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PCD(プロセスチャレンジデバイス)とは?PCDの基本やその必要性、適切なPCDの選択について解説します。

その回の滅菌が正しく行われたかを確認する、日常の出荷判定に使用されるPCD。

器材内部までの滅菌保証を実現するSALWAYのコンパクトPCDシリーズは、欧州基準の滅菌保証を目指すSALWAYの代表製品の1つです。

「そもそもPCDとは?」
「PCDを使わなければいけない理由は?」
「どのように適切なPCDを選択すればいい?」

日々お客様と会話させて頂く中で、こんな疑問をお持ちの方が多くいらっしゃると実感しています。

その施設が滅菌している器材によって、選択すべきPCDは異なります。

本記事では、そもそもPCDとは何か、どのような基準で選択すべきかを解説し、ラインナップ豊富なSALWAYのPCDをご紹介します。


1. PCD(プロセスチャレンジデバイス)とは

1-1. PCDは process challenge device の略

PCDの正式名称は、process challenge deviceです。頭文字をとって、PCDと略されることが一般的です。


1-2. 日本語では工程試験用具とも呼ばれる

日本語では、カタカナでプロセスチャレンジデバイス、または「工程試験用具」とも呼ばれます。


1-3. 医療現場における滅菌保証のガイドライン2021におけるPCDの定義

医療現場における滅菌保証のガイドライン2021(以下ガイドライン2021)では、PCDは以下のように定義されています(p4)。

プロセスチャレンジデバイス(process challenge device:PCD)
洗浄、消毒および滅菌プロセスに対して予め定めた抵抗性を示すように設計された、それらのプロセスの性能を評価するために用いる用具。

「PCD」というと、滅菌プロセスの評価に使用するPCDを指すことが一般的です。本記事では、2~6章で滅菌プロセスのPCD、7章で洗浄プロセスを評価するPCDについて解説します。


1-4. PCDは意図的に抵抗性をつくり出すデバイス

医療器材の中には、その構造や材質から滅菌剤(高圧蒸気滅菌であれば飽和蒸気)が浸透しづらく、滅菌が困難なものが存在します。そのような器材の滅菌のしづらさ、つまり滅菌抵抗性を再現するのが、PCDの役割です。

では、なぜPCDを使用する必要があるのでしょうか?


2. PCDを使用する理由

2-1. PCDは日常の出荷判定用テストパックの1つ

PCDは、日常の出荷判定用テストパックとして使用します。「出荷判定」はその回の滅菌が適切に実施されたかを判定すること、「テストパック」はその判定に使用する試験用具を意味します。

ガイドライン2021(p18)では、日常の出荷判定用テストパックについて以下のように記載されています。

日常の出荷判定用テストパックの選定
日常の滅菌処理に使用する出荷可否判定用のテストパックは、以下の優先順位で選定する。
①マスター製品にBIおよび/またはCIを設置したもの、②マスター製品に特性が似た製品や模擬製品にBIおよび/またはCIを設置したもの、③市販のPCDにBIおよび/またはCIを設置したもの。

その取扱いのしやすさから、③市販のPCDを使用するのが一般的になってきています。


2-2. インジケータを器材内部に挿入する代わりに、PCDで器材の滅菌抵抗性を再現する

ラパロ鉗子や気腹チューブなどの内腔器材は、内部に蒸気が浸透しづらく、滅菌が困難な器材の代表例です。器材が滅菌できているかを確認するために、BIやCIなどのインジケータを使用しますが、インジケータはそれが置かれた場所の情報しか得ることができません。つまり、器材内部までの滅菌条件を確認するためには、本来はインジケータを器材内部に入れなくてはいけません。

しかし、物理的にインジケータを器材内部に挿入することは困難です。そのため、器材内部のように滅菌がしづらい環境を疑似的に再現するPCDが必要となるわけです。



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