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最近の「子どものケンカ」から見える大人社会

最近の子ども同士のトラブルって、例えば「歳上の〇〇くんに殴られた」という事件があったとして、表面上では、殴った方が「ごめんね」で終わらせられるんだけど、普段の子ども同士の関係からキチンと見てると、そんな簡単には解決しないことの方が多いです。

結構、大人と一緒なんですよね。事件に至るまでの複雑さが。

当人は言語化はできていないことが多いのですが、長いこと年下の子からバカにされてて、ずっとモヤモヤを溜め込んでいて、ここにきて突然キレた…としたら、殴った方が「ごめんね」で、解決できないということが想像していただけると思います。

子どもの意地悪心は、羨ましいからいじめるとか、汚いからいじめる、弱いからバカにする、そんな単純な意地悪ではなくなって来ている気がします。

元来、子どもは素直という名の「自分本位」な生き物です。楽しいこと、ラクなことが大好き。

楽しさの中から様々なことに熱中して学びます。生きていくための知恵もそう。

この社会で生きる残る知恵として、目の前の大人社会を見て、世間的にバカにしていい相手、大人に怒られない方法、自分から見ての序列、こんなのばっかりが自然に身についていきます。要領がいい子ほど、ちゃんと理解してやっていますね。

だから、どこかのタイミングで誰かが絶対に気づいてやらないといけないし、絶対に見逃してはいけないし、考えさせないといけないと思うんです。

もちろん、歳上を殴った子にはしっかり叱った上で、

歳上をバカにして殴られた子に「あなたも歳下にバカにされたら腹立つでしょ?」って言うと「腹立つけど、殴るまではしない」と返してきたことがあります。

「歳上は歳下には手を出さない」それが世の中の正しさであると、彼は分かっていて、歳上の彼をバカにしているわけです。

私は「それはあなたの良いとこだけど、相手はどうするかわからないでしょう。あなたの正しさと、相手の正しさは全然ちがうよ。」と伝えました。

「歳下を殴る方が悪い」という一つの考え方だけで生きていたが故に、彼は歳上の友人に対して傲慢な態度で接してしまったわけですから、他人が考えることは自分と同じではないのが現実だし、感情に大きく揺さぶられれば、さらにどんな行動を起こすか分かりません。

加害者と被害者がすぐにひっくり返ってしまうような、この世の中で、今目の前にいる子達には、できる限りどちらにもならないで欲しいのです。

大人社会が、ストレスを抱えたまま何か気に入らないものの揚げ足を取ったり、自分の素性を隠して人を誹謗中傷したり、お金や数字を価値基準として置いている間は、子どももその中で生き残るための術を身に付け続けていくでしょう。

子ども同士のトラブルに向き合う前に、まずは親も教育者も、大切なものを見つめ直すことから始めないと、説得力がありませんよね…。

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