「独身時代の貯金を切り崩して通わせている」と言った。

「子供に英語を身につかせたいし、1人の時間が欲しい。でもいざ1人の時間ができても何もやることがない。この上習い事にまでお金はかけられないし、ボランティアも性に合わない。

だから、皆さんお茶やランチに誘ってね」

彼女は日本人ママ達がいつも子供を連れてくる公園に1人で来てそう言った。

私は「そういうお金の使い方ができるのが羨ましいな」と嫉妬で胸がしめつけられるようだった。

駐妻の噂話

アメリカに来てからワンオペ育児が始まり怒涛の日々を過ごしていた私とは反対に、渡米してからやることがなくなり、毎日暇で暇で気鬱になってしまった奥様がいた。

私が初めてその人のことを知ったのは日本人村での噂である。さすが村社会

新しく来た人と知り合う前にプロフィールが知れ渡っていた。
気鬱になってしまった人は仕事を辞めてきていて、お子さんもいない新婚さん。すべて本人からでなく噂経由の情報で知った。

その時輪になって話していたのは全員子持ちの専業主婦。毎日慣れない異国で家事育児に奮闘していたからか、1人が「そんなに暇なら子作りでもすればいいのに」と言ってこの話は〆られた。

こいつは鬼か。
しかし、私も傍から見たらこの鬼に加担しているように見られるのだ。

海外生活の心細さから日本人同士でつるんでいたが、自分はこのままでいいのか足元が崩れるような感覚がした。

風邪ひきプレイデート

ある時日本人ママ友の家で、日本人ママ友だけのプレイデートがあった。
 ※同じ国出身同士で固まっているのは日本人だけでないので、ここはつっこまないでほしい

しかしある母子だけ当日キャンセル。お子さんが発熱したらしい。
残念だけど、今回は集まれる人だけで楽しもう…


と思ったらベランダからキャンセルしたママさんが現れた。
「寂しくなっちゃった」らしい。子供は風邪の症状が続いているので在宅の夫が見ているそうだ。

どこから何を言えばいいのかわからず、とりあえず笑顔を首から上に装着しておいた。


狭い狭い日本人村の中にも色々な人がいた。
「暇は人を殺す」という言葉は本当だと思った。
人間関係が濃く煮詰められた空間に隔離され、日本人村が全て、という感覚に陥ることがあった。
日本人村どころかアメリカを脱出した今でも、人間関係的な意味で閉鎖された空間が怖い。居場所を数か所作っておかないと心が休まらないのだ。


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