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下手くそにも震う六弦

 部屋のベッドに座ってギターを弾いた。
 いつまで経っても下手な気がして、なんとも微妙な気持ちになりながら音を鳴らす。気がつけばバイトに行く準備をしなくてはならない時間に近づいていく。できれば入りたかった風呂とか、できればとりたかった仮眠を全て諦めることとなる。

 時間を作ることが下手で、予定を詰めすぎてしまったり、把握していない休暇が突然訪れては寝過ごしたりしてしまう。そんな日々の中で少しだけ歌を歌う。もう少し上手く生きられたらとか、取り残されていく漠然とした不安なんかを音にのせて、いくつか曲も作った。未だどこにも公開しないで、忘れないように時々歌ってやっている。(インスタライブで歌ったりはしているけれど。)どこかで公開したいなぁ。私の頭の中は暗くてじめじめしていて、それでもどこか明るくて、人間が苦手でそれでもとても大好きで、それらをギターの弦に擦り付けて吐き出す。私を見てくれとも思うし、誰もこっちを見ないでくれとも思う。

 今日は3回も床に物を落とした。たまたま割れない物だったからよかったものの、物が落ちた時の衝撃と大きな音は自分を責めるには十分すぎた。集中力がない。周りが見えていない。幾度となく言われた。そりゃそうだ、頭の中にはいつも何もかもがぐるぐる巡っていて、全部がこっちを見ていて、気が気ではない。人並みの力も持たず、一丁前に疲れることはする。憂鬱。せめて一人前に歌くらいは歌ってみたい。弱っちく湿った心の内を吐き出して許されるために。私は駄目な人間です。堂々と言うことではない?うるせえ!堂々と生きられる奴はこっちを見るな。

 季節が変われば毎度これだ。嫌になる。それでも些細なことで上機嫌になって鼻歌鳴らしたり足取り軽くなったりもする。生きていきます。微妙なりに、なんとなく生きることを神様お許しください。

 あと3分で家を出ないと!うわ〜ッ!

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