見出し画像

映画「ギャラクシー・クエスト」の指輪 〈映画の指輪のつくり方〉第25回

「ネバーギブアップ、ネバーサレンダー!」
1999年公開映画「ギャラクシー・クエスト(Galaxy Quest)」
文・みねこ美根(2019年5月20日連載公開)

令和になったね。10連休も過ぎてしまえばあったことすら忘れてしまいそうだ。休日に電車に乗っていると、小さい子ども連れをよく見かける。子どもが一生懸命お話している姿は、何ともいえない可愛さというか、健気さがある。「背の順だと後ろから4番目なんだよ」「○○ちゃんが持ってるゲームをやらせてもらったけど、必殺技を教えてくれないからつまらない」「先生が漢字を間違ったのに気が付いてなかった」…。背の順…懐かしい…と思いつつ、話題が尽きない子どものおしゃべりを聞いていると、とても細やかなところまで気が付いて、心を動かされて、よく考えているんだなと思う。良し悪しもひっくるめて、ときめきが絶えないんだなァ。私なんか、昨日と今日の記憶がごっちゃになってることとかあるもんなァ。大人になっちゃったなりに、今のときめきを見つけていこうと思う。

子供のころにときめいて、信じていたもの、夢中になったことは、今でも心の支えだったりする。「ギャラクシー・クエスト」はその初心というか、享受し、ときめく側だった自分と、ときめかせたい!と思って動く自分、両方の自分がぐっと心つかまれた作品。シガニー・ウィーバー、アラン・リックマン、ティム・アレン(「トイ・ストーリー」のバズ・ライトイヤーの声!)出演。海外ドラマ「名探偵モンク」で主演のトニー・シャルーブ、「チャーリーとチョコレート工場」でバイオレット・ボーレガードの母親役のミッシー・パイルも出演している。

宇宙物のSFドラマ「ギャラクシー・クエスト」は放送終了から長く時が経っても熱狂的なファンのいる、伝説のテレビシリーズ(スタートレック的)。出演した俳優陣はこの作品以降パッとせず、イベントへの出演やサイン会頼みの生活を送っていた。そこへ、“嘘”の概念を持たない本物の宇宙人が訪ねてくる。「ギャラクシー・クエスト」を歴史ドキュメンタリーだと思った宇宙人たちは、出演者たちを本物の乗組員たち・ヒーローだと信じ、助けを求めてきた。本物の宇宙戦争に巻き込まれるとは知らず、落ち目の俳優たちは宇宙へ連れ出される…という話。

 本気で信じる宇宙人たちが可愛らしく、健気。嫌気がさしつつ、生活のために過去の役で仕事をする俳優たち。愚痴やブラックジョークもありつつ、信じてくれる宇宙人たちのために奮闘してしまう姿が面白い。実際イベントは満員でファンはたくさんいるのに、そのファンをないがしろにしている冒頭からの、彼らの変化もみどころのひとつだ。笑わせてもらいながら、最後にぐっとくる。気軽に見始めたのに、これ見て良かったわー!ってなるタイプの傑作。

自分が表現したもの、楽しんでほしいと思ってつくったものが、本当に届いた、大きな関わり(動機・きっかけ)となれた、ということ、そしてそれを知れることは幸せだ。5月29日に新曲2曲の配信が始まるが、多くの人に届いて欲しい。

 この映画でなんとなく気になるのが、だんだんシガニー・ウィーバーの服がはだけていくこと。あと、アラン・リックマンは変な被り物をしていても果てしなくかっこいい。

 コメディを見てちょっと気を楽に、5月を乗り切っていこう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?