和泉歌夜(いずみ かや)

自由きままに物語を書いています。

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記事一覧

【お題:祈願上手】日本一参拝が美しい男

 あれが噂の日本一参拝が美しいとされている男だな。  まずは……手水か。  なんだと?!  柄杓で水を上にバシャンと上げて、舞い降りる水滴で手を洗っている?!  な…

『最強姉妹の末っ子』第34話

 いや、あんたが助けてって言ってきたんでしょうか。  そう突っ込もうとしたが、私が答える前にムーニーが話し続けた。 「普通見棄てるよね? だって、あなたに酷いこと…

『転生しても憑いてきます』#2

 夢の中だろうか。  さっきまで俺を抱きかかえてくれた姉や母が鼻歌をうたいながら腕の中で揺らしてくれている。  これが俺の新しい家族――なんて素敵な人達なんだ。 …

『転生しても憑いてきます』#1

↓本編  どうしよう。  見たら呪われるビデオを手に入れてしまった。  バイトの後輩から「これを見たらマジで呪われるんで、気をつけてください」と、何日間も寝ていな…

【#青ブラ文学部】くされ縁

おい、腐れ縁。 そんな所にいたのかよ。 またパチンコで負けて、ベンチで寝っ転がっていたのか? いい加減、そろそろ目を覚ませよ。 社会はお前のために養っているんじゃな…

『最強姉妹の末っ子』第33話

「ふぎゃぁっ?!」  予想外の事に驚いたのだろう、ムーニーは素っ頓狂な声を上げ、ドラゴンを一歩二歩後退させた。  一度口の中に入れて多少は温度が冷めているかもしれ…

『最強姉妹の末っ子』第32話

 岩のゴツゴツとした足の裏にダイレクトで感じながら歩いていくと、城壁が近づいてきた。  私の膝ぐらいだったので、跨いで入る事ができた。  だけど、何度も言った通り…

『最強姉妹の末っ子』第31話

 なるほど、ロリンがなぜ普通のドレスに着替えさせたのか、分かった。  確かにあの格好だったら、大勢の人形達に私のイチゴパンツを晒される事になる。  そんなの死ぬよ…

『最強姉妹の末っ子』第30話

「まぁ、いいや。それより、ティーマスとティーロは?」 「そこのベンチにいるよ」 「ベンチ?」  私はロリンの背後にベンチが並んで置かれている事に気づいた。  横一直…

【#シロクマ文芸部】金魚鉢の思い出

 金魚鉢を見て思い出す事がある。  あれは確か私が小学生の頃だった。  当時、生き物係というのを担当していて、私は金魚の世話をしていた。  しかし、不器用な私は一…

『最強姉妹の末っ子』第29話

「……え? どういう事ですか?」  私の発言に驚いているのだろう、目を大きくさせて瞬きをしていた。 「えっと、あくまで仮定の話なんだけど、仮にもし人形の心……それ…

【お題:文学トリマー】文学サロン

 こんにちは〜!  今日はどんなカットをご希望ですか?  うん、うん、はいはい……有名な作品の大幅カットをお願いしたいと。  確かに文章は美しいですけど、長編にな…

『最強姉妹の末っ子』第28話

「うぐっ、むぐぐ……プハッ!」  起き上がろうとしたが、手脚が沼にハマったかと錯覚するぐらい思うように動けなかった。 「むぐ、ふぐ、うぐぐ……」  私は懸命にジタ…

【お題:山岳カルマ】山の女神、ブチギレ

 おい、人間。  あなた達には心底うんざりです。  神聖なる山に汚い缶やペットボトルを投げ捨てるは、動物達を猟銃で撃ってさばいて食うは、タバコを棄ててその火が引火…

『最強姉妹の末っ子』第27話

「待ちなさい!」  私は裸足のまま追いかけようとしたが、回転し過ぎて三半規管が狂ってしまったのだろう、突然視界が歪んだかと思えば、頭の中が揺れた。 「おえ……」 …

【#青ブラ文学部】門限は19時。

 家に帰りたいけど、妻に渡された買い物メモがどれもRPGのダンジョン並に難易度が高すぎて死にそう。 ↓今回参加した企画はこちら

【お題:祈願上手】日本一参拝が美しい男

【お題:祈願上手】日本一参拝が美しい男

 あれが噂の日本一参拝が美しいとされている男だな。
 まずは……手水か。
 なんだと?!
 柄杓で水を上にバシャンと上げて、舞い降りる水滴で手を洗っている?!
 なんて鮮やかなんだ!
 おぉ、モデルみたいな歩き方で参道を歩いていく。
 ちゃんと端で歩いているのが高得点だな。
 で、本堂の前に立つと。
 う、嘘だろ?!
 紙幣でも硬貨でもなく金貨をぶち込んだぞ?!
 王族みたいなお賽銭をするなんて、

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『最強姉妹の末っ子』第34話

『最強姉妹の末っ子』第34話

 いや、あんたが助けてって言ってきたんでしょうか。
 そう突っ込もうとしたが、私が答える前にムーニーが話し続けた。
「普通見棄てるよね? だって、あなたに酷いこといっぱいしてきたじゃない。
 殺せばよかったのに。殺したいほど憎いんじゃないの?
 なんで……なんで助けたの?」
 ジッと見つめてくる彼女に私は口を開いた。
「それケホッ、ケホッ! ムーニゴホッ、ゴホッ! うへっ、ケハッ、ベッ!」
 駄目

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『転生しても憑いてきます』#2

『転生しても憑いてきます』#2

 夢の中だろうか。
 さっきまで俺を抱きかかえてくれた姉や母が鼻歌をうたいながら腕の中で揺らしてくれている。
 これが俺の新しい家族――なんて素敵な人達なんだ。
 しかし、まさかテレビから出てきた怨霊に襲われて異世界転生するとは。
 神様もビックリしていたっけ。
 トラックとかに轢かれるケースは多いけど、呪い系で死ぬ人は限りなく低いって、言っていたな。
 まぁ、神様にお願いして、除霊してもらったし

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『転生しても憑いてきます』#1

『転生しても憑いてきます』#1

↓本編
 どうしよう。
 見たら呪われるビデオを手に入れてしまった。
 バイトの後輩から「これを見たらマジで呪われるんで、気をつけてください」と、何日間も寝ていない顔で言ってきたから間違いないだろう。
 いや、そんなものを俺に押し付けるなよ。
 まぁ、貰う俺も俺だけど。
 それにしても呪いのビデオか。
 ビデオなんていつの時代の話だよって感じたけど、俺の押し入れに偶然にもビデオデッキが残っていた。

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【#青ブラ文学部】くされ縁

【#青ブラ文学部】くされ縁

おい、腐れ縁。
そんな所にいたのかよ。
またパチンコで負けて、ベンチで寝っ転がっていたのか?
いい加減、そろそろ目を覚ませよ。
社会はお前のために養っているんじゃないんだぞ。
確かに上司にセクハラされたのは辛いと思う。
だけど、毎日タバコと酒に溺れて、パチンコや競馬に行っていたら本当に腐っちまうよ!
なぁ、頼むよ。
頼むから、あの頃の可愛い緑に戻ってくれ!
黄金のアイドル時代のトップに君臨していた

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『最強姉妹の末っ子』第33話

『最強姉妹の末っ子』第33話

「ふぎゃぁっ?!」
 予想外の事に驚いたのだろう、ムーニーは素っ頓狂な声を上げ、ドラゴンを一歩二歩後退させた。
 一度口の中に入れて多少は温度が冷めているかもしれないが、熱い事には変わらないようで、ドラゴンのボディが段々ぎこちなくなってきた。
「な、なに……なにこれ? 操縦が……きか……な……」
 モニターに映るムーニーの顔が歪み始め、姿が見えなくなってしまった。
「ケホッ! ケホッ!」
 さすが

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『最強姉妹の末っ子』第32話

『最強姉妹の末っ子』第32話

 岩のゴツゴツとした足の裏にダイレクトで感じながら歩いていくと、城壁が近づいてきた。
 私の膝ぐらいだったので、跨いで入る事ができた。
 だけど、何度も言った通り、家や人形達がミニチュア並に小さいので踏みつぶさないよう細心の注意をはらいながら向かった。
「はぁあああああ?! まだ死んでないの?!」
 しかし、チンタラ歩いていたので、当然ムーニーにも気づかれてしまった。
 うーん、どうしよう。
 ま

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『最強姉妹の末っ子』第31話

『最強姉妹の末っ子』第31話

 なるほど、ロリンがなぜ普通のドレスに着替えさせたのか、分かった。
 確かにあの格好だったら、大勢の人形達に私のイチゴパンツを晒される事になる。
 そんなの死ぬより嫌だ。
 モニターに映っているムーニーは口をあんぐりと開けていた。
「おま……え? なんで?……そ、そんな……きょだ……はぁ?」
 明らかに突然私が現れた事に動揺していた。
 私は人形達の家を踏まないように慎重に正面を向いた。
「ムーニ

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『最強姉妹の末っ子』第30話

『最強姉妹の末っ子』第30話

「まぁ、いいや。それより、ティーマスとティーロは?」
「そこのベンチにいるよ」
「ベンチ?」
 私はロリンの背後にベンチが並んで置かれている事に気づいた。
 横一直線にティーロとティーマスが目をつむっていた。
「どうして眠っているの? あなたを助けるまでは元気だったじゃない」
「えっと、城から出してベンチら辺まで連れて来た時に力尽きちゃったんだろうね……そのままバタンと倒れて……」
「え?! 死ん

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【#シロクマ文芸部】金魚鉢の思い出

【#シロクマ文芸部】金魚鉢の思い出

 金魚鉢を見て思い出す事がある。
 あれは確か私が小学生の頃だった。
 当時、生き物係というのを担当していて、私は金魚の世話をしていた。
 しかし、不器用な私は一匹死なせてしまった。
 当然先生にこっぴどく叱られてしまった。
「次、金魚を死なせたらしょうちしないですからね!」
 そうキツく言われてしまったので、私は二度と金魚を死なせないと誓った。
 新しい金魚が来てから、私は変わった。
 絶対に飢

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『最強姉妹の末っ子』第29話

『最強姉妹の末っ子』第29話

「……え? どういう事ですか?」
 私の発言に驚いているのだろう、目を大きくさせて瞬きをしていた。
「えっと、あくまで仮定の話なんだけど、仮にもし人形の心……それは形であるものなのかどうかは分からないけど、感情をコントロールする部分をいじって、自分達に逆らわないように改造して……。
 ムーニーの事だから、絶対に戻らないように作るはずなのよ。
 万が一何かの拍子で戻ったら反撃されるかもしれないから。

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【お題:文学トリマー】文学サロン

【お題:文学トリマー】文学サロン

 こんにちは〜!
 今日はどんなカットをご希望ですか?
 うん、うん、はいはい……有名な作品の大幅カットをお願いしたいと。
 確かに文章は美しいですけど、長編になると胃もたれしちゃいますよね〜!
 では、ご提案なんですけど……例えば『吾輩は猫である』の最初の一文を『である』だけ抜き取って、『吾輩は猫』はいかがでしょうか?
 それ以降の文章ですか? もちろん、全カットです♡
 駄目ですか……でしたら

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『最強姉妹の末っ子』第28話

『最強姉妹の末っ子』第28話

「うぐっ、むぐぐ……プハッ!」
 起き上がろうとしたが、手脚が沼にハマったかと錯覚するぐらい思うように動けなかった。
「むぐ、ふぐ、うぐぐ……」
 私は懸命にジタバタして、どうにか仰向けの体勢になる事ができた。
「ふぅ」
 安堵の息をついたのも束の間、私の視界に逆さまに写った男女がこちらを見ていた。
「うわっ!」
 私は起き上がって、水に浮かんだアリみたいにバタバタした後、ようやく雪のない所に足を

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【お題:山岳カルマ】山の女神、ブチギレ

【お題:山岳カルマ】山の女神、ブチギレ

 おい、人間。
 あなた達には心底うんざりです。
 神聖なる山に汚い缶やペットボトルを投げ捨てるは、動物達を猟銃で撃ってさばいて食うは、タバコを棄ててその火が引火して大火事起こすは、新参者を虐めるはで……あぁ、本当にどうしようもないですね。
 女神、我慢の限界です。
 あなた達に審判を下します。
 妖精さんと色々協議した結果、あなた方には山からの怒りによって怒る厄災で殺します。
 ただ、村の中で唯

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『最強姉妹の末っ子』第27話

『最強姉妹の末っ子』第27話

「待ちなさい!」
 私は裸足のまま追いかけようとしたが、回転し過ぎて三半規管が狂ってしまったのだろう、突然視界が歪んだかと思えば、頭の中が揺れた。
「おえ……」
 一気に吐き気が押し寄せてきて、まともに立っている事もできずに、その場で倒れてしまった。
 あぁ、追いかけなきゃいけないのに、気持ち悪くて動けない。
 心臓は高鳴り、耳鳴りも聞こえてきた。
 三ツ頭対策用に作った剣と火のポーションを組み合

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【#青ブラ文学部】門限は19時。

【#青ブラ文学部】門限は19時。

 家に帰りたいけど、妻に渡された買い物メモがどれもRPGのダンジョン並に難易度が高すぎて死にそう。

↓今回参加した企画はこちら