大学5年生なりの新生活


 明日、3年とちょっと住んだ家を出ます。そして、入居日と退居日を一日ずらすことでゆっくりと引っ越し作業ができるという発明をしたわたしは、この文章を新居で書いています。
 実質、今、家がふたつある状態です。帰る場所がいくつもあるなんて、ぜいたくですね。


 新居とともにはじまる新生活。京都市立芸術大学の5年生になりました。
 3月半ばに不動産屋に飛び込んだので、まるで内定がギリギリで出た春から新卒かのような勢いでしたが、全く卒業していません。

 大学入学当初は大阪の実家から通う予定だったのですが、片道2時間半かかるのはきついという建前のもと(建前じゃなくても結構きつい)、過干渉の母から逃げるという目的で、京都市内に住んでいます。

 1年生後期の単位を犠牲にしながら、週4(学校帰り)で京都市内の居酒屋、週2(休日)で地元の居酒屋で死ぬほど働き、25万ほど貯めて、母親には何も言わず、こっそり父親の力だけを借りて、年明けにしれっと家を出ました。
 鬼のバイトの反動で躁鬱のスイッチが切り替わり、引っ越し直後から鬱がひどかった記憶だけあります。


 ひとりで暮らした3年と少しの間に、おぼえていられないほどたくさんのことがありました。ほんとうにおぼえていないこともたくさんあります。

 やっぱり、ひとり暮らしは自由なので。
 何時に出かけても、どこから帰ってきても、どんなバイトをしても、誰と何をして遊んでも、何ひとつ親からの干渉がない世界というのは革命的だと思います。
 夜職、バンザイ。マッチングアプリ。バンザイ。連れ込みまくった3人の元彼、バンザイ。

 もう新居にすべての荷物を送りましたが、3つ前の彼氏にもらったギターも、2つ前の彼氏といっしょに組み立てたクソデカパソコンデスクも、1つ前の彼氏が買ってくれたスピーカーも、もちろん断捨離できるはずもなく、連れてきました。
 物に罪はないですから、という気持ちが半分と、わたしは物を捨てることが好きではないので、という気持ちが半分あります。

 物を捨てることがとても怖いです。わたしは物にも四次元的な感覚が宿っていると信じています。物にも時間が流れている。それが積み重なると経年劣化のような物理現象になる。
 物を捨てるということは、物に流れている時間をも捨ててしまうのと同じだと思っています。時間を過ごした主体は物なのに、持ち主という他人に存在まるごとを否定されてゴミ箱行き、なんていうのはあまりに残酷な話。

 そう思うとほんとうに何も捨てられないので、とりあえずいらないものは服も靴もたいがい売りました。リサイクルはセーフ。ブックオフで810円ももらったので、煙草が一箱買えちゃいました。うれしー♪
 でも、アイドルオタクは今年で絶対に辞めるという強い意志があるので、決意のように燃えるゴミに入れました。燃え尽きろ、かつてのオタクだったわたしのオタク魂。


 ってな感じで、1K激狭洗濯機なし風呂トイレ別駅から徒歩10分の3.5万円から、2K洗濯機あり風呂トイレ別駅から徒歩7分の5.1万円に格上げです。卍不登校児卍なので大学からさらに遠いところに住みます。
 念願の2K。生活と制作のスペースを分けたかったので。できるクリエイターってなんかそうしてそうだし。かなり形から入るタイプです。

 これは、これから引っ越しを検討している読者諸君に伝えたいのですが、初期費用は抑えたくても、設備のところについてはケチらないほうがいいです。

 旧居への引っ越しのときのわたしは、一刻も早く実家を出たくて、洗濯機が屋上で共用と聞いたときには「洗濯機、買わんでエエヤンー♪」になっていたのですが、引っ越して2年を過ぎた頃から数キロを抱えて屋上に上がる根気がなくなり、着る下着がなくなったらコンビニで買い足す、という限界コスパ最悪生活を送っていました。
 そして、「室内ないし室外に洗濯機置き場がある」は今回の引っ越しの外せない条件になりました。

 絶対に、いっときの楽のために妥協しないでくださいね。その家には何年も住むのですから。


 ほんとうはもっといろいろなことを振り返って、エモ(笑)になりたかったのですが、二日酔いの頭痛がきつすぎて起きていたくないので、ぼちぼち締めくくりに入ろうかと思います。
 この頭はいつまで痛いんだろう。もうひと晩経つのにな。

 あなたの靴を磨くのでぼくの夢を叶えるためのお金をくれませんかと乞食をする若者の靴磨きを断って小銭を全部あげたり、酔っぱらったかわいい女とエグいイチャイチャをかましたりしながら、高瀬川にゲボを吐くという京都の大学生の義務もきちんと果たしてきました。
 今思い返すと乞食の若者に小銭あげた意味が全然わかんないな。

 引っ越し前夜に吐くまで飲んで気絶すると、引っ越し作業で地獄を見るのでやめたほうがいいです。


 もちろん部屋は段ボールだらけで、どうにかしないといけないんですよ。
 2Kだから広いし段ボールがそこそこあっても十分生活はできるんですけど、ただ、引っ越しの勢いで荷ほどきをしなかったせいで、これはマンションではなく段ボールハウスなんじゃないかというぐらいに、視界が段ボールだらけの部屋に住んでいる知人がひとりいるので、それだけは避けたいと思っています。
 でも動きたくない。ほんとうに頭が痛い。


 しかも最悪なことに、ガスの手続きを先延ばしにしつづけたせいであと3日はガスが使えません。お風呂に入れん。汚くて臭いオタクになってしまう。
 幸い、同じく手続きを先延ばしにしたせいで、旧居のガスもあと3日ぐらい使えるので、明日はお風呂に入るために旧居に行きます。なんなんだこの暮らしは。

 そして洗濯機もコンロもない。衣食住がなんか絶妙に揃ってない。早いうちになんとかします。段ボールもガスも洗濯機もコンロも全部。新生活の生活がちゃんと新しいうちにね。



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