彗星をみたい

今年!彗星が!!アツい!!!

太陽に温められてホッカホカだ!!!!


 彗星なんていうものは文字通り星の数ほどあるし、毎年のようにカタログに収録されてその数を着実に増やしている。私としてはホットな話題であるがしかし、世間の日常生活において話題に上ることはほとんどない。なぜだろう。理由はいくつか考えられるだろうがパッと思いつく理由を挙げておこう。初めにそんなに見やすい彗星は来ないということ、次に来ても見つけにくいこと、最後にそもそも興味がない人が多いということ。
・見やすい彗星が来ない
見やすい彗星とはなんだろうか、という話ではあるが一般的に大彗星とされるものがそれに当たると思う。例えばネオワイズ彗星(C/2020 F3)であったり、ヘール・ボップ彗星(C/1995 O1)、マックノート彗星(C/2006 P1)であったりだろう。ネオワイズ彗星は0等くらいだったと思うが、ヘール・ボップ彗星だったりマックノート彗星というのは−何等級かまで明るくなっていて大きな尾を見た者も多いのではないだろうか(残念ながら私は彗星の尾をろくに見たことがない。つい最近のことであるがZTF彗星の尾のようなものを望遠鏡越しにちらりと見た程度である。)。しかし前回の大彗星からすでに20年近く経っており、新たに天文に興味を持った人たちは大彗星を今か今かと待ち望んでいるのではなかろうか。
・来ても見つけにくいこと
非常に由々しき問題である。ツイッターであったり雑誌であったりで見かける彗星の写真と全く同じように見えることは少ない、と思う。少なくとも日本国内においては都市圏人口が非常に多いのもあってその傾向が強いだろう。そもそも彗星が明るい尾を見せるのは、氷を含む彗星の核が太陽に近づくことにより、核からガスや破片が放出されるためである。ここから考えられる通り、そもそも太陽の方に彗星の核が存在する以上、明るい(太陽に近づいている)にも関わらず見えなかったり、ある程度離れてもの薄明中に探さねばならないとなる。ところで日が沈むころに空を見ると、大抵の人は(執筆時点では)木星を一番星として目にすることだろう。これは南から西にかけて比較的明るくシャープに輝いている。他方で彗星というのは霞んだような見た目をしており、キラリと光るものではない。こんな感じで見にくいのだろう。
・そもそも興味がない
授業でやらないから存在を知らない人が多数なのだろうと思う。今の学生は理科好きなのでしょうか。聞くところによると理系人口のほうが少ないらしいので致し方なしか?理科を比較的好む私としては悲しいことこの上ない。

さて今比較的明るい彗星が近づいているということはご存知だろうか。12P, もしくはポンス・ブルックス彗星という名前である。私も2度ほど観測に挑戦しているが満足いく結果を得られていない。今は高度が下がる傾向にあることが原因のひとつである(太陽に近づいているため)。高度がそんなに大事か?というと意外にも重要である。そもそも高度が低いと建物や山に隠されてしまうということがある。仮に山などなかったとしても霞みやすいというのがある。図を用意したくないのでぜひ空想してみてほしいが、天球上で直上にあるものと、かなり低いものをそれぞれ見るときに通過する空気領域の長さには大きな差がある。それが長ければ長いほど霞むし、加えて気流が悪ければ星の瞬きなどとしてもとして観測される。今は北西の空に高度15度ほど(1900前後)で観測可能ではあるが、4等級台であり裸眼では厳しそうだ。双眼鏡をお持ちの方は気合でミラクとハマルの間を探して見てほしい。一応私の観測結果を示しておくが見れたものではない。彗星といえば尾であるのに、その気配が一切感じられない。本来であれば右上に伸びる尾が写っているはずである。

天体写真に手を出してから日が浅いといえどもう少しなんとかならなかったのだろうか。そこら辺はもう少し詰めようと思う。

そして本題の大彗星候補を紹介しようと思う。紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)である。彗星の名前は発見者であったり発見した天文台の名前がつけられる。これも例外ではなく、名前についている紫金山は中国の南京にある天文台で、ツチンシャンと発音するようだ。またアトラスはATLASであり、地球に接近する小惑星を見つけるプロジェクト(Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System)である。大彗星というのはほとんど長周期彗星、もしくは脱出彗星であるが、これも例外ではない。あるサイトにおいては離心率が1を超えているようなので太陽圏から最終的には脱出すると考えられる。

上は最新版、下は執筆時のページ。(2024/04/11 18:53編集・追記)


明るさが気になるであろうと思うが、予報では0等級である。実際にこれほど明るくなるかというのはわからない。過去にはアイソン彗星なんてものもあり、明るくなると期待されていたが、核が崩壊してしまい残念な結果となったこともある。しかし期待するのはタダなので期待しておくのが良いだろう。時期としては10月上旬から中旬が見やすいだろうと思う。StarWalkの受け売りなので軽く目を通してほしい。

どうやって探すかが重要となってくるが、ここでおすすめのアプリケーションを紹介しておこうと思う。光学系をいじるのが好きな人間はご存知VixenからComet Bookというものが出ている。左上の彗星選択の中から選んで押すだけだ。日付時刻は下のバーを動かせば良いので比較的直感的だと思う。あとは方角を合わせて、彗星がいそうなところを眺めれば良い。

https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.vixen.cometbook

暇があったら見てほしい、そんな気分である。


2024年というのは東海道新幹線が還暦を迎える年でもある。そんな2024年の10月に見やすいのだからJR東海には何かしらのイベントを期待せざるを得ない。

すいせい繋がりで水星探査機の話も少ししておこう。現在、ESAとJAXAが協力して水星探査機群を送り込んでいる。JAXAはそのうちMMOという、水星磁気圏探査機「みお」を送り込んでおり、今年は2回ほど水星スイングバイを行う予定であるそうだからこちらも気にしてほしいと感じている。

もう一つのすいせいの話は蛇足であろうから無しだ。期待していた人間様には申し訳ないが。

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