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#映画感想文271『ジェーンとシャルロット』(2021)

映画『ジェーンとシャルロット(原題:Jane par Charlotte)』(2021)を映画館で観てきた。

監督はシャルロット・ゲンズブール。母のジェーン・バーキンと娘であるシャルロットのドキュメンタリー。

2021年製作、92分、フランス映画。

ジェーン・バーキンは歌手であり、ブランド鞄の人、その程度の知識で観に行った。シャルロット・ゲンズブールについては知らないと思っていたが、彼女が出演している作品をいくつか鑑賞していたことがあとでわかった。

母と娘に流れる空気は、親しみと愛で溢れながらも、どこかぎこちなさがある。「あなたには特別な存在感があったから長女のケイトと同じように怒鳴ったりはしなかった」とジェーンは述べる。それに一抹の寂しさを覚えたのはシャルロットだけでなく観客も同じだ。

お母さんは長女であるケイトに気を許し、ケイトの方をより近しく感じていたことが徐々に明らかになっていく。

ケイトは転落死をしているのだが、それはおそらく自死であり、ジェーン・バーキンはそれを受け容れることができず、鬱を患ってしまう。本作でも、ケイトを映像で振り返ろうと試みるのだが、ビデオを直視することすらできない。

子に先立たれることほどつらいことはないとガルシア・マルケスも言っていたと思うが、本当に親に大きな傷を残すのだ。

ジェーン・バーキンは2023年7月16日に逝去。癒えない悲しみにようやく終止符が打たれたということも意味する。世界的な大スターであっても、抱えている悩みは市井の人々と変わらないのだという当然のことを改めて知る。

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