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2024年4月「読んだ!」マンガまとめ

こんにちは。マンガライターのちゃんめいです。

新旧問わずに今月読んだマンガを全て紹介する本企画。元々マンガが大好きで毎月たくさんマンガを読んでいましたが、マンガライターとして活動し始めてから読む量が尋常じゃなく増えました。できることなら全作品しっかりとした漫画評を書きたい! けれど、現実的になかなか難しい。いやでも、せめてあらすじや一言感想メインだけでも!……という謎の使命感からこのnoteが誕生しました。

ちなみに、「Real Sound ブック」さんでは“今月発売された新刊”というしばりでおすすめのマンガを紹介しているので、とにかく新作が読みたい! という方はこちらもぜひ。

読み応えのある、または濃密な漫画評が読みたい方にとっては、こちらのnoteはかなり薄く感じるかもしれませんが、もし良ければ読んでいってくださいませ。この記事があなたにとって新たなマンガとの出会いになりますように。

▼ 過去の記録はこちら


ホラー漫画の女王ができるまで

平成のホラー漫画ブームを牽引された犬木先生の光と影を描いた「まんが道」的一冊。小学生の頃、夏になると「なかよし」の特別付録にホラー別冊付録がよくついてきたのだが、そこで犬木先生を知りました。特に『三途の川』は衝撃的だった…….。

作品のことは覚えていても、犬木先生のこれまでの歩みについては存じ上げなかったので興味深く本作を拝読。編集部の意向(というかアドバイス)で、あえて存在やプロフィール文をミステリアスっぽくさせられるなど、ホラー漫画家ならではの面白裏話の数々。一方で、出版社の騒動や作家間でのトラブルによって、疲弊していく影の部分まで。“ホラー漫画の女王”という栄冠だけではなく、闇の部分にも切り込んだ一冊。ベタな感想だけど、幽霊より人間の方がよっぽど怖いなと。

空は世界のひとつ屋根(1巻)

日本最南端に位置する「奥ノ鳥島」を舞台にした、大空港物語。いやもう、どのシーンを切り取っても絵になる。それくらい、風景や描き込みの小物までが美しい作品。あと、主人公の桜(せれっそ)がベリーショートで、ファッションがヘルシー&ラフなサーフ系っていう。このアイコニックな感じもすごくツボです。詳しくはダ・ヴィンチWebさんでレビューを書いたのでぜひに。

ひらやすみ(7巻)

阿佐ヶ谷の平屋に暮らす、29歳フリーターのヒロトと美大生に通ういとこのなっちゃん。そんな2人の日常と交友関係を描いたハートフルホームドラマ。

最新7巻の季節は夏……。夏日続出の4月にぴったりすぎる巻でしたね。 各々が抱える劣等感や焦りが、夏の暑さと共にじわじわくる感じがすごく好き。あと、みんな美味しそうにビール飲むよね。最高です。

「Real Sound ブック」さんの4月のおすすめ新刊漫画では、もっと詳しくレビューを書いているのでこちらもぜひ。

マンガって何? マンガでわかる マンガの疑問

日本最古のマンガって鳥獣人物戯画でしょ.…..と思っている人に読んでほしい(私もそう思ってた)。 京都国際マンガミュージアムと京都精華大学国際マンガ研究センターが監修編集を担当。非常に豊かな視点でマンガの起源と現在地を読み解く一冊です。

あくまでクジャクの話です。(1巻)

生物学を制するものは恋愛を制す! 的なアカデミックかつニュータイプのラブコメですごく面白かった。 でも、他所の恋愛やトラブルは生物学を用いて解決するのに、肝心な自分の恋愛については感情ダダ漏れでスマートにいかないのめっちゃ可愛いですね。

「Real Sound ブック」さんの4月のおすすめ新刊漫画では、もっと詳しくレビューを書いているのでこちらもぜひ。

あの頃の増田こうすけ劇場 ギャグマンガ家めざし日和

「ギャグマンガ日和」シリーズで知られる増田こうすけ先生。夢も目標もなく、ただアルバイトをするだけの青年だった増田先生が大ヒットギャグ漫画家になるまでを描いた自伝的エッセイコミック。

作家さんの自伝的エッセイコミックって、読み手に大きな感動を与えるというか、感情を大きく揺さぶる“何か”があるのがお約束な気がするのですが。本作にはそれがない。本当に静かに、淡々と(もちろん苦労も努力もされていますが)大ヒットギャグ漫画家の階段を登っていく。

増田先生はギャグ漫画家になるためにこの世に誕生したのでは? と。そう思わざるを得ないくらいの奇跡&天才的エピソードの数々にこちらはもう、笑って震えるしかない。かなり新感覚な自伝的エッセイコミックだなと思いました。

ういちの島(1巻)

孤島が舞台のパニックホラーもの。まず、霧に包まれた孤島というロケーションが不気味さMAXで最高! あと、主人公が理性的だから物語を俯瞰して見れるのと。一緒に島を歩いているような空間演出の巧みさがあって、読んでいて楽しい。ホラゲーやってるようなゾクゾク感があります。

「Real Sound ブック」さんの4月のおすすめ新刊漫画では、もっと詳しくレビューを書いているのでこちらもぜひ。

ちーちゃん

映画『毒娘』に登場するヒロイン・ちーちゃんの前日譚を描いた本作。ちーちゃんは、不幸をもたらす災厄みたいな存在なのかな? と思っていたけれど。彼女は、日常に潜んでいる歪さというか、正常の皮を被った異常を炙り出す…….災厄とはまた違う、一筋縄ではいかないキャラクターだなと、一層『毒娘』への期待が高まる作品。(映画観に行かねば)

ふつうの軽音部(1巻)

タイトル通り、ごく普通の軽音部の日常を描いた『ふつうの軽音部』。主人公は90〜00年代の邦ロックを愛する高校1年生・鳩野ちひろ。初心者ながらも憧れのギターを手に入れた彼女は、念願の軽音部に入部する。

「銀杏BOYZ」「ナンバーガール」「andymori」など、思わず口ずさみたくなる邦ロックの名曲が数多く登場したり、バンド名を「ラチッタデッラ」にするところ(神奈川県民ならわかるはず)など、もういちいち鷲掴みなんですよね。大好きです。

「Real Sound ブック」さんの4月のおすすめ新刊漫画では、もっと詳しくレビューを書いているのでこちらもぜひ。

美食探偵 明智五郎(1〜9巻)

食に命を懸ける美食家の探偵・明智五郎が、食を通して事件を解決するミステリーもの。なぜか7巻で完結したと勘違いしていて(え、一瞬そう思いませんでした??)未読だった8〜10巻を購入し最初から読み返した。やっぱり、苺ちゃんと明智さんの関係性が良すぎる。恋でも愛でも、友情でもない…….。新しい男女の関係性を描いているなと思う。この関係性がすごく好きなんだけど、なんて形容すれば良いのか。ぴったりくる言葉が浮かばない。

横浜黄昏咄咄怪事(1巻)

主人公は都市伝説研究家の加賀美昭行教授。都市伝説にロマンを感じるものの、実は超絶怖がりのため引退を考えていた。そんな折に、話題の動画チャンネル「都市伝説クルーズ」の管理人・東條リアムと出会ったことをきっかけに、2人で新たな都市伝説を追うことに。

おじさんと若者の凸凹バディ感が可愛らしくて癒される一方で、作中に登場するのは「AI画像生成に何度も出てくる女」や「バックルーム」など。トレンドを押さえたバリエーション豊かな都市伝説の数々に、思わず童心に返ったように心が高鳴る。

「Real Sound ブック」さんの4月のおすすめ新刊漫画では、もっと詳しくレビューを書いているのでこちらもぜひ。

モラルハザード

「マンガMee」で懐かしい少女漫画(ミントな僕ら、パートナーとか)を読むのが好きなのだが。ある日、なんとなく目に入って読み始めたらまんまとハマってしまった『モラルハザード』。

一見裕福で幸せそうなママ友3人。ちょいちょいマウントを取ったり、見栄を張り合っているなぁ〜という感じだったのに、子供の受験に熱が入り過ぎたり、更なる豊かさを求めた結果、それぞれが自ら身を滅ぼしていく…….。

近年浸透してきた(?)ママ友地獄系の作品ではあるけれど、それぞれのママたちのバックボーンが詳しく描かれているから、全てには共感できなくても、ところどころ「わかる」ってキャラがいる。逆もまた然り。そういった「わかる!」とか、「いやいやその辺でやめとけよ」っていうツッコミをコメ欄で楽しめるので、寝る前についつい読んじゃう作品でした。

若草同盟

『恋のツキ』『あそびあい』でお馴染み、新田章先生の最新作『若草同盟』第1話。 読み切りなのかな? ってくらい綺麗に終わりそうだったのにラスト3ページでめちゃくちゃ突き落としてきますね.…..。 あと、主人公が眉毛全剃りするシーンとか、一つ一つの演出が天才的過ぎる。

推しが死んだ朝

ビッグコミックオリジナルの創刊50周年を記念したゲスト企画で、2月から始動した古屋兎丸先生の新連載。今月で最終回でした。

50年前に突然表舞台から姿を消した“推し”と老人ホームで再会する.…..ファンと推しを巡る終活の物語。推しとファンは絶対に交わらない、推しを救うことだってできない。それでもなお「一生推す」の真髄を見せられたラストだった。

2024年4月雑記🌸

ここからは毎月恒例、今月のお仕事報告です。

▼ コラム連載:あちらのお客さまからマンガです 第15回

新年度がスタートしてお疲れ気味のあなたに。水凪トリ先生の『しあわせは食べて寝て待て』について語っています。

▼ クイック・ジャパン:声優・島﨑信長さんインタビュー

『クイック・ジャパン』vol.171にて、声優・島﨑信長さんインタビューを担当させていただきました。 “声に人生を乗せる” その境地に辿り着くまで、そして4月19日に全国公開される「劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-」で島﨑さんが演じる凪について伺いました。

▼ 週刊スピリッツ:実写映画『バジーノイズ』風間太樹監督×むつき潤先生 スペシャル対談

「週刊スピリッツ」21・22合併号にて、実写映画『バジーノイズ』風間太樹監督×むつき潤先生 スペシャル対談の取材&執筆を担当させていただきました。 作品を通じて共鳴し合う同世代クリエイター2人の濃密インタビューをぜひに。映画は5月3日より公開です。

▼ 「第五回スピリッツ新人王」審査委員長・真造圭伍先生 インタビュー

「第五回スピリッツ新人王」審査委員長・真造圭伍先生へのインタビュー担当しました。 リアル『ひらやすみ』のなっちゃんみたいな新人時代の裏話や具体的なテクニック論は必見です。

その他執筆記事一覧はこちら

今月は念願の(?)個人サイトをリリースしました。プロフィール、仕事実績など、今までnoteやforrioにまとめていたことを一元化&内製化したって感じです。

作った理由としては、Xの最近の流れを見ていて、特定のサービスに依存し過ぎるのも良くないかなと思いまして。worksはまだ今年の仕事しか登録できてないんだけど、時間がある時にちまちま更新していこうと思います。

あと、今月は仕事をセーブして、ここ3〜4年の仕事を振り返ったり、今後について考える時間をたくさん取るなどしました。

「読んだ!」マンガまとめの作品数もいつもより少なめですが(あれ、トリリオンゲーム、推し子の最新刊とか抜けてるな? もしかしたら加筆するかも)このタイミングで自分のことをじっくり考える時間が取れて本当によかった。どの分野の仕事をメインでやっていきたいのか、とてもクリアになりました。目指すべき方向が見えたら、あとはもう走るだけですね。

来月は通常営業でいきますのでよろしくお願いします!

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