見出し画像

授かりものを授かる

子供のいない人生を歩もうと、
そう決意して仕事も私生活も新たなスタートを切り出した。

その矢先、まさかの自然妊娠が発覚した。

不妊治療一色になりそうな自分に耐えられず、治療そのもののストレスにも耐えられず、ああ自分には覚悟がない、ここで諦めよう、と。

ふたりで歩む未来もいいじゃない

いつかのあの瞬間、私は悟った。

転職先の研修が始まり、ようやく新たな歯車が回りだしたと思っていた。

と同時に生理が来ないことに気付いた。


「諦めたら授かった」


界隈でよく聞く、不妊治療当事者の力を奪うコトバ

それがまさか自分の身に降りかかるとはツユにも思わなかった。

瞬く間に2本線の現れる妊娠検査薬の陽性反応に心底驚いた。


何分経っても真っ白のままの窓に絶望を感じたのはイチドヤニドデハナイ。

人生というのは終わりからはじまる物語があるのだなと、他人事の用にしみじみとしてしまった。

壮絶な不妊治療を現在進行形で進めているこの世のすべての女性、そしてそれを支えるパートナーの方々には頭が上がらない。

と同時に、妊娠した後も立ちはだかるいくつもの壁、そしてつわりに遭遇して思うのは

「人には人の地獄がある」ってことだ。

妊娠を素直に喜んでいるし、
あらゆる物事に感謝している。

それでも、次から次へと降りかかる日常の些細な事象にうなだれる日もある。


大事なものはね、
手に入れてからが勝負だよ

マンガのなかの誰かのセリフを反芻する。

ああ
生まれ変われるなら
来世はつわりの特効薬の開発者になりたい

頭ではあれが食べたいと思う
だがしかし、
胃はそんなもの冗談じゃねえと拒む

今日の正解はなんだろう
明日の正解は今日と同じ?

ジェットコースターの如く
レベルの変わる気持ち悪さに
振り回される。


美味しく御飯を食べられる日を夢見て
また夜が明けてく。










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?