【本】射場瞬『「嵐」に学ぶマーケティングの本質』
日本コカ・コーラ社マーケティング本部副社長を務めていた、マーケティングのプロ中のプロの著者から、「嵐」のマーケティングのすごさを学べる本。
1.どんな本?どんな人におすすめ?
「嵐」に魅了され、「嵐」のマーケティングの効果を身にしみて感じているマーケティングのプロが、その行動を分析していく。
知識としてだけではなく、体感として、そのすごさが学べる。
マーケティングってそんなにすごいの?何がすごいの?を知りたい人には最適な本。
2.読んだきっかけ
・今後個人事業主としてやっていくにあたり、営業/マーケティングの実践力をつけるため、学び中の一環として
・嵐が大好きな友人から話を聞くことが多く、私もファイナルライブで感じた「いいな」と思う気持ちを具体化したかった
3.実践してみようと思うこと
この本を通して、私が実践してみたいと思ったことをまとめてみた。
かんたんにできることではないことも多く、嵐のすごさがわかる。
1.誰の頭のなかにブランドを作るかを決める、絞れないなら誰を諦めるかを決める。嵐はファンとファン予備軍をターゲットにしてアイドルに興味がない等は初期は外し、絞ったファンと「こんな嵐でいる」と約束した。
2.ブランドであるかブランドでないかは決めるべき人が決める。嵐の場合は5人で決める。
3.新しいことに挑戦することをブランドの一部にする。そうすることで、顧客を巻き込みながら変化する自由を得られる。
4.顧客がが今求めているものだけではなく「こうしたらもっと喜ぶに違いない」「きっとこんなふうに感動してくれる」という勘の良さ、目利き感をもつ。
5.顧客と価値の交換の期間を長くし、その関係を深めるために、交換する価値の種類を増やしていく(機能的価値、感覚的・情緒的価値、経験価値、文脈価値)。
6.トリプルメディアのうち、ペイドメディアよりも、オウンドメディア・アーンドメディアに重きをおき、人の行動の結果であるデータと、その行動を起こしている人の気持ちの両方を理解してマーケティングする(Data DrivenではなくData Powered)。
7.新しいことを始めるときは、「これからデジタル化を進めますよ。きっと気に入ってもらえますよ」というように、事前に顧客との対話的なコミュニケーション期間を設ける。
8.自社のSNSの戦略や役割設定をするときは、まずは顧客の現在のSNSの嗜好や使い方を観察、理解する。
9.大切なのは、最新のすごい技術を使うことではなく、顧客の体験をどれだけ向上させられるか。よりよい体験を技術を通してつくること。
10.喜ばれないニュースの発信には、戦略的かつ詳細なプランニングが必要。
11.消費者は、「私」が推す商品やブランドは、「私のイメージの一部」、自己表現の一部だと感じていることを知る。
12.いちばん大切な顧客を、ちゃんと特別扱いする。
4.特に刺さったこと
嵐の最後のライブは、奇しくもコロナ禍にみまわれ、無観客での開催となった。
それでも嵐は、有観客のライブ以上の体験をファンにしてもらおうとあらゆることをしたことが、この本でわかる。
かなり前からあらゆる仕掛けをしたうえでの、本番の大規模な舞台やセットは、無観客だからこそできること、有観客ではできないダイナミックなものだった。
「~だからできない」、「仕方がないからできる範囲でやる」など思ってしまいがちな枠をはるかに超える、そのすごさ。
・顧客を幸せにすることを中心として考える
・自分の顧客のことをとことん理解しようとする
・その人たちを笑顔にするために、自分のブランドが何をできるかを考える
それらの基本の基本、しかし日常の忙しなさで忘れられがちなことを、どんなときもしっかりやっているのが嵐なのだなと理解した。
もうひとつ。
”Quitting is Art”、上手に辞めるのは芸術を作り出すようなもの、という言葉があった。
「準備すること、伝える順番、語るストーリーや使う言葉を詳細にプランニングする。芸術作品を創り出すように、心を込めて、全力で集中して実行する」
私も、現在いる環境から旅立つ予定がある。
この言葉を胸に、周りの人が、「ここまで大切に思われているとは」と感じるような旅立ち方をしたいと思う。
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