風船になっては空を見下ろし
風船に憧れる。
昔から、何故かとても。
中でもガスが入っていて浮かぶ風船は、一番身近な夢のあるものでただただ好きだ。
幼い頃、デパートなどでもらった風船を放してしまうと、自分より背丈の高い親が慌てて掴んでくれたような記憶がある。
もはや夢だったのかもしれないが、ベタに屋外で風船を放してしまって遠くへ飛ばしてしまったこともある。
その時を思い出す時の気持ちはただの悲しみではなく、なんだか背徳的で美しいものを見ているようでもあった。
手放してしまった悔しさと、画としての美しさ。
または自分の元から飛び立っていった風船がどこへ行くのかの期待感。
幼いながらにそれを感じていたのかはわからないが、思い出すたびにそのような気持ちになる。
空を飛ぶもののようになりたい。
鳥のようによりも、ガス入りの風船のように。
それは風に流され飛ばされているだけなのかもしれないし、いつ落ちていくかもわからない。
人生もきっとそうで、望む方向には進めないかもしれないしいつ途切れるかもわからない。
いつかは毎日を風船みたいに生きてみたい。
幼い頃に焦がれた空に消える風船のように。
今はまだ、どうか手放さずに見守ってくださるよう。
りさこ
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