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【クリティカル・リーディング】〜巷に溢れるマーケティング関連書籍・文章、セミナーなどにやたらと触れる前につけておくべきスキル

(特に)実務家が実用書的なマーケティング本などを読み、

「おおお!なんて良いことが書いてあるんだ!」、
「この本、わかりやすい!」
「なるほど!○〇〇は古い!これからは○○○○だ!!」
「○〇〇は役に立たん!○〇〇○を活用すべきだ!」

といった、“素直”な感想コメントを挙げているのをよく見かける。

そうした話題の本を手に取って読んでみると、「・・・・・?????」となることがあり、前後の文脈で筋が通っておらず論理的整合性がとれていなかったり、そもそも書いてあることが間違っていたり、「あなたの意見ですよね」レベルに概念や定義の理解を誤ったり歪められていたりして書かれていることがよくある。

つまりそういう本に出会って、書いてあることを“素直”に信じてしまうというのは、「誤った」知識や認識を自分の頭に植え付けてしまうという危うさがあるということでもある。

私自身は、そうした誤った内容を文章化・書籍化し、読者をどこかに誤った方向に導こうとしてしまう書き手自身も相当の責任があると思っているのだが、一方で、そうしたものに惑わされないように、読み手側が訓練するしかないとも思う。

そこで重要なのが、「クリティカル・リーディング」である。

クリティカル・リーディングは、与えられたテキストを額面通りに受け取るのではなく、提示された主張だけでなく、その裏付けや反論の可能性についても深く検討する言語分析の一形態である。
(略)
著者の推論にありそうな曖昧さや欠陥を特定し、それらを包括的に扱う能力も、このプロセスには欠かせない。
クリティカル・リーディングは、アカデミック・ライティングと同様に、証拠となるポイントを対応する議論と結びつけることが必要である

Wikipedia - Critical Reading https://en.wikipedia.org/wiki/Critical_reading

クリティカル・リーディングは、日本語では「批判的読み」とも訳されるが、この“批判的”という言葉が、どうしても“否定的”というニュアンスで取られがち。おそらく日本人が議論を苦手とするのは、この“批判的”な部分を「自分が否定された」というふうに思いがちだからなのではないか?と思うこともあるが、そもそも「批判」とは、

ひ‐はん【批判】 読み方:ひはん
1. 物事に検討を加えて、判定・評価すること。「事の適否を―する」「―力を養う」
2. 人の言動・仕事などの誤りや欠点を指摘し、正すべきであるとして論じること。「周囲の―を受ける」「政府を―する」
3. 哲学で、認識・学説の基盤を原理的に研究し、その成立する条件などを明らかにすること。

https://www.weblio.jp/content/批判

なのだが、どうしても、2.の部分だけが強調されしかも「否定」というニュアンスで取られる。

千葉大の上記のリンク先にもあるように、

文献を「批判的に」読むとは、文献に書かれていることについて、鵜呑みにしたり、頭から否定したりせず、立ちどまってよく検討しながら読む、ということを指します。「批判的」という言葉は、否定的にとらえる、非難する、といった意味合いで使われることもありますが、ここでは、そのような意味で用いているわけではありません。

大切なのは、文献に書かれていることにたいして、本当にそれで主張が支持できるか、もっといいアプローチはないか、データやその解釈は正しいか、などといったことを検討しながら読むことや、その主張を受けいれたい、あるいは受けいれたくない、という自分自身の考えにとらわれながら読んでしまっていないか気をつけることです。

批判的に読むとは(千葉大学 academic link)

ということであり、書かれていること、話されていることについて、気をつけながら読む・聞くという態度が、「クリティカル(批判的)」であるということ。

※参考までに、以下の中学3年生向けの動画もおすすめしておきます。

さて、ここまで読んでもらうとだいぶ理解はしてもらえると思うけれども、このクリティカル・リーディングのトレーニングをちゃんとしておかないと、書籍などに書いてあることを鵜呑みにしやすい(セミナーなどでの甘言・美辞麗句に耳を傾け過ぎてしまうのも同様)。

そういう人は実用書的なマーケ本を読むと、その内容の妥当性や正誤の判断抜きに、すぐ頷いてしまう危うさがある。

この傾向は書籍やセミナーなど、常に情報過多なマーケティング業界ではよく見かける。そして、流行り言葉や新語に惑わされてしまう。

クリティカル・リーディングをもう少し別の言葉で言い換えると、“正しく疑いながら読む”ということ。

なので、流されたくない、惑わされたくない実務家こそ、書店やAmazonでマーケティング関連本を買ったり、どこの誰が書いたかわからない note やソーシャルメディアの投稿にうなずく前に、クリティカル・リーディングを学んでみてほしいと思う。

以下、クリティカル・リーディングに関する参考図書。
どれも入門的な書籍ですが、内容レベルは並びの順番になってます。

それと、学校教育の現場でも、このクリティカル・リーディングを教える重要性が増しているということで、こういう書籍も出ています。


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