夢を叶える妻

ここ最近ソワソワとしていた妻。なかなか服を決めきれなかったり、着替えたかなと思って覗くと部屋の片付けをしていたり、「上の空」を解説する動画に使ったらちょうど良さそうだなと思って眺めていた。

なにがあったか。2022年から猛烈にかぎ針編みにハマりだした妻が、福岡に引っ越したら行ってみたい編み物教室があるとかねてから話をしていた。移住のタイミングで仕事を辞め、こどもたちが生活に慣れるまでは専業主婦でいる予定だったので、今のうちにと先日編み物教室デビューを果たした。

そしてそこで、妻がたまたま持ってきていた自作のバッグを憧れていた先生から褒められ、そのバッグの制作キット（編み図＋毛糸のセット）をうちで販売してみない？あと講師としても働いてみない？とまで声をかけてくれたのだった。

妻はええっ！と驚き、そして嬉しさのあまりフワフワと適当に返事をしてしまって具体的な進め方を何も決めきれなかったどうしようどうしよう！と、教室を出てすぐ勢いのままに仕事中の私に電話をかけてきた。妻がこんな興奮した声を初めて聞いたかもしれない。私と交際を始めた時より全然興奮してたな。

編み物を仕事にするというのは妻の念願であった。これから他の仕事をしながら練習して資格取ったりして、編み物教室を開けたりしたらいいなと「いつかは」の話をしていたのに、いきなりそれが現実になるとは。

あまり職業的な夢がなかった私にとっては好きなことを仕事にするというの、ちょっと羨ましい。よかったなあ妻。私がトマトをバレないように人になすりつけたり、キャベツのうまさを語っている間も妻はコツコツと努力を重ねていたのである。えらい。

この時はこれからしばらく編み物の生徒役として妻の熱烈指導が始まることになるとはつゆ知らず、仕事帰りにアップルパイを買って帰った。