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まうの本棚

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読書感想文、読書エッセイもどき、その他本について書いたこと。
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記事一覧

薔薇は生きてる、我が試練よ

薔薇は生きてる、我が試練よ

日々飲んでいる薬の副作用、今月は嘘みたいに調子がよかった。先月新しい薬に変えてみたらまあひどい目にあったのだけれど(詳しい話はこちらで)、身体が新たな薬にしっかり適応したらしい。ストックが尽きそうになったので、ひと月ぶりに婦人科へ向かう。

先月は大変な思いをしたものの、あの一回きりで学習できる私の身体はとてつもなく優秀だ。そもそも飲みはじめた頃もすんなり馴染んでいった覚えがある。聞き分けのいい身

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“お涙頂戴になったらだめだ”

“お涙頂戴になったらだめだ”

ほんの些細な失敗を、何度も思い返しては引きずってしまう。あのとき放った一言を今からでも訂正したいと、布団に潜りながら悶々とする。そういう歯切れの悪い根の暗さが、私にはある。

でも、根暗な人が私は好きだ。私とおんなじ、変な方向に考えすぎでじめじめしていてちょっとめんどくさい思考の人。けれどそんな自分を隠しつつ、せめて周りには迷惑をかけないでいようとひっそり口角を上げて生きている人。
不思議と、根暗

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1月、書きながら読んだ本たち

1月、書きながら読んだ本たち

年が明けたかと思えば気がつけば2月、と言いたいところだけれど、正直なところ、私の1月は体感が長かった。おそらく正月休みが抜けきらないまま仕事をしていたせいだと思う。月末を迎えたときには、ようやっとか、とため息が漏れるほどだった。

さらに1月は、自分の本の原稿に追われてもいた。一方で読書欲は枯れることがなく、むしろ書き下ろし作業のいい刺激にすることができた。
珍しく(?)記録もまめにつけていたので

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2023年を彩った本たち

2023年を彩った本たち

こんにちは、まうです。
本当は年末に出したかった記事、タイミングをすっかり逃していました。まだ1月上旬なのでセーフ、ということにします。今更記事にお付き合いいただける方は、よろしくお願いします。

2023年を彩ってくれた、私のベスト本。昨年の私は大学生から新社会人になり、同棲生活も始まり、目まぐるしい環境の変化と生活への適応のために必死こいて生きてきました。その一方で数年ぶりに読書欲が復活し、6

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本を捲るたび、巡る旅

本を捲るたび、巡る旅

秋。外からの刺激。それも波の低い刺激が楽しくて嬉しい、そんな季節。

秋がいっぺんに押し寄せてきたからだろうか。朝起きると涼しいどころか寒いほどで、仕事中はやたらと眠たくて、そして、それから、とにかく本に触れたくて、出会いたくてたまらない。

そのせいか、9月に読んだ本は10冊に及んだ。家どころか仕事の合間にも本を読み漁ったからだろう。ここ最近はいろんな作家を読んでみるようにしていて、おかげで自分

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抹茶パフェとカフェラテと、借りてきた本

抹茶パフェとカフェラテと、借りてきた本

まさかエアコンのよく効いた部屋でぬくぬくと毛布にくるまりながらお昼寝する生活が戻ってくるとは、思ってもみなかった。少し前にはまだ8月よ!?と快適な気温に驚いていたというのに、今はもう9月よ!?とその暑さにげんなりしている。

明日の卒論中間発表の原稿を無事提出したから、今日はやりたかったことをする日だと決めていた。午後を過ぎると雲が出てきて、日差しが少しずつ和らいできたので相棒の自転車に乗り、図書

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本が読めなかったあの頃

本が読めなかったあの頃

心に余裕がないと、本が読めない気がする。

幼い頃から人並みに本が好きな子どもではあった。物心つく前から絵本を読んでもらっていたし、小学校の図書室では毎日のように本を借りては読んでいたし、友達と児童書の人気シリーズを貸し借りしていたこともある。

けれど一時期、私は本当に全く本を読んでいなかった。というか、読めなかった。

高校時代、ひたすら勉強と課題と部活に追われていた。朝早く起きて、電車に乗っ

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大人になれない、冠婚葬祭

大人になれない、冠婚葬祭

そうか、喪服がいるのか、と思う。
誰かが亡くなったわけではない。ただ私は喪服というものを持っていない、ということにふと気がついただけである。

物心ついてから、私はお葬式に参列した経験がほとんどない。一度だけあるのは、中学時代に同級生が病気で亡くなったとき。あのときは私たち同級生、亡くなった彼の所属していた野球部の部員総出で彼を見送った。もちろんみんな制服だった。あれ以来身近で誰かが亡くなることも

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雨、本のページはしんなりとして

雨、本のページはしんなりとして

いつの間にか梅雨入りしていた、らしい。てっきり台風による湿気が雨を降らせているだけだと思い込んでいたから(間違いではないけれど)、ちょっと拍子抜けした。季節の移ろいは早すぎて、いつも他人事みたいな感覚になる。ついこの間までは桜が咲いていたはずなのに。

とはいえ、つい数日前まではもったりとした暑さのせいで数ヶ月先のことまで思いやられていたから、少し涼しくなってくれたのは嬉しい。湿気で伸びた髪がうね

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