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映画『シービスケット』(2003)の感想

映画『シービスケット』を観た。監督・脚本はゲイリー・ロス、製作総指揮は主演のトビー・マグワイアが務めている。2003年に公開されたハリウッド映画である。

(わたしは、一時期、トビー・マグワイアが大好きで、彼の作品はほとんど見ていた。ただ、レオナルド・ディカプリオと乱交パーティーをしていたという疑惑が報じられ、2003年頃、ユニバーサルの社長令嬢のジェニファー・メイヤーと交際していると知り、一気に熱がさめてしまった。彼女がいることに落胆したのではなく、映画会社の社長令嬢と付き合うほどの野心家であることに引いてしまったのだ。ストイックな芸術家でいてほしい、という勝手な妄想を抱いていた。トビーは何も悪くない。Wikipediaを見たら、結婚して離婚もしているではないか。人生は早い。)

タイトルにもなっているシービスケットとは、競走馬の名前である。この映画を簡単に言うと、馬主、騎手、調教師、競走馬の物語である。彼らの人生が描かれていく。

1930年代のアメリカの大恐慌時代でが舞台で、一夜にして、お金が紙くずになってしまう。

馬主であるチャールズ・ハワードは、自転車屋をやっていたが、途中で自動車産業に乗り出し、成功していく。しかしながら、息子を自動車事故で失い、離婚することになる。

騎手であるレッド・ポラードは、たくさんの本が並んでいるような中産階級のお坊ちゃんだったのだが、大恐慌のあおりで一家離散の憂き目にあう。

競争馬のシービスケットは、はじめはおっとりとした性格で、寝坊や昼寝をする馬だったのだが、虐待のような調教を受け続け、気性の荒い馬になってしまう。

レッドは、シービスケットに走ることの楽しみを思い出させ、心を通わせていく。そして、彼らはあるレースで失敗をしてしまう。レッドは怒り狂うのだが、そこで馬主のハワードに指摘をされる。

「君は何にそんなに怒っているんだい?」

レッドはその言葉に我に返る。彼の怒りはレースで負けたことでもないし、右目が見えないことを隠していたことでもない。十代前半で、家族が失われ、孤独に生きてきたことに憤っていたことに気がつく。

このハワードという人は、非常に父性的で、アメリカ的な人物として描かれる。彼は即断即決で、人を切ったりはしない。待つ人なのだ。だから、観客は、安心して、この映画を観ていられる。

映画の後半は、落馬によってレッドが怪我をしてしまったり、レースのため、シービスケットは遠征したり、ライバルと戦ったりと競馬映画らしくなっていく。

古き良きアメリカが描かれており、ウェルメイドな作品だった。ちなみに2003年は『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』が公開されており、あまり賞には恵まれなかったようである。

チップをいただけたら、さらに頑張れそうな気がします(笑)とはいえ、読んでいただけるだけで、ありがたいです。またのご来店をお待ちしております!