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韓国ドラマのヒット連発に学ぶ、マッサージ型のコンテンツ

コンテンツはマッサージである


マッサージとして機能しているコンテンツがあります。たとえば、ドラマがそうです。マッサージとして機能するドラマは、視聴者に備わった感情を刺激するツボを押すパターンを心得ています
例を挙げると、『水戸黄門』という時代劇がありますが、最初に身分を隠して旅を続ける黄門様が、態度が横柄な代官に出会います。この時、視聴者はモヤモヤするツボを押されるわけです。ラスト付近で印籠をかざして正体を明かすと、視聴者は爽快感が走るツボを押されます。
『水戸黄門』ではそういった特定の感情が動かされるツボ押しをしているので、ツボ押しには一定のパターンがあります。
ちなみに本当のマッサージに行っても、毎回押されるツボは一緒ですが、それでも気持ち良さを感じます。毎回同じツボであっても押されれば気持ち良い、これはコンテンツも一緒です。これをよく心得ているのが韓国ドラマなんですね。

ヒットを連発する韓国ドラマも、ツボを押しにいっている


韓国ドラマは、恋愛ものであれサスペンスものであれ、ヒットするフレームワークに従って内容の要素を入れ替える形で発表されることが多いです。この使用されているフレームワークが同じなのは、気持ちの良いツボを押しにいっているからです。

例えば、大ヒットサスペンス『ペントハウス』というドラマがあります。このドラマは超高級タワーマンションに住む富裕層の住人たちを描いていて、マンションから一人の少女が転落したところからはじまる、復讐劇が描かれています。

このドラマは韓国で大ヒットし、「観ていない人がいない」と言われるほどでしたが、同じ制作陣による新作『7人の脱出』が発表されました。これを観てみると、ほぼ『ペントハウス』と設定が似通っており、改めてこの作品を作る必要があったのかと思えるほど、同じフレームワークを使っています。
普通の過程で育てられた少女が、実は富豪の孫であったことが分かり、実の母親に引き取られます。しかし、不幸な死を遂げて、その復讐劇が展開されるという、ほぼ同じようなフレームワークで展開していきます。

韓国ドラマは、このようにツボを押すことを心得ており、同じフレームワークを用いて中の要素だけを変えてヒット作を連発する、というのが多いんですね。

フレームワークを使ったツボの押し方


どうやってツボを押せば良いのかというと、人間の感情に訴えかけるツボを押すのが万人に刺さる方法です。分かりやすい不幸、分かりやすい悪役、分かりやすいヒロインと相手役とのすれ違いなど、視聴者のモヤモヤするツボを押した後に、それを解消するツボ―復讐や悪者の成敗、ヒロインと相手役の成就を描いて爽快感を刺激するツボを押します。

つまり、万人にコンテンツを広めようとする場合、マッサージだと割り切ってあらかじめ人気のフレームワークに則って観る人のツボを押す方が広まりやすい傾向があるんですね。

万人にウケするフレームワークのひとつとして「ゾンビ」があります。ゾンビはスリルのある展開によって恐怖というツボを押しにいけるほか、愛する人がゾンビ化したという悲劇によって哀しみというツボも押しにいけるので、古今東西で使われています。最近では、日中は正気に戻るなどのアレンジが加えられているものの、いまだにゾンビというフレームワークは人気があります。

オリジナリティとツボ押しの狭間で


まとめとしては、万人向けにコンテンツを届けたい際には、変にオリジナリティを出すよりも、マッサージ型のコンテンツとしてツボを押しに行った方が効率が良いということになします。そのためには人気のフレームワークを用いて、細部にアレンジを加えることが効果的です。

コンテンツにオリジナリティは必要ない理由
https://note.com/media_labo/n/n533f80c5d860

ただし、この手法はクリエイターとしてはつまらなさを感じてしまうでしょう。特に、職人気質の高い日本のクリエイターは、オリジナル作品へのこだわりが強いような気がします。ツボ押しとオリジナリティをどう両立させるかは、クリエイターにとって重要な課題であり、それについて詳しく知りたい場合は、次の記事を読んでみてください。

ジブリに学ぶ、マスにウケるコンテンツは多重構造
https://note.com/media_labo/n/nffb4c9c4c817


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