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わたしがわたしを生きるために

▼前回の闇堕ちエッセイもどき


苦しみの海底を泳ぎ、朝を迎えた。

ろくに眠れない日々が続いている。眠れたとしてもほんの数時間で、浅い夢を何度も見たあと目覚めてからは再び眠れなくなる。じくじくとした思考が胸を渦巻く。そして祈るように、朝が来るのを待つのだった。

三日三晩泣き腫らしたあと、ようやく自分を奮い立たせ、三日連続で出かけることにした。普段は用事さえなければ引きこもるわたしが、わたしのために外の世界へ繰り出す。

お気に入りの服を着て、とびきりのお化粧を施した。誰のために? 自分のために。わたしだけのために、わたしだけの気分で動くのは気持ちがよかった。空も快晴。世界がわたしの背中を押してくれている、そんな気がした。


大好きな人たちに会って、他愛もない話をした。一人で海に行った。海辺のカフェでおいしいごはんを食べた。電車に乗った。本を読んだ。映画を観た。髪を切った。美容師さんおすすめの、シャンプーを買った。

やりたいと思った瞬間に躊躇なく行動できる、なんて身軽。とにかく自分の思い通りに動いているうちに、心に張り詰めた糸はするすると解けていった。なんて単純。


そして、この苦しみの根源と向き合う儀式をした。大切で、大好きで、だからこそ儚くて。けれど一歩、また一歩と歩み寄り、目を閉じてゆっくりと頷けば世界は元の形に姿を変えた。

大丈夫、わたしは生きてゆけるよ。
生きるために生きてゆくよ、

今だけは世界の誰よりも無敵なわたしは、あっさりと涙を手放した。無限に感じられた時間はほんの一瞬、と今なら思えるけれど、枕が海に帰したあの夜はどこまでも長く、果てしなかった。それらはどれも事実なのだ。

忘れよう、と思うのはもうやめた、忘れないでおこう、そう思って書き綴った。思いの丈を、心の叫びを。それは鮮やかな色を伴って宙を舞い、この紙の上にたどり着いた。これからは、いつまでも一緒だね。


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ご心配おかけしました。前回の吐露へのあたたかいスキやコメント、本当にありがとうございました。ここ数日間の生きる希望でした。ひとまず復活、です。

どこまでも、いつまでも引きずらないのはわたしのいいところかもしれません。まあ、それなりに吐きそうなほど苦しんで、今も見事に体に出ているのですがたぶん近々治ります。

そうこうしているうちに書くべきものの締切が迫っていることに気がつきました。次回?そのまた次?からは、創作大賞向けの連載小説を載せようと思います。

とは言っても、よほどユニークなものじゃないと選ばれるわけがないとわかっているので、単純に今わたしが書きたいものを書くだけです。よろしければ、そちらも楽しんでいただけると幸いです。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。共に生きましょう。


まう

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