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「独立しよう」へのアンチテーゼ フリーランスや副業だけじゃない会社との幸せな関係

新しい時代になった。会社に依存する生き方はもう古い。副業や独立をして、縛られずに自由に生きよう。こうした情報は本屋やTwitter上でも増え、トレンドになっていると思う。不自由を強いられるより、自由に選択できるのは良いことだ。フリーランスになって仕事を選べて、前より時間あたりの収入は上がったかもしれない。だが、それで良いんだろうか?

僕の周りにもフリーランスはたくさんいる。独立を選ぶ友人も増えている。しかし、彼ら彼女らから迷いの声を聞くこともあった。「仕事はたくさんあるし自由はあるけれど、何に打ち込んだら良いか、もう一度考え直している。」

自由に働ければ、必ず幸せになれるのだろうか。僕らは自由だけではなく、仕事に意味を必要としている。上下や対立ではない、会社と個人の新しい関係を考えてみた。

その仕事に意味を感じられるか?

ただ生きるだけなら、仕事のやりがいや意味なんて必要ない。生物として僕らを見れば、生存して、種を残すことだけが存在する意味になる。だが僕らは発展し、新しいものを必要とした。ただ生きるだけではなく、文化的であること、楽しみがあること。自由であること。世界のどこにでも行けること。生活が豊かになるにつれて、新しい欲求が生まれてきた。

働かなければ、食っていけない。何がなんでも仕事を見つけ、明日の生活を守ることがすべて。そうした時代は(少なくとも豊かな国では)だんだんと終わろうとしている。そして僕らは仕事に意味を求め始めた。

フリーランスや副業を始めて、複数の会社と仕事をして収入を得る。ここで生じるのが、「私は主体的に働けているのか?それとも下請けを繰り返しているのか?」という問いだ。もちろん、独立して自らミッションを定め、主体的に仕事を作ったり、仕事を吟味して共感するものだけを選べている人もいる。これは素晴らしいが、そうでなければ、なぜ私は働いているのか、という意味を見失って迷うかもしれない。

ただの自由の価値は相対的に下がっていく

これは少し未来の話だけれど、僕らの考える自由の希少価値はこの先下がっていく。ロボットやAIに仕事を任せ、昭和的な働き方を終わらせ、生産性が向上する。個人が副収入を得る手段は増えていき、ベーシックインカムも導入されるかもしれない。今よりもずっと多くの人が「好きなことで、生きていく」を実現しやすくなる。つまり、自由な働き方、は誰でも手に入る普通のことになっていく。

誰でも手に入るようになると、希少価値は下がっていく。2019年現在は「自由って羨ましいな」の価値観が優勢で、憧れを抱いていた人も、この先は段々とそれだけでは満足できなくなる。

大きすぎる自由があると、人は不安になる。自分の仕事や人生にどんな意味を見出したらいいか。たくさんある時間を何に懸けたら幸せになれるのか、後悔しないのか。懐かしいCMではないが、「自由になった。で?っていう。」を自問自答する人がでてくるだろう。自由になると、自分で決めなければいけないことが増えるのだ。

会社と個人の新しい関係「同志(カンパニー)」を提案したい

ここまで少し暗い話を書いたが、僕らは明るい未来を選択し進むことができると、僕は信じている。そのアイディアが、会社と個人の新しい関係「同志(カンパニー)」である。

今の自由へのトレンドは、会社と個人が上下関係だった、「主従(エンプロイー)」時代の反動だと思う。会社に不条理を押し付けられて、狭い中での出世競争や政治に巻き込まれるのはもう止めよう。会社と個人は対等な関係を築いていこう。それが「契約(エージェント)」の関係性だ。

「契約(エージェント)」関係には良いところもあるが、課題もある。不条理や不自由よりは良いけれど、対等・独立の価値観だけを目指して突き進むには前述のような不安もある。そうしたエージェント社会が、性善説で進むか、性悪説で進むかでも大きく変わってくるだろう。対等な契約関係である以上、疑い始めると、常に裏切りに備えたり、厳密な契約で縛り合ったりとキリがない。

ここで全く違った見方をしてみよう。会社と個人という二項対立で考えるのを止める。そもそも、「会社さん」なんていないのだ。社長も人事もただの個人であり、とある目的や想いを共有したヒトがただ集まってるだけ。本質的には、オオカミの群れとあまり変わらない。会社はただの概念だ。

会社と私、あちら側とこちら側という見方を止めて、自分を含む私たち(Ourselves)を主語に会社を考える。そして、群れを作るからには、ただ集まるのではなく、目的を定める。それが会社のミッションであり、その達成を目指して集まっている「同志(カンパニー)」として自分たちを捉え直してみるのはどうだろうか。

経営者は、個人では達成できないような大きく魅力的なミッションを掲げ、呼びかける。そのミッションに意味を感じ、自由な時間を懸けたいと思った人が集まり、「同志(カンパニー)」となる。

これは考え方や、ものの見方の話であって、まだハードやシステム面の話ではない。まずは現行の雇用や業務委託契約の仕組みを工夫して使いながら、自分たちのミッションや価値観を問い直していくような始まり方になるだろう。

パッと見は会社に所属している個人に見えるかもしれない。けれど、「主従(エンプロイー)」とも「契約(エージェント)」とも違う。自由の上に意味も得られる、「同志(カンパニー)」という関係性に、僕は明るい未来を感じられる。

すぐには変わらないところもあるだろうが、僕は自分の周りからでも、このチャレンジを進めてみる。あなたの感想やアイディアも寄せてほしい。

新しい時代。信じられる大きなミッションの同志となるか、自分でミッションを立てて生きていこう。正解か不正解か、他人がどう言うかの世界じゃない。自分が心から懸けたいと思えるものを見つけられればそれで良い。

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