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DIYな新生活 | 自己満足のドイツ駐在記録 (5)

2016年8月。
到着したドイツの夏は暑かった。

でも後々になってドイツの夏がとっても貴重であることを知る。

日本の夏はがっつり夏って感じじゃぁないですか。
毎日暑いし、太陽はカンカンに照るし、蝉はミンミン鳴きっぱなし。

ドイツの夏は短い。
たまに30度超えたな、と思ったら翌週にはまた20度台の日が続く。

幼少期から夏に弱い私にとってドイツの夏はそれこそ天国。

(なんて気候がいい地域なんだ…)

と感動した。

家にクーラーはない。クーラーなしで過ごすなんて想像もしていなかったが、ドイツではそんな暮らしが可能。
おまけに

台風もねぇ
ゲリラ豪雨もねぇ
季節に関係ないが地震もねぇ
あ〜おらここドイツの暮らしが好きだぁ〜

とここヨーロッパは恵まれた土地であることをつくづく感じる。

一方で日本に比べて大変というか不便なことも多々ある。

苦労したのはお家。

サムネのような素敵なキッチンを思い描いていた私。
現実はそんな甘くはなかった。

ドイツでは基本賃貸でも何にもついていない…。
何にもついていないというと

キッチンはねぇ
電気はねぇ
家具も家電も一切ねぇ
カーテンレールだってねぇ
倉庫はあるが棚はねぇ
あ〜おらこんな引っ越しは嫌だぁ〜

と嘆きたくなるようなスタートだった。

キッチンの取付は業者さんにお願いしていたので、入居時には完了していると思いきや、

「あー、まだ終わっていないのでカギ1セット業者さんに渡しておいてくださいー」

「えっ⁉️」

っと赴任当初は驚き。いやぁ、もう引き渡し完了してるのに、まだ工事終わってないなんて…

日本での常識は世界の非常識
郷に入れば郷に従え
Do as the Romans do.

そう、ここは海外である。
日本のようにはいかないよな…とマインドを切り替える最初の出来事。

しばらくは仕事が終わって家に帰ると、キッチンを施工している業者さんがにっこり笑顔で出迎えてくれて、入れ違いで帰っていく、という日が1週間くらい続く。

そんなこんなでキッチン完成。やったー♪

いざ使ってみようと思い換気扇をオン。

とよくよく換気扇を見ると、どーも外につながっている気配はない。

フィルターを通した後、天井あたりに空気を出しているだけのように見える…というかそうなのである。

(なるほど、こちらの換気扇は外につながってないんだ、へぇー)

とこれまたカルチャーの違いに感動(困惑?)

慣れないうちは、炒め物をすると部屋が煙でもっくもくになって焦っていた…

(あー、そうだ。換気扇だけじゃなくて窓も開けないと…)

今では無意識に

換気扇ポチ→窓ガバっ

と流れるような所作が身についている。

続いて照明である。

「日本だって照明がついてない賃貸が当たり前ですよねー」

って思うじゃないですか。いやいや、レベルが違うんですよ。

日本だと天井にソケットが固定されていて、そこに差し込めば電気が付くじゃないですか。

こっちドイツでは天井に穴が空いてまして、そっから電気のコードが日本出ているだけ。

(えっ、これって自分で接続しなきゃいけないの⁉︎)

そうなんです。基本ドイツは賃貸でもDIY。

ウチの場合はたまたま知り合いの知り合いで照明の取付をやってくれる方を紹介いただき、取り付けてもらうことができた…。あー良かった。

照明はちょっと感電のリスクがあるので自分でやるのはやめておいたものの、棚の取付などは自分でやってみた。

壁の作りも違うので、ネジ打っておしまい
という訳ではない。

基本コンクリートなのでネジを固定するためのアンカーを先ずは壁に仕込むところからスタート。

ドリルでガーっと壁に穴を開ける時は

(えっ、これでいいのか?こんなに掘っていいのか?)

と不安になったが、これをやらないと棚がないので勢いに任せてガーガー掘っていった。

他にも基本イケヤの家具の組み立ても自前でDIY。

おかげでDIYのスキルは格段に上がった。

最後に残った問題はカーテンレール。

ドイツの夏は短いが、日照時間は長い。
サマータイムもあるので22時過ぎてもまだ明るい。

さすがにカーテンレールを自前で取り付けられるスキルはなかったので、これまた業者さんにお願いしたのだが、すぐにはやってくれない。

なんだかんだ1ヶ月くらいはカーテンなしの生活。

最初はアイマスクでなんとかいけるかな?と思ったが、
自分が寝ている姿が外から丸見え。

夜はいいが、朝日が登って、1人ポツンと何にもない部屋でアイマスクして寝ている姿を晒すのはしんどいな、と思い断念。

ではどうしたか…

(おー、1箇所真っ暗になる場所があるじゃないか)

と見つけたのが、まさかの廊下である。

廊下というか、踊り場スペースはちょっと広くなっていて、ちょうどドアとドアの間で窓も一切ない。

しばらくはせっかく家族が住める広い家を借りたのにも関わらず、この「踊り場生活」をしていた。

ということで、なんだかんだこの何にもないマンションを3ヶ月くらいかけて少しずつ「住める」環境に整えていった。

今思えば、単身で来ておいて良かったなぁとつくづく思う。

家族が来ていたらこんなにのんびりとやっている訳にはいかなかっただろうし、時間がかかるものはどうしても時間がかかる。

ベッドのマットレスもなんだかんだ注文してから1ヶ月とか平気でかかったりする。

とにかく日本とは感覚が違うことを思い知った経験でした。

つづく

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