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小さなことばたちの辞書/ピップ・ウィリアムズ、最所篤子(訳)




図書館で借りてきたピップ・ウィリアムズの長編小説
「小さなことばたちの辞書」を拝読しました📖´-
(2023,6,30 読了)






本書は「読書会すみれ」内で開催されたオンライン読書会でご紹介されていて興味深かったので拝読しました。
「オックスフォード大辞典」の歴史に架空の物語を編み込んで描かれた小説です。
辞書編纂者(へんさんしゃ)の父の元、ことばと共に成長していくエズメという女性の一生を描いた物語。



まずストーリーが魅力的。
サラサラと拝読するというよりもゆっくり物語を追いながら拝読したので読了までにかなり時間がかかってしまいました。
図書館から借りて拝読したのですが、期間までに間に合わず期限を延長して、それでも間に合わず再度借り直してを2回繰り返してやっと読了。
半身浴のお供にしてたので尚更時間がかかったのかもしれません。



「オックスフォード大辞典」が仕上がっていく過程と並行して、エズメの成長記録が描かれているのですがその中に男尊女卑の問題や戦争のことが含まれており、それらを通してことばの重要性を改めて実感できるような物語でした。


戦争が人間の本性を変え得るなら、間違いなくことばの性質を変えるだろう、とわたしは思った。




この感想を書く少し前に、またことばの恐ろしさを実感するような悲しいニュースが流れていましたね。
その件に関して詳細を知らない私が何も言えることはないですし、言うつもりもないけれど。
エズメがもし実在するならば、ことばが凶器となっていることを知ったら深く哀しむことだろうと思います。



辞書に載せてもらえなかった重要なことばたちを大切にしていたエズメ。
それに反して凶器となるようなことばが多くの人の目に触れるような場に晒されている現代。
エズメが生きた時代よりも人々が自由で平等になってきたはずなのに、エズメが求めた世界とはかけ離れていることでしょう。




上手く言葉にできませんが…
昔に比べて生きやすくなったようで、結局生きにくい世の中が続いているのではないかと思います。
便利になればなるほど生きにくさに拍車がかかっているような。
ことばはどんどん軽んじられていっているような。




エズメのようにきちんとことばと向き合うことが大切な時なのかもしれません。
大切なことばを一つ一つ拾い上げて、一人一人が自分だけのことばの辞書を作り上げていけたらいいのになと思います。






読書会すみれ




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