和泉歌夜(いずみ かや)

自由きままに物語を書いています。

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【お題:二億斉藤】二億斉藤さんに取材

 本日はこんな足元がお悪い中、お越し下さり、ありがとうございます!  どうぞお掛け下さい!  では、早速ですが、どんな健康法を実践されているんですか?  ふむふむ、へー、朝食をたらふく食べる……それだけですか?  それで長生きできるなんて凄いですね!  ……え? まだ30歳?  いやいや、ご冗談を。  だって、あなたは……あ、『二億歳藤』ではなく『斎藤二億』さん……あ、単純に役所のミス……そうですか。  なんか……ごめんなさい。  どうぞお帰り下さい。  はい、あの……取材料

    • 『最強姉妹の末っ子』第20話

      「え、え、うぇ?! な、なんで?!」  私が目を丸くしていると、黒い騎士は「不審者が地下室に向かうのを見かけたから」とロリンの方を指差して言った。 「ロ〜〜リ〜〜ン〜〜?」  私が隣にいる姉を睨みつけると、ロリンは『しまった』という顔をした。 「そうだった。ポーションの効果継続中に違うポーションを食べたら、後の方に上書きされるんだった……」  青ざめた顔でそう言った。  つまり、先に透明化ポーションを食べた後、嗅覚を鋭くさせるポーションを食べたら、透明化の効果が消えたってこと

      • 『最強姉妹の末っ子』第19話

        「このっ! 離しなさい! このっ! このっ!」  私が口でそう叫んだ所で無駄と分かっていたけど、もしかしたら言う事聞いてくれるかなと思い、叫んでみた。  だけど、予想通り淡い期待だった。  彼らは私が見えていないかのように無視し、廊下を進んだあと突き当りの階段を降りていった。  ズシンズシンと揺れる度に、まるで地獄の方に降りているみたいな心地になって、ますます叫んだ。  段々辺りは暗くなっていき、カビの臭いがしてきた。  劣悪な環境に入った事は明らかだった。  埃が私の口の中

        • 【#青ブラ文学部】大事な話

          〜〜〜〜!!! 〜? 〜〜〜!! 〜! 〜! 〜! 〜〜〜〜? 〜〜〜!!! 〜〜〜〜??? 〜〜〜〜?! 〜〜〜〜!? ……あ、ごめん。マイクをミュートにしたまま喋っちゃった。  これじゃあ、いくら話しても君に届かないよね! アーーハッハッ!  ハハハ……え? 何を話していたのかって?  あぁ、それね……今なら100%儲かる株の話が……って、あれ?  もしも〜し? もしも〜し!  マイクのミュートどころか、画面が真っ暗になっちゃった。 ↓今回参加した企画はこちら

        【お題:二億斉藤】二億斉藤さんに取材

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        • 企画に参加した作品
          181本
        • 最強姉妹の末っ子
          20本
        • 作品
          1本
        • ボカロにしたい曲を自分で作詞した
          292本
        • 【週刊少年マガジン】漫画原作応募作品
          0本
        • 恋愛小説部門応募作品【創作大賞2023】
          0本

        記事

          『最強姉妹の末っ子』第18話

          「ウガアアアアア!!!」  巨大なオークの魔機が私に向かって棍棒を振り下ろしていた。  スッと華麗に交わすと、がら空きになった脇腹に一発蹴りをお見舞いした。 「ウグッ?!」  オークはうめき声を上げたが、まだ大丈夫といった様子で、棍棒を横にして振ってきた。  私は両手でそれを受け取めたが、相手の力も強いのか、若干後退してしまった。  が、相手に衝撃を与えるには十分だったらしくて、「ウゴォ?!」と驚いたような声を上げた。 「ちょっと借りるわよ」  私は無理やり引っ張ってオークか

          『最強姉妹の末っ子』第18話

          【#シロクマ文芸部】風薫るカレーの香り

           風薫る黄昏時。  学校が終わった僕は夕焼けが眩しいと感じながら下校していた。  家の近くまで来た時、普段は閉まっている窓が空いて、そこから美味しそうな匂いが漂ってきた。  その香りで今日の夕食がカレーだと分かった。  ただいまと言うと、案の定エプロンを着た母が「カレーを作ったから手を洗ってきなさい」と言ってきた。  僕は鼻歌をうたいながら泥の付いた手を念入りに洗った。  僕は母の作るカレーが大好きだった。  お肉は入っていないけど、その代わりにジャガイモとニンジンがふんだん

          【#シロクマ文芸部】風薫るカレーの香り

          今日でnoteをはじめて一年になりました。 ここまで続けられたのも読者の皆様が読んでくださったおかげです。 2年目も引き続き執筆に励みたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

          今日でnoteをはじめて一年になりました。 ここまで続けられたのも読者の皆様が読んでくださったおかげです。 2年目も引き続き執筆に励みたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

          『最強姉妹の末っ子』第17話

           そういえば、どうしてムーニーと黒い騎士はこんな場所で話をしているのだろう。  耳がまともにならなくなりそうなくらい喧しい場所だというのに。  そう思っていると、床に線みたいなのが引かれていた。  試しにまたいでみると、騒音がピタリと止み、ムーニーの声だけが聞こえた。  一歩下がってみると、またうるさくなった。  なるほど、この線から大扉までは外部からの騒音が遮断されているんだな。  けど、どういう仕組みでやっているのだろう。  左右を見たり見上げたりしていると、天井の方に光

          『最強姉妹の末っ子』第17話

          『最強姉妹の末っ子』第16話

           全員透明になった所で、早速ドアを開けた。  外に誰もいない事を確認すると、忍び足で歩いた。  中はお城だけあって、豪華な絨毯が敷かれていたが、右の壁側が一面ガラスで張られていた。  何でだろうと思って覗いてみると、その理由が一目みて分かった。  ガラスの向こうは工場になっていたのだ。  工場はロリンが秘密の地下空間でやっていた所よりもさらに大きかった。  夥しい数のテーブルが置かれ、そこではエプロンを付けた老若男女が仰向けに寝ている魔機をトンカチなどで組み立てたり火花を散ら

          『最強姉妹の末っ子』第16話

          『最強姉妹の末っ子』第15話

          「よし、そうと決まれば……」  ティーロはそう言って、三つあるうちの左側のソファをどかした。  床に金庫みたいなドアがあり、彼はギィと若干きしむ音を立てながら開けた。  中は薄っすらとハシゴが見えた。  これを見て、私はなぜ不自然にソファが多く配置されているのか、分かった。  この扉を隠すためだったんだ。 「どこに続いているの?」  私がティーロに聞くと、彼は「城の中までだ」と言って降り始めた。 「城の中? なんで、そんな所まで続いているの?」 「地道に掘っていったんです。い

          『最強姉妹の末っ子』第15話

          【お題:放課後ランプ】我ら、学校放課後お助け隊!

           よいか、諸君。  我々『学校放課後お助け隊』を数年やってきた訳だが、ある問題点を抱えていた。  何度も警察を呼ばれてしまう事だ。  確かに平均年齢46歳のおじさんが小学校や中学校に上がり込んで、告白や課題の手伝いをしたりするのは、傍から見たら不審者だ。  そこでこのランプを導入した。  名付けて……放課後ランプ!  これさえあれば助けが必要になった時にランプが光……むっ?! もう光った!  よーし、夜も遅いからしっかり防寒はしてくれ。  くれぐれも依頼人に暴漢だけはするなよ

          【お題:放課後ランプ】我ら、学校放課後お助け隊!

          『最強姉妹の末っ子』第14話

           人混みを掻き分けて、また路地裏に入っていく。  奥に進むと、そこら辺に転がっていそうな空き箱が山積みになっていた。  ティーマスはそれを一個一個丁寧にどかしていた。  時間短縮のため、私もロリンもティーナも一緒に協力すると、入り口が現れた。  金庫みたいに小さくて頑丈そうな扉だった。  ティーマスがドンドンと強めにドアをノックすると、「誰だ」とたくましい声が聞こえた。 「俺だ。ティーマスだ」  剣士がそう言うと、「合言葉を」と返ってきた。 「人形と職人に永劫の平安を」  こ

          『最強姉妹の末っ子』第14話

          【お題:真夜中万華鏡】万華鏡ワールド

           深夜3時に万華鏡を覗くと、不思議な世界に連れて行かれる。  そんな都市伝説を僕は半信半疑でやってみた。  たまたま部屋にあった万華鏡の中を覗き込んでみると、僕の身体が吸い込まれるような感覚がした。  気がつけば、周囲がきらびやかになった。  赤、青、黄、緑の妖精達が僕の周囲をまわりながら歌を歌ってくれた。  歩く度に世界は変わっていった。  最初は砂漠だと思っていたが、一歩進むと都会になったり、もう一歩進むとジャングルになったりと目まぐるしく変わっていった。  僕は何だか気

          【お題:真夜中万華鏡】万華鏡ワールド

          『最強姉妹の末っ子』第13話

          「ぎゃああむぶぶぶぶ!!」 「シーー!!」  私が悲鳴を上げようとした所、ロリンに無理矢理口をふさがれてしまった。  そのちょうどに、魔機達が首なしボディの所に集まっていた。  何かを観察するようにジロジロと見た後、周囲を確認していた。  どうやら頭を探しているらしい。  見たくないけど、チラッと女の子の方を確認してみた。  小麦色の三つ編みをした可愛らしい顔立ちをしていて、ここの国民と同じく口元に黒い線があった。  もしこれが生首じゃなかったら、もっと魅力的に見えていたと思

          『最強姉妹の末っ子』第13話

          【#青ブラ文学部】永久欠番のあなたへ最高の名誉を

          永久欠番のあなたへ  あなたが私達に与えてくれた恩恵は計り知れません。  まず、人をぶん殴る事以外使い道がないと思われた木の棒をバッドという魅力的な道具にしてくれました。  次に水分補給や防具ぐらいしか価値の無かったヤシの実をボールという画期的な使い道がある事も教えてくれました。  他部族との抗争に疲弊しきっていた我々に野球という刺激的なスポーツを教えてくれたあなたに我々から永久欠番の名誉を送ります。  本当にありがとうございます。 かなり秘境にある村の村長より P.S

          【#青ブラ文学部】永久欠番のあなたへ最高の名誉を

          『最強姉妹の末っ子』第12話

           あんなに重たそうに背負っていたロリンのリュックがいつの間にか片手で持ち上げられるくらい軽くなっていた。  チラッと中身を見たが、空の瓶でいっぱいだった。  はたしてピグマリーオに着くまで持つかどうか不安だ。  辺りが明るくなったおかげで、周囲の景色を確認する事ができた。  出発する前は緑豊かな草原だったのが、いつの間にか枯れ木が多くなっていた。  不毛の地――とでも言うのだろうか、雑草一本すらも生えていない。  さらに不思議な事に、動物らしき声も聞こえなかった。  鳥のチュ

          『最強姉妹の末っ子』第12話