【ネタバレ注意】劇場版機動戦士ガンダム SEED FREEDOM感想

ガンダムSEEDの劇場版を観てきたけど、なんというか、すごかったね……(語彙力)
想像以上にはちゃめちゃの怪作だったので感想を書き連ねてみた。
ほとんどネタバレなので観てない方は悪しからず。





西川ニキのブチアゲOP

冒頭、キラは新型フリーダムに乗って出撃。
キラ「フリーダム、行きます!」
出撃と同時に鳴り響く主題歌「FREEDOM」。歌うのは初代OPでお馴染みの西川貴教(T.M.Revolution)。西川ニキ、かっけえよ……。
前作で破壊の限りを尽くしたデストロイが立ち塞がるが新型フリーダムの圧倒的な機動力と火力を前に撃沈。主題歌と相まって爽快感がヤバイ、ヤバイ……
雑魚MS相手にキラ単独で無双。マシンガンもビームも掠りやしない。
そういえば、フリーダムってこんなにカッコよかったんだよね……(遠い記憶)

新型ジャスティスにはシンが搭乗

新しいジャスティスガンダムにはなぜかシンが搭乗。(アスラン……アスランはどこ行った……?)
シンからしたらジャスティスって前の戦争で敗北を喫した機体だし、そんなのに乗せられてたらいい気分しないだろうなと思っていたら案の定、
ムウ「新型の調子はどうだ?」
シン「ええ、まあ(棒読み)」
やっぱり納得いってなさそうで笑った。
しかもアグネス(新キャラ)がジャスティス譲りなさいって言っても口応えしないし……。
それにしても上官のキラに活躍の場与えてもらえなくて拗ねてるシンは微笑ましい。

ハロの可愛さは健在

もはやサンライズの公式マスコットと化したハロ。今作でも相変わらず登場。
ラクスがキラと電話してる場面で、
ラクス「ええ……そう……」(キラの帰りが遅くなると知り寂しげ)
ハロ「ミトメタクナイ!」
ハロってラクスの心理読めたりするのか……。
他にもキラとラクスが真面目に世界の行く末を憂いている横で、
キラ「人は、そう簡単には変われない……」
ハロ「オマエモナ!」
もうボロボロのキラにさりげなくスリップダメージ食らわせるのヤメテ……
SEEDのハロって口悪いんだねって再認識した。でもそれが可愛い。

オルフェとかいう間男

なんだかんだファウンデーションとかいう新興国に協力することになって現地に降り立ったキラ&ラクス一行。宰相のオルフェはラクスをファウンデーション側に取り込むべく催眠術みたいなもので口説き落としにかかる。
オルフェ「私はあなたの運命。共にこの世界を導く者……」
初対面なのに距離感近スギィ。なんだこいつ、童貞の悪いところを全部混ぜて煮詰めたような男だなあ(偏見)。彼氏のキラはといえばラクスが口説かれているのを止めることもできず後ろからそっと眺めているし可哀そう。(まあNTRといえばキラもサイに同じことしてたし百パーフォローはできないけれど)
この時点で恋愛模様がテーマなんだなと気づく。ラクスしか見ていないオルフェに対し、ファウンデーション側のイングリットはそのオルフェを見て悲しそうに目を潤ませている。NTRされかけているキラだってアグネスに逆ナンされ……
なんだかドロドロしてきたな……まるでSEEDみたいだ……(歓喜)
ラクスとかいう絶対的ヒロインを前に敗北を悟るイングリットちゃん、あまりにも不憫すぎて同情してしまったよ……一途で報われない薄幸の美少女を肴に飲むコーラは美味いなあ。

アスラン、なぜかズゴックで登場

気づいたらファウンデーションのインチキ術みたいなやつで嵌められ、窮地に陥るキラ。ファウンデーションの最新鋭機ブラックナイトスコードもなかなかのインチキで実弾、ビーム兵器を受け付けず(フェムテク装甲?)、近接しか通らないという鬼畜仕様。もうボロボロでなす術のなくなったキラにトドメが刺されるその瞬間、
なぜかズゴック登場。乗っているのは……アスラン????
アスラン「…………」(すごく不機嫌そうなジト目)
突然鳴り始めた聞き覚えのあるBGM。これあれだ、ファーストでシャアが出てきた時のBGMのアレンジだ。ズゴックのカラーリングも完全にシャア専用のオマージュだし完全にこれ、やっちゃってんなあ
宇宙戦争のジャブローじゃん。アナザーガンダムとはいったい……???
でもこのズゴック、めちゃくちゃ強い。ストフリで歯が立たなかった敵機相手に互角に肉弾戦してる……やっぱりCE世界最強パイロットはアスランだった……?
あとでパンフを見たら、このズゴックの名前本当に「ズゴック」なんだよね、ズゴック・○○とか○○ズゴックとかじゃないんだよね、明らかに異質……そもそもCE世界にズゴックなんっていなかったじゃん、アスランが名前つけたのかな、アスランがあのデザイン作ったのかなあ、何にしても面白すぎるでしょう……

キラ、アスラン、男の殴り合いもとい、一方的な殴り

アスランのおかげで窮地を脱したはいいけれど地上は大惨事。母艦アークエンジェルは撃沈し仲間もどうなっているかわからない。ファウンデーションは大量破壊兵器レクイエムを手中に収め他国に脅しを始めた。
このままじゃ世界どうにかなっちゃうよー。
キラ「無駄だよ。何をやったって繰り返しだ。戦って、戦って、戦って、それでも世界は変わらなかった……」
絶望するキラ。それを眺めてスクリーンの前でうんうん頷くオタクたち。そうだよね、キラはずっと頑張ってきたのにCE世界は容赦なく厳しい。
キラ「僕は、何もできない。僕じゃラクスを幸せにすることなんてできない。世界を守ることだって……」
弱音を吐くキラに、アスランが一喝する。一人で背負うなという呼びかけに、
キラ「だって、君らが弱いから!
これが大人ぶってきたキラの本音なんだろうな。自分だけが人類を超越したスーパー・コーディネイターで、自分だけが何でもできる。だからこれまでずっと一人で背負ってきちゃったんだね……
アスラン「何もしたくないなら、そうやってうじうじしたまま腐ってろ!」
キラ「……君に何がわかるっていうんだ!!」
始まるキラとアスランの殴り合い。でも、キラの拳はアスランに当たらない。これじゃ一方的な殴りだ。仕方ないね、アスランはZAFTでも超エリートの赤服だもの……と思っていたら二人の巻き添えを食らって殴り飛ばされるシン。ほんと美味しいとこ持って行くなあ。
アスラン「一人で全部背負った気になって、思い通りにならなかったら見捨てるのか? 大したヒーローだな」
アスラン「なんで言わない? 頼まない?」
今作のアスラン、かつての裏切り者の仇名はどこに行ったのか一切迷いがない。ブレないアスランが、キラを導く良心として機能している。
ラクスさんだって平和をポンっとプレゼントされたかったわけじゃないんでしょう、とマリュー。お前に一緒に立ち向かってほしかったんじゃないのかとアスラン。思い直したキラはアスランの手を取る。
ようやくキラは長年の「一人で背負う」呪縛から解放されたのだ……

シン、忠犬になる

ファウンデーションの拠点とするアルテミスに向け出発するキラ一行。といってもMSないじゃんと思った矢先、前作のストフリ、デスティニー、インパルスが試験用に保管されていたことが明らかに。
シン「あんな奴ら、デスティニーがあれば……!」(めっちゃ邪悪な笑み)
まさか今作はデスティニー活躍するのか……⁉ 新型ジャスティスでは歯が立たなかったけれどシンの自信に満ちた表情にはワクワクさせられる。
最終決戦の出撃前、キラは正面に待ち構えた敵勢力の突破をシンに任せる。
キラ「ミレニアムを頼んだよ」
シン「……はい!!」(めっちゃはきはきと嬉しそうに)
シンの後ろで尻尾が横に揺れるのが見える見える……。ここ、冒頭との対比になっててめちゃくちゃいいよね。人に任せられるようになったキラの成長を感じられる場面でもあり、今作最大の癒しキャラであるシンの見せ場でもある。上司があのクソ堅物(アスラン)からキラになって、よかったね。

デュエル、バスター復活!

ファンサービスというか、イザークとディアッカは復活したデュエル、バスターに乗り出撃。めっちゃなついね。
二人はクーデターを起こしたZAFTの反乱軍と対峙。反乱軍は今オーブを倒せば時代は変わると主張する。ヤキンドゥーエ戦役からプラントは多くの血を流してきた、だから彼らの憎しみの矛先は地球連合やオーブにあって、その連鎖は永遠のようなもので……
でもそれはイザークやディアッカだって同じ。ニコルの死を二人は忘れたわけじゃない。だから、
ディアッカ「忘れてねえよ……」
イザーク「だから、こんなこと早く終わらせなければならんのだ」
艦長のいる艦橋に向け、ランサーダートでトドメを刺すイザーク。これ、かつてニコルがブリッツに乗って使っていた武装なんだよね……ニコルが戦争に殺されたこと忘れているわけがないものね……イザークもディアッカも、その強さが垣間見える良いシーンだった……

デスティニー本当に分身してしまう

シンはデスティニーを駆りブラックナイトスコード4機を相手取る。大丈夫かと思ったら種割れしてむしろ相手を凌駕。いつも吠えてばっかなのに種割れして急にスン……って冷静沈着な顔になるシン良い。
ブラックナイトスコードは残像を振り撒きながら翻弄しようとする。いやいや、残像といえば本家はデスティニーだぜ……? 期待していると、 
シン「分身はこうやってやるんだ!!
分身? デスティニーが見せるのは残像でしょ?
でも、なぜか本当に五体に分身してしまうデスティニー。
は?
あっけに取られている間に4機のブラックナイトスコードを嬲るように破壊し、最後の一体は掌のパルマフィオキーナで木っ端微塵。何事もなかったかのように本体に収束する分身。
デスティニーはGガン世界の機体だった……⁉
わけわからん……わかわからんけど、かっけー!!!
私はこのあたりで原理を理解しようとするのを止めた。ズゴックが登場したあたりからわかってただろ。この映画は「考えるな、感じろ」なんだ。
でも、前作で不憫だったデスティニーがこんなに活躍して、本当によかったね。

悲恋の名脇役イングリットちゃん

捕虜となったラクスはオルフェを頑なな意志で拒み、キラが死んだという嘘にも屈せずキラを待ち続ける。イングリットはオルフェに愛されるラクスを妬みつつも、ラクスとの会話で「思い」よりも「与えられた役割」が重視されてしまうファウンデーションの在り方に疑念を抱き始める。キラが助けに現れるとイングリットはラクスを咄嗟に人質に取り、今ラクスの目を潰したとして、彼女の喉を掻き切ったとして、歌えなくなった彼女を愛せるのかと問う。
キラ「ラクスはラクスだ。僕は彼女の全てを愛している」
「役割」だけが人の全てだと信じていた指針が崩れ落ちて、イングリットはその場に頽れる。キラとラクスのイチャラブをまざまざと見せつけられて……
イングリットはオルフェに好意を寄せているが、「役割」だけを人の価値と捉えるオルフェは彼女をそうは見てくれない。キラとラクスの思いを知った時、イングリットはそれに憧れを抱きつつ、オルフェと私は「彼女たち」ときっと同じにはなれないと悟って未来を諦めたんだろうな。オルフェは本当のイングリットを見てはくれない。彼らがもっとこことは違う場所で生を受けていたのなら、あるいは……

ルナとアグネスのキャットファイト

インパルスに乗ったルナは、なんやかんやあって敵方に堕ちたアグネスと戦うことに。アグネスは中盤でキラに手酷くフラれ、めちゃくちゃヤサグレている。
アグネス「なんでうまくいかないの⁉ 私は愛されるべきなのに!」
ルナ「それ、本気で言ってる?」
アグネスって典型的な人を属性(立場、能力)で計るタイプの人間だから、これは人の本質を見抜けるラクスみたいな人間との完全な対比なんだろうな。それに、キラの「有能な指揮官」の表面しか見れないアグネスの薄っぺらさと、シンの良いところも悪いところも含めて受け入れてあげられるルナの懐の深さとの対比にもなっている。まあ、懐が深いというのを「情に負けた」とか「情に絆された」と捉えることもあるのかもしれないけれど、長くシンと過ごしてきた今のルナからしたらそんなの知ったこっちゃねー。
アグネス「あんたこそ、あんなので妥協して良い目見てるじゃん」
ルナ「はあ? 好きだけど?
さも当たり前みたいに言ってくれるルナ、最高にかっけえよ……とにかく、これでシンは安泰だってことだ……

ズゴックの中身お前かよ

オルフェは複座のラスボス機体にイングリットと一緒に搭乗。シュラの駆るブラックナイトスコードシヴァとともにキラを追い詰める。前作では無双の限りを尽くしたストフリも、ファウンデーションの最新鋭機2機を前にどんどん追い詰められていく。ジェネレータが尽き頽れるストフリ。そこに現れたのは、なぜかというか、やっぱりアスランのズゴックだった。
宇宙空間に水中仕様のはずのズゴックがいる絵はなかなか面白いものがあるよ……
登場早々、敵の攻撃を受け爆散するズゴック。アスラーーーーーン!!
と思ったら煙の中から∞ジャスティス登場。
ここ、さすがに笑ってしまった。中身お前だったんかい……どうりで強いわけで……
というか、ズゴックの中身ってなんだよ、ズゴックの大きさ的に着ぐるみみたいにガンダム入るわけないだろ、あのズゴックどんだけデカかったんだよ……いや、本当面白が過ぎるよ……

破廉恥な男アスラン

シュラ駆るブラックナイトスコードシヴァとアスラン駆る∞ジャスティスの一騎打ち。シュラは相手の思考を読む能力を持っていて、中盤の戦いではキラがそれにやられた。アスラン大丈夫なのか……
シュラが思考を読むと、突然脳内に映し出されるカガリ(アスランの嫁)の裸体。え? 裸というか、これもう、セッ(自主規制)
シュラ「神聖な戦いに、こんな破廉恥な妄想を……⁉」
突然のエッッなイメージに動揺するシュラ。まさかのアスラン、思考読みを先読みしてエロ妄想でカウンターパンチ。は? 面白すぎるよアスラン。
優勢になったアスランは種割れして新武装(トサカビームサーベル)でシヴァを一刀両断。
死と隣り合わせの戦場で彼女の裸体想像できるお前はやっぱりCE世界最強だよ……

キラ、ラクス愛の共同作業(ディスラプター起動)

ラクスがエッッなパイスー着てプラウドディフェンダーとかいう新兵器に乗ってキラの下に駆けつける。
ラクス「エンゲージ」
キラのストフリとドッキング。ラクスも乗り込み複座的な感じ。隣に並ぶキラとラクス。機体の中に二人いるのが新鮮で良い。
この新装備、原理意味不明だが物理もビームも全て無効化して全方位に攻撃できるチート仕様。極めつけは、
キラ「ディスラプターの使用を申請します」
ラクス「総裁ラクス・クライン、承認します」
ストフリの額がぱっかりと開いて発射口が覗く。なんだこれは……? 今の会話、使用に総裁の承認が必要ってこと? それってもう核とかってレベルじゃあないぜ……?
画面白黒暗転して、額から放たれた光が次元ごと切断する。メサイアの要塞が真っ二つに割れ、その奥にあった戦艦が爆散する。
これは、ちょっと、強すぎでしょう……どこから拾って来たん? このオーパーツ……
オルフェとキラの機体がぶつかる。イングリットは魂を失ったようにオルフェの言いなりになっている。
戦いの中で、なぜ私を必要としないと訴えるオルフェに、ラクスはいつかあなたを必要とする人が現れる、その人はあなたをずっと見ていると返す。この時イングリットがはっと目を見開くの、つらかったな。ラクスがどういうつもりで言ったのかはわからないけれど、イングリットはそれが自分であってほしいと願ってしまったんだ……
状況は完全に反転攻勢。オルフェとイングリットの機体も左肩をあえなくディスラプターに吹き飛ばされ破壊寸前。イングリット、なんでまだそんなところに座っているんだ……このままだと……
多分この時、ほとんどの観客がイングリットの行く末を憂いていたと思う。
フリーダムの実体剣が、オルフェの右肩ごと機体を串刺しにする。コックピットに血飛沫が散る。
オルフェ「私の……使命は……」
重傷を負い、虚ろな表情でオルフェは無念そうに呟く。世界を導くアコードとして役割を与えられながらそれを全うできなかった。
オルフェはそれを後悔するけれど、でも隣にいる少女は責めはしなかった。
イングリット「もういいのよ……」
オルフェ「イングリット……」
イングリットはきっと、そう在ろうと努力するオルフェをずっと見てきたから。
イングリット「私は、知ってるから
目を閉じた二人を爆炎が包む。
ああ……終わってしまった……
イングリットの存在は悲劇としてこの作品に不可欠だったろうけれど、メタ的に死ぬ運命だったからこそ生きていてほしかったな。イングリットが見てきたオルフェの姿、もっと劇中で見たかった……

二人は幸せなキスをして終了

戦いが終わり、浜辺でキスをするキラとラクスでエンディングへ。
(でも、なぜか二人ともパイスー脱いで裸なんだよね……そういえば昔OPやEDに二人の裸が多い理由を何かの記事で読んだ気がするけれど忘れてしまった。まあSEEDだからこそ多少はね)
思い返してみると、多分このエンディングを迎えても世界は大して変わっていないんだよな。相変わらずナチュラルはコーディネイターを、コーディネイターはナチュラルに憎しみを抱いたままだろうし。でも少なくともキラやラクスはそのどうしようもない世界に立ち向かう意志を新たにできた、それがこの作品の結論ってことでいいんだろう。
この映画のタイトル、多分「SEED LOVE」が実のところなんだろうな。でも人を愛する=自由意志という意味で「SEED FREEDOM」でしっかり意味は通っている。他にもFREEDOMは作風にも掛かっている。今までのシリアスで徹底された作風と違って、今作は笑いもアリのお祭り映画って感じで、半分冗談だとしてもそういう心意気を感じた。
特に、アスランとかシンのぶっ飛び具合ね笑
エンディング曲はSee-Sawの「去り際のロマンティクス」。
歌詞が別れの曲みたいだと思っていたけれど、味方側の主要キャラが死なずにエンディングを迎えられて本当によかった。
これは史上稀にないハッピーエンドだよ。

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