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HMDの新たな可能性とその課題:手元から大画面への適応(榊正宗)

こんにちは、榊正宗です。今日は、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)の利用についての考察をしてみたいと思います。

まず、HMDの矛盾点の一つとして、手元にあるようなものを表示するのに向いていない点があります。例えば、HMD版Kindleを想像してみてください。これは読みにくいと感じる人が多いはずです。手元で使うならば、スマートフォンやタブレット、Kindle端末の方がずっと適しています。

しかし、最近の技術進歩により、Apple Vision ProなどのHMDは空間コンピューティングの領域で新たなコンセプトを提示しています。これには、リアルなVR世界ではなく、PC画面などを表示して作業するというアイデアが含まれています。HMDならではの利点は、物理的な大スクリーンの代替としての能力にあります。大きなスクリーンなら、多くのウィンドウを開くことが可能です。

しかし、ここで一つ疑問を投げかけてみたいと思います。もし映画館にPC画面を表示して作業している様子を想像してみてください。作業効率は本当に高まるでしょうか?映画館サイズのスクリーンでは、小さな文字も読めるかもしれませんが、実際には映画館では大きな文字でなければ読みにくいのです。広い空間にびっしりと書かれたPCのWebページのようなものは、映画館には適していないのです。

Apple Vision Proはその性能をプレゼンテーションするために、PCの複数ウィンドウを表示して作業するイメージを見せています。これは非常に魅力的に見えますが、人間の集中力は広い画面に対して散漫になりがちです。たとえ自宅に映画用の8Kテレビを買ったとしても、作業用には向かないかもしれません。

Apple Vision Proはその性能においては、価格が高いこともあり他を圧倒するのは間違いありません。しかし、多くの作業は手元で行うべきものが多いということに注意が必要です。大画面での人間の注意力が散漫になる問題を解決しなければ、Apple Vision Proに限らず、HMD全般は、HMDでKindleを読むのに向いていないという問題をクリアできないでしょう。

HMDは大画面向きであり、大画面やテレビでの文字が大きく、映像のような感覚で使えるブラウザが生まれることを切望します。新しい技術の進歩には常に期待していますが、それと同時に、その技術が私たちの生活にどのように適応するか、またどのような問題を解決する必要があるかを常に考えていきたいと思います。


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