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第一子を失ってから

41歳で初めての妊娠を経験し、初めての子と妊娠4ヶ月でさよならをした後、私の生活は暗かった。
一人でいる時は涙が出て、それでも悲しいという気持ちを誰にも話せなかった。町行く子連れの人や友達からの妊娠報告にも心の中で悪態をついたりしていた。

最初の頃は、夫に悲しい気持ちをぶつけたりしていたけど、俺も悲しい、世の中同じ境遇の人はいっぱいいるけど、みんな普通に生活しているんだと言われて、余計に悲しくなって心を閉ざした。

その後の夫はというと、次があるといった感じで常にポジティブだった。だけど今考えると彼も私と同じように、いや私以上に悲しい気持ちを抱えていたのかもしれない。
人の気持ちは夫婦といえどわからないものだ。

そんなこんなで半年が過ぎた頃生理が止まった。ひょっとしたら妊娠したのかなと思って検査薬を使ったけど、陰性だった。
生理が遅れることはほぼなかったし、止まったことなんて一度もなかったので、驚いて病院に行った。
先生はよくあることです、と薬を処方してくれた。
その場で、夫が実は第一子を失って次の子を考えているのだけど、と話を始めた。
すると先生は、奥様41歳ね。時間を無駄にしないで。急いで専門クリニックに行って相談しなさいとクリニックの名前を教えてくれた。

私は乗り気じゃなかった。病院通いは気が重い。さらにここはイタリア。
得意ではないイタリア語を話さなければならないし、お金もかかるだろうし、予約を取るにも時間がかかるだろうなと。
夫は、すぐに行こう。できないできないと不安な日を過ごすより、パッとお金を払って解決しようと言った。そして、夫が職場の人にそのことを相談したところ、偶然その専門クリニックに友達がいるということですぐに話を聞くことができて(イタリアはコネ社会で知り合いがいるととても優遇される)、とんとん拍子に先生に会うことができた。

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