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雰囲気だけで勝負した男

私の父。

その体から、変な物質でも出ているのでしょうか?

「一緒に居ると、幸せになれそうな気がする!」

皆に、そう、言われたりしています(笑)。

どうやら、写真からもその様な気配を漂わせているらしく…。

母のいとこが、父の写真を見て言いました。

「もし、○○ちゃん(母のこと)の結婚が破談になったら、次は、私!」

「この人と結婚する~」

一体、どうした事か…。

この写真、相当、貧乏臭が漂っているのですが…。

なにしろ、ボロボロの掘っ立て小屋の前で、ガリガリに痩せた男性が、はにかみ笑いをしているという代物。

そして、決して男前ではありません(笑)。

父は、母に言いました。

「大丈夫!」

「私、借金は無いから!」

「所持金も3万円有るし!」

(はぁ~?)

こんな状態で、母に「のんびり暮らして行こう!」などと、プロポーズ。

(強心臓なのか?)

(アホなのか?)

当時、父は給料のほとんどを両親に仕送りしていたため、この様な有り様。

しかも、人に貸していたお金が5万円。

当時を振り返って、父が言いました。

「本当は、『7万円貸してくれ!』と言われたと!」

「でも、お金が無かけんね!」

「5万円にしてもらったと!」

「返してもらうつもりはなかったと!」

(あっ、そう…)

借金の主は、新婚の父が3万円しか持っていないことを知り、急いで返済に現れたのだとか…。

この様な父を「呑気だ!」と思った母なのでしたが…。

やはり、「お父さんと一緒におったら、幸せになれそうな気がした!」的な発言をするのです。

極貧でもなんでも、いつも上機嫌な父。

ヘンテコな余裕感が、父を大きく見せているのだろうか…?

まあ、結果的には幸せになった母。

その目に狂いはなかったのでした(笑)。


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