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しばらくIKERU活動をお休みします

いけばなをビジネスや教育の世界に伝える」というビジョンを掲げIKERUを立ち上げたのが2017年頭頃。それから約3年経ち、個人向けレッスンも、企業や大学向けのチームでいけばなを作るワークショップも、たくさんの方々にご参加いただけるようになりました。

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初期の頃は個人向けレッスンにいらっしゃるのはほぼ全てもともとの友達・知り合い、チームいけばなのワークショップも同じく友達・知り合いが所属の組織内で押してくれて導入、という感じでした。

でも、だんだんと、自分から売り込みに行く営業は一切しないまま、全く知らない方や企業がホームページの問い合わせフォームからご連絡をくださったりするようになり(Newspicksの記事が出た後特に)、少しずつ自分を超えてIKERUの世界が広がっている感覚がありました。海外の方々へ提供する機会も増えてきました。

飛行機で言えば、3年前にそろそろと滑走路を走り出し、ようやっと今、離陸に十分な力とスピードがついた、という感じでしょうか。

「いけばなは性別や人種を超えて多くの人にとっての学びと喜びになる!」という自分の妄想が仮説となり、さらに仮説が実証されてきた3年間。このまま続けていけばよいという確信を得て、どんどん行くぞー!というこのタイミングで、身体の病気になりました。その病気は「盛り上がりすぎてついていけません」というメッセージを出している。つまり、自分のど真ん中だからこそ常にわくわくと盛り上がるIKERUの活動そのものが、身体に負担になっていた、ということです。

以前、好きで長年趣味で続けているフラメンコの発表会の前日に倒れて出られなかったことを涙ながらにつらつらと綴りました。そのときもずいぶんへこたれましたが、今回はその何倍もへこたれました。自分の仕事でありキャリアであり人生ずっと迷子でようやっと見つけた天職に対して身体がNoを出している、ということだから。

中高時代は将来のことなどちゃんと考えずひたすら受験勉強、大学入って何も考えてこなかったことに焦りつつも結局よくわからないままマッキンゼーへ。そうだ、私は国際関係、安全保障がやりたいんだ!と思いついて留学するものの頭でっかちすぎて心がついていかず断念。その後ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)という素晴らしい職場で日本とHBSをつなげることは天職かもしれないと思いつつどこかHBSには馴染みきれない自分がいた。兼務で東大の助教となり英語のリーダーシッププログラムで教えていても自分のできなさばかり気になって心からは楽しめない。

そんな中で、絵を描くEGAKUを提供するアートの会社ホワイトシップに出会い、毎月絵を描いたりしているうちに、なんとなく続けていたいけばなに改めてちゃんと向き合うようになって。ビジネスや高等教育(主に大学院)の世界で培ってきたこと、一体自分はこの人生でをやるべきなのか悩み続けていたこと、自分のこれまでの全てをひっくるめて立ち現れてきたのが、IKERUでした。

自分のすべてなので、どんなIKERUの場でも全身全霊となる。ようやっと「生きている」と感じる日々になっていました。でもまさにそれが身体にはダメージを与えている。だから何よりそれを手放さなければいけない...

年末にIKERUの交流会を開き、そこでしばらくスローダウンすることを話しました。話しながら悔しくて涙が。この時はスローダウン、ということで、月に数回ぐらいのレッスンは続けようと思っていました。でもそのあと、IKERUに定期的に通ってくださっていてかつ大切な友人でもある何名かがかけよってきて、「ちょっとだけやるときっと依頼があったら増やしてしまう、この際ちゃんと休んだ方がよい、その間私たちがなんとかする」と言ってくれました。

IKERUのもともとのビジョンは「いけばなの叡智をビジネスや教育の世界に伝える」であり、自分が伝えるのだと思っていました。でもIKERUを開始して1年半ぐらい経った頃、レッスンやワークショップに来てくださった方々が花に向き合う姿を見て、また花をいけるという行為から何を感じているかを聞いているうちに、ふと気づきました。自分がいけばなの叡智を伝えるのではなく、私はみんなと一緒にいけばなの叡智を探求しているんだ、と。そこからIKERUのビジョンを心の中で「いけばなの叡智を共に探求しそれを表現する」に変えました。

でもそう思っている割には、結局IKERUの場は自分一人で創り続けていた。今ここで私が休み、信頼するみんなにIKERUに預けることで、本当に「共に探求」できるようになる、私がいないからこその「表現」につながるということなのではないか。

交流会の時に駆け寄って来てくれた中の一人で、コ・クリ!という「予想だにしない未来を創る」プロジェクトを立ち上げ運営しているあいちゃんが、神話と宗教の研究者ジョセフ・キャンベルの言葉を共有してくれました。

We must be willing to let go of the life we planned so as to have the life that is waiting for us. 予定していた人生を手放すことで、あなたを待っている人生がやってくる。(いまいちの訳。。by me)

手放すことで初めてやってくる新しい未来。

(頭ではわかるし、本でも読んで来たし、人には言えるけれど、これ、自分でやるの、結構大変...)

ということで、身体がもう大丈夫だよ、というまで、IKERUのレッスン、ワークショップをお休みします。すでに依頼を受けていたワークショップは、IKERUのメンバーがチームで代わりにやってくれることになっています。ありがたや。

これまでほぼ出ずっぱりの3年だったので、これからは改めていけばなを学び直したり、いけばなに限らず様々な「道」のこと、仏教や儒教のことなどを勉強する時間にしたいと思っています。

2020年がみなさまにとって素敵な一年になりますように。

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(写真:玉利康延)

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