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今年読んだ本ベストイレブン

ゼロファジさんの今年読んだ本ベストイレブンという投稿を見かけたので、まとめがてら僕もやってみた。

読むのは割と遅いので、ベストイレブン≒今年読んだ本というオチ。
ほとんどが小説で、小学生並みの感想で紹介します。あらすじ程度は書いているので、1mmもネタバレしたくない場合は読まないでください。

そして浦和レッズ関連の発信してる割にはサッカー本が一冊もありません。もっと読め。



(1) プロジェクト・ヘイル・メアリー / アンディ・ウィアー

「火星の人」(映画:オデッセイ)のアンディ・ウィアー最新作。
記憶をなくした主人公が一人目覚めるところからスタートするSF小説。
僕がとても好きなSF小説である「三体」シリーズとはある意味真逆のような描き方がされていたのだが、違った感情の揺さぶられ方をされて本当に面白かった。
SF小説に慣れていなくても読みやすいと思う。特に上巻の中盤から下巻の最後まで、ページをめくる手が止まらない。
驚きと期待と不安、非日常の日常、そして手に汗握る展開がテンポ良く続いていき、読後は満足感で満たされる。
映画化も決定済みで、ライアン・ゴズリング主演で2024年から撮影がスタートするらしい。好きにならずにはいられない、あの登場人物をどう描くのか今からとても楽しみ。
あなたは読んだ、質問?

(2) 成瀬は天下を取りにいく / 宮島未奈

宮島未奈先生のデビュー作。
僕は野球では埼玉西武ライオンズファンなので、女の子がユニフォームを着ている表紙を見てジャケ買い。
物語の中で西武ライオンズが重要な役割を担っているわけではなかったけど、破天荒な主人公・成瀬がちょっと変わった目標に真っ直ぐ挑戦していく物語がとにかく爽快。
面白いのは大部分が主人公の視点ではなく、主人公のそばにいる人の視点で描かれていること。
主人公の成瀬に感情移入して一人称で物語を体感するよりは、「もっと成瀬を見ていたい!」と思わせてくれる小説。
この投稿を作る過程で続編も決定していることに気付いた。楽しみ。

(3) 六人の嘘つきな大学生 / 浅倉秋成

イケイケ最大手IT企業に入社したい六人の大学生の選考で起きた事件(?)を軸に、ミステリー調の謎解きで物語は進行する。
その物語自体も面白いけど、この本の本質は他人を容易にジャッジすることの愚かさを突きつけることだと感じた。
自分が見ている他人はその人のある一面を見ているだけに過ぎず、見えていることだけで他人を判断することが如何に性急なことか、普段無意識に自分が容易に判断を下しているかをデモンストレーションされる感覚を味合わされて、考えさせられる。
シンプルに物語も面白い。

(4) 傲慢と善良 / 辻村深月

主人公の婚約者のSOSから始まり、ミステリー調で物語が進んでいく。
「婚活」というイベントを通して、こんなに解像度高く人の心の奥底を描写できるのかという驚きと、それ故に心当たりをグサグサと刺されるような感覚がなぜか心地良かった。
特に僕と同じような独身の人は、小野里という登場人物の言葉で自分の傲慢さにハッとさせられる部分が多いと思う。
「自己評価が低い一方で、自己愛の方はとても強いんです。」

(5) かがみの孤城 / 辻村深月

「傲慢と善良」で初めて辻村作品に触れてもっと読んでみたくなり、手に取ってみた。
不登校になっている主人公の部屋にある鏡がある日突然光だし、そこからお城へと出入りできるようになる。そこには同年代の子たちがいて、約1年間、ともに過ごしていく。
割とファンタジックな物語であり、個人的にファンタジーには若干の苦手意識があるものの、「傲慢と善良」と同じく人の内面が解像度高く描かれていて引き込まれた。全く違う年代の登場人物なのに凄い。
僕も半分不登校児だったので、共感ポイントが高かった。
僕自身は登場人物のように何か大きな問題を抱えていたわけではなく、単に不真面目だっただけではあるが、セオリー通りの成長過程を歩んでいないだけに理解できる部分も多かった。
アニメ映画化もされている。

(6) Atomic Habits / ジェームズ・クリア

人の行動の大半を占め、大きな影響を与える「習慣」の大切さ、その作り方と続け方について書かれいる習慣化の名著。
良くも悪くも毎日の少しの習慣が最終的に大きな違いを生むことを方法論と共に説いている。
目標を設定してそれを追うことの危うさと、目標やToDoベースではなく、アイデンティティをベースにすることの重要性には説得力があり、自分の考え方に影響を与えてくれた。
一方で、現実問題として期限が切られた目標を達成しなければいけない場面は普段からたくさんあり、それらとの落とし所が自分の中ではまだしっくりきていない。

(7) 運動脳 / アンデシュ・ハンセン

「あなたの脳はまだサバンナに暮らしている」でお馴染み、アンデシュ・ハンセン先生の著作。
「スマホ脳」は読んでいたので二冊目だが、本作も軸となる考え方はは同じ。
文明が急速に発展しても我々の脳は狩猟採集時代と同じであるという視点から、運動がいかに重要かを説いてくれる。身体的な健康効果よりは、創造性や生産性に関わるパフォーマンス、メンタルヘルスへの影響など、脳に与える影響を中心に紹介。
運動したい!って思わせてくれる本。運動しよう!

(8) 三体X 観想之宙 / 宝樹

劉慈欣先生の著作「三体」シリーズの最終章「三体Ⅲ 死神永生」で描かれていない部分を、ファンが同人誌的に書いたものが公式スピンオフ化したという異色の本。
「あの時どうだったんだろう」という余白に一つの案として提示してくれて、楽しめた。
当然ですが、「三体」シリーズ本編を先に読むべき。500ページ級が5冊と、かなり重厚な物語だけど、壮大なスケールで驚きを与えてくれるSF小説なのでおすすめ。

2024年3月からNetflixで配信予定の実写ドラマシリーズや、現在WOWOWで配信されてるらしい中国版ドラマシリーズを見るのも良いかも。

(9) 流浪地球 / 劉慈欣

「三体」シリーズ著者・劉慈欣先生の短編集。
よくそんなこと思いつくな、というスケールや想像力に相変わらずワクワクさせられつつも、ちょっと笑えるコメディ調のものもあって面白かった。
表題作「流浪地球」は「流転の地球」の題名で実写の中国映画があり、映像の迫力が◎。Netflixにあったはず。
お気に入りは「ミクロ紀元」「中国太陽」

(10) invert II 覗き窓の死角 城塚翡翠 / 相沢沙呼

「medium 霊媒探偵 城塚翡翠」の2つ目の続編。シリーズ3作目のミステリー小説。
なんとなく読んでみたmediumで大どんでん返しを喰らってから読んでるシリーズ。2作目までは日テレでドラマ化済み。
2作目の「invert 城塚翡翠倒叙集」からは倒叙ミステリーで、犯人がわかっている状態からどう追い詰めていくか、という視点で展開していくので、答えを想像しながら読み進めるのも楽しいかも。なお全然わからない。
相変わらず翡翠ちゃんがやりすぎなぐらい、あざとく描かれている。
「あなたは探偵の推理を推理することができますか?」

(11) なめらかな世界と、その敵 / 伴名練

伴名練先生のSF短編集。
題材も難解なものは多くなく、非常に読みやすく書かれてるので、スラスラ読めて楽しい。小説やSFの初心者でも読みやすいと思う。
他の方の書評を読むと、過去の日本SF作品へのオマージュやリスペクトがたくさん散りばめられているらしい。詳しければより楽しめるのかも。
お気に入りは「美亜羽へ贈る拳銃」「ひかりより速く、ゆるやかに」

まとめ

SF小説が多めでした。いわゆるサッカー本も読んではいるものの、今季は浦和レッズの試合が多すぎてお腹いっぱいだったかもしれない。

MVPを決めるとしたら「プロジェクト・ヘイル・メアリー」。次点で「成瀬は天下を取りにいく」

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