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「コロナ禍にどう挑むか?オフラインビジネス起業家の有事のグロース戦略」【 #女性起業家支援プログラム レポ】

コロナの大打撃をうけ、休業や運営停止に追い込まれていた対面接触が必須となるビジネスが多くありました。
まさに「売上ゼロ」、「顧客の半分以上が休会」 という突然のピンチに襲われた、オフラインビジネスを行う2社の起業家に、この二年半、どうビジネスを再開し、どう乗り越えていったのか、経験と有事の経営者のマインドセットについて共有していただきました。そのトークセッション「コロナ禍にどう挑むか?オフラインビジネス起業家の有事のグロース戦略」の様子をご紹介します。

本記事は、SK-IIと渋谷区、meeTalkが連携し、共同で開催した #女性起業家支援プログラム の一部です。新型コロナウィルス感染症の影響を受けた女性のビジネスオーナーを支援するため、ビジネスを継続・発展させるために必要な「学び」と「ネットワーク」を得られるセッションと交流の場を提供。多くの女性起業家たちが集いました。

👇 今後の開催はこちらでチェック
https://twitter.com/meetalkorg

登壇者ご紹介

小日向えり / 株式会社ぴんぴんころり 代表取締役
趣味の歴史好きが高じ、「歴ドル」として芸能活動を行う。祖母の元気がなくなってしまったのをきっかけに、高齢者支援を志し、株式会社ぴんぴんころりを創業。起業は2社目。事業が軌道にのった2020年に芸能活動を引退。メイン事業の「東京かあさん」はご近所にもうひとりのお母さんを持てるサービス。家庭と仕事の両立に忙しい子育て世代を、シニア世代がサポートする。
https://kasan.tokyo/

山野 智久 / アソビュー株式会社 代表取締役CEO 
東日本大震災の起きた2011年に、アソビュー株式会社を創業。メイン事業のアソビュー!」は、休日の便利でお得な遊び予約サイト。遊びを提供する観光・レジャー・文化施設のDX支援や業務・販売管理のSaaSサービス提供なども行う。経営ドキュメンタリー「弱者の戦術」上梓。

鈴木聡子 / フォースタートアップス株式会社 執行役員 Communication Design (モデレータ)
成長産業支援事業を展開するフォースタートアップス株式会社で、スタートアップコミュニティの発展を推進。また、日本の未来をアップデートするため、「人」「お金」「情報」など様々な側面から起業家を支援している。直近、非財務面から企業価値の向上を目的とする「Startup Lights」プロジェクト(https://startuplights.jp/)も始動。2022年8月1日、iU 情報経営イノベーション専門職大学の客員教授に就任。
https://www.forstartups.com/

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「売上ゼロ」、「顧客の半分以上が休会」 突然のピンチに襲われた2社

本セッションのゲストは、いずれもオフラインでの体験を提供するtoC企業の経営者であり、2年続くコロナ禍においてピンチを乗り越えてきました。最初のトークテーマは「『コロナ禍のダメージ』何がおこったのか」。モデレータ フォースタートアップス鈴木聡子さんの進行で、まずは山野さんに伺います。

2020年4月の緊急事態宣言により日本全国で「おでかけ自粛」がなされました。おでかけ支援の「アソビュー!」にとってはマーケットの消滅と同義であり、その際に起きたことは2つでした。

1つは「売上ゼロ」。
そしてもう1つは「エクイティファイナンス
(*)が絶たれたこと」。
(* 企業が新株を発行して、事業に必要な資金の調達を行うこと)

ほぼ決まりかけていた調達も白紙撤回になり、100社ほど交渉を行ったものの全てゼロ回答という状態に陥ります。

「アソビュー!」は、休日の便利でお得な遊び予約サイト。遊びを提供する観光・レジャー・文化施設のDX支援や業務・販売管理のSaaSサービス提供なども行う。


小日向さんが運営する「東京かあさん」は、右肩上がりにサービスが伸び、いざアクセルを踏もうという時にコロナに襲われました。「東京かあさん」に協力するシニア世代の平均年齢は67歳。個人の家庭で、育児や家事を対面でサポートするというサービスはコロナ禍との相性が悪すぎました。
コロナ特別休会のプログラムを用意したところ、半分以上の方が休会を選択。
売上高は大きく下がりました。

「東京かあさん」はご近所にもうひとりのお母さんを持てるサービス。家庭と仕事の両立に忙しい子育て世代を、シニア世代がサポートする。

ピンチを迎えた2社。当時の様子について深掘りします。

山野さんは、「判断は3月中旬くらいに行われました。インバウンドのマーケットが盛り上がりを見せていたため、中国のグローバルOTAのトップとコミュニケーションをとっていたのですが、コロナはかつてのSARS同様に拡大し、いずれグローバルに広がる可能性があるということを聞いていました。日本の報道も加熱し、同じことが起こると考え、業態判断含めて何かしらの手を打たねばと思いました。」と明かします。

一方、小日向さんは、「3つの深刻度のパターンで事業計画を引き直し、2022年1月にコロナが終わるという計画のもと、第二のサービスも作るプチピボットを決めました。」と話します。

そして、「全てにおいて心理戦と情報戦が命。いかに正しい情報と、世間がどう考えているかが大事です。」と加えました。それに対しては山野さんも、「C向けサービスの経営者にとっては、自分がどう思うかより、消費者の方に気持ちを寄せるべきです。また世論は報道からできてくると思います。」と同意。世論を知る方法としてお二人とも、ワイドショーをあえて毎日見ていたそうです。

闇があれば光もある サービスの磨き込みに時間を使いチャーンレートを下げた

続いて鈴木さんは、大ピンチの中で決めた「覚悟」について聞きました。

小日向さんは、不安定だった芸能活動での経験も踏まえた上で、
「物事には光があれば闇が、闇があれば光もあります。時間があるならインプットに力を入れることができる。カスタマーサクセスチームでサービス改善研究を行ったところ、チャーンレートがぐっと下がり、それは今の事業にも活きています。ピンチの中にはチャンスもあることを社員に伝え、自分も気持ちを切り替えてやっていました。」と話しました。

コロナで空いたリソースをサービスと組織の磨き込みに充てた小日向さん。

一方、山野さんは、当時のリアルな心の内を教えてくれました。『会社存続』と『雇用の維持』、この2つはやりきると決めました。

ただ、今はこうして語れているけれど、実際は生まれたての子鹿かってくらい不安でした。諦めるかやりきるかは、ほぼ50%の葛藤。結果的には達成できたことですが、本当に悩んだ末の選択でした。」

ピンチを救う普段の信頼構築、「Pay It Forward」の起業家文化

また、ピンチをチャンスに変えた小日向さんは「周囲のアドバイスが力になった」と言いますが、話題は経営者同士の繋がりに移ります。

「山野さんとは、勉強会で講師をされていたときに初めてお会いしました。すごい方だなと、自分から挨拶をしに行きました。無視されたら仕方ないですが、行かなければチャンスはゼロなので。」と小日向さん。

また、山野さんはコミュニティの重要性を語ります。

「コミュニティは非常に大事です。明治維新も、コミュニティの力が生み出したわけです。起業という共通の目的ある人が横で繋がるのは重要。その上で先人達にどうアクセスするかは『突破力』。仲間とディスカッションしたり、時には慰めあったりして学びを深めてきました。」

現在は、“突破”される側となっているお二人。どんなコミュニケーションをとると、より応援したくなるかを聞いたところ、セッションや著書の感想を添えるなど「あなたに助けてほしい理由」が伝わるとよいとのことでした。

起業家は「Pay It Forward」のカルチャーの中の存在で、受けた恩を次世代に返していこうという想いを持つ方が多いそうです。

しかし、守るべきものが多い経営者にとって時間は貴重。思いやりが大事です。

お二人も、過去さまざまな方に助けられて有事を乗り越えてきました。人と人との関係について鈴木さんから問われると小日向さんは、

「人に喜んでもらうのが好きな性格で、困っている人がいたら助けたい気持ちが強いタイプ。でも『情けは人のためならず』と言いますが、ギブや利他の精神は結果的に自分に返ってきているのだと思います。」と答えました。


また、売上が激減する中でも雇用を創出し続けるため「アソビュー」では、社員を一時的に出向させる「雇用シェアリング」の仕組みを提唱。その際に、ランサーズ株式会社の秋好さんに助けられたことが山野さんの著作「弱者の戦術」でも語られていました。

「代表として巻き込んだ仲間とやりとげたい責任感がありました。そこで、支えてくれたのは人との繋がりと顧客起点のプロダクト開発。『雇用シェアリング』を着想した時、最初に協力すると言ってくれたのは、十年来の友達のランサーズ秋好くんでした。また、受託開発を行う中、繋がりのある経営者の先輩に発注いただいたり、仲間やSNSフォロワーの方に、『雇用シェアリング』の情報をシェアしていただいたりと、平時から培ってきた信頼関係が力になって支えてくれました。」

有事のときほど面白く 。社員と話す「スナック」を開業

チーム内のコミュニケーションも大きな課題でした。

当時150人ほどの組織であったアソビューでは、平時は優秀な“将軍たち”に権限移譲していましたが、有事の際は情報伝達のタイムラグを防ぐため、トップダウンで山野さん自身の言葉を伝えました。

デイリーで会社の状況、トップの心境などをZoom、Slack、note、Twitterなどさまざまな媒体で社員と、直接のコミュニケーションをとりました。

また、不安を抱くメンバーに自身の想いをより深く伝えるため、山野さんはオンライン飲み会「スナックともこ」を開業しました。山野さん行きつけのスナックの“ともこママ”が、「常連の山野さんは、こんなことを言っていたよ」ということで、成り代わって社員と話す、という設定です。1回の参加人数はZoom画面で表示される、山野さん含め9人まで。10回程度開催したと言います。コロナ禍で不安に思うメンバーを、ユニークなアイディアでまとめていきました。

■質疑応答

最後は質疑応答です。
1つ目は、「自己開示が苦手」という相談。

小日向さんの回答

「私は、逆に辛いときに抱え込むのが苦手なタイプ。人と話すと自分自身が楽になり、自己開示をする方が、周りも助けてくれると思います。でも、しないタイプのリーダーもいるので、苦手なら、やりやすいタイプのリーダーをロールモデルにするのが良いのではないでしょうか。」

山野さんの回答

「無理にやる必要はないのですが、できるようになればメリットになると思います。心理的安全性は相互理解。組織マネジメントにおいては、自己開示は大きな手段になるので、コミュニケーションスキルとしてトレーニングすると良いかと思います。」

2つめの質問は、「どのようにユーザーや世間の声を拾っているのか」。

小日向さんの回答

「『東京かあさん』ユーザーの方に直接聞いていました。N1の深掘りは大事です。世論を察知する方法としては、ヤフーニュースを読み、コメント欄の反応を予想するなどして鍛えています。

山野さんの回答

週に1度、ユーザーインタビューを行っています。世論把握の方法としては、できるだけ“生活をする”こと。電車に乗って中吊り広告を見たり、週刊誌の見出しはどうなっているのかなど、見ています。また、性別・年代の違う友達と遊び、知らない知識やトレンドを取り入れています。生活を通して遊ぶのが大事ですね。」

最後は、「メンタルを回復する方法」について。

山野さんの回答

「メンタル回復は大事ですが、一度折れてしまうと修復が難しいので、折れないようにするのが大事です。懸案事項を考えない、脳のCPU回復のための時間を作ります。経営には悪い時もあるというのは織り込み済で、リカバリー施策を考え、自分を大事にしてあげてください。

小日向さんの回答

心がガチガチだと折れるので、たおやかな心をもつと良いです。悪いことが起きても受け入れることができるのは、強い心というより、ぐにゃぐにゃになり柔軟に対処できるようになったのだ、という気づきがありました。」

■応援メッセージ:一歩踏み出し、ちょっとずつ積み上げれば道が拓かれる

小日向さんからのメッセージ:

「小さな一歩を踏み出すことが、ちょっとずつ今に繋がっているのだと思います。大それたことでなく、週末起業とか、空いている時間に育てるので良いと思います。目の前のことをやっているうちに道が拓かれると思いますので、一歩を踏み出してもらえればと思います。」

山野さんからのメッセージ:

「自分らしく12年をやってきた中で、「アソビュー」のマーケット認知も拡大してきました。コツコツやれば、自分の描いたところに焦らずともなっていくことを経験しました。起業を興味の範疇として捉えた皆様なので、感性を大事に、小日向さんがおっしゃったように、自分らしくちょっとずつ積み上げていってください。」

トークセッション「コロナ禍にどう挑むか?オフラインビジネス起業家の有事のグロース戦略」のレポートは以上です。

他にも続々と、講義・トークセッションのレポートを公開していきますので、ぜひチェックしてみてくださいね!

👇meeTalk 女性起業家支援プログラムの記事まとめ
https://note.com/meetalk/m/m552b00b92503

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【開催概要】
女性起業家支援プログラム
#CHANGEDESTINY
主催:SK-II、meeTalk
協力:渋谷区
内容:女性起業家・事業主のビジネスをサポートするための、学びとネットワーキングのためのプログラム
日時:2022年6月22日(水) 〜 6月23日(木)
会場:オンライン配信& オフライン開催 @渋谷TRUNK HOTEL
公式HP:https://meetalk.org/sk2changedestiny/


ライター:eribousan

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