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20240128 共同親権と片親阻害行為

 先日、「義両親との関係に関する研究」を探してもあまり出てこなかった件を書きました。それで本日ふと「同居」というワードで調べてみればいいではないかと思ってCiNiiで検索してみると…その数5204件…これは多すぎる。・゜・。(つД`)・゜・。

 適切な絞り込みワードも思いつかなかったのでこれは断念するか…と思ったところ、以下の論文が目に入りました。

青木 聡・小田切紀子・野口康彦・草野智洋 2023 同居親による片親疎外行為が子どもに与える影響. 大正大学カウンセリング研究所紀要, 46, 15 – 33.

 Twitter(現X)で最近、「共同親権」に関するニュースやそれに関する主張感想を見かけることが増えた気がします。
 共同親権に関する是非についてはいろいろな視点や意見があると思いますが、やはり最優先してほしいのは「子ども自身が望む形」だよなあと思っていて、でも「子どもの希望」には「親の意見」が無茶苦茶反映するよなあと思ってふと思い出したのが、非常に質の良い質問箱への回答をすることで有名なTwitter(現X)の中田さん(@paddy_joy)さんの回答でした。

https://x.com/paddy_joy/status/1746202940195705317?s=20

https://querie.me/answer/4pyiqvdRpJU2bhUp2r2E?timestamp=1705162199

いつも楽しくポスト拝見しております。父親と不仲のアラサー女です。中田さんの過去の質問回答に、父親と娘の不仲は夫婦仲の不仲が投影されているケースがほとんど、といった趣旨のものがありました。自分も両親の夫婦仲が悪化し始めた高校生頃から父親と仲が悪くなり(私が一方的に避けています)、今でも会うことや話すことはほとんどありません。自分も歳をとり、お父さんと仲良くしたいという気持ちがある反面、いざ目の前にするとストレスが高まり反射的に拒絶してしまい、実際会うとほとんど話しません。自分の努力が足りないことは百も承知ですが、母親から散々父親の悪口を聞かされて生きてきたので、母の呪縛はなかなかのものだな…と母のせい?にしている自分もいます…。(かといって母のことは好きで、今でもたくさん父の悪口を聞かされていますが、母を恨むこともできません)もっと歳をとって、自分にも子供ができたりすれば、ストレスなく父と話すことができるようになるのでしょうか。自分に子供が生まれたら、父にはおじいちゃん業をさせてあげたいな、という気持ちもあり、父との関係改善に取り組むのは自分に子供が生まれてから…あと数年後…などと先延ばしにしている自分になんだか嫌気がさします。私はこのままで良いのでしょうか。喝を入れてください。|新たな発想を生み出す質問箱 Querie.me いつも楽しくポスト拝見しております。父親と不仲のアラサー女です。中田さんの過去の質問回答に、父親と娘の不仲は夫婦仲の不仲が querie.me

 
 離婚して共同親権がない場合、やはり親権を持っている親のレンズを経てしか親権を有していない親をみることはできないよなあ…こういう状況は心理学的に説明が可能だと思うけれどもどのように説明されているのだろうと思っていたのですが、上の論文で「片親阻害行為(Parental alienation Syndrome)」というのかとわかり腑に落ちた気がします。
 で、先行研究についてまとめてある箇所をながめていると、海外では結構これまで研究がなされてきているけれども、日本では全然であることがまとめられており、確かにそうだなあと。

 同様の検討を本邦で行った研究として、以下の2本があるのもわかりました。
直原康光・安藤智子・菅原ますみ 2023 離婚後の父母コペアレンティングと子どもの適応の相互関係. 教育心理学研究, 71(2), 117 – 130.

柏木 舞・髙坂康雅 2022 親用片親疎外尺度(PASPJ)の作成と信頼性・妥当性の検討. 離婚・再婚家族と子ども研究, 4, 32 – 46.

 そういう意味では、Twitter(現X)で話題になるような国の動きがあるときは、やはり事前にそのような動きが出るような研究が既になされていて、そういう研究が出されたからこそ国も動いてきているのかもなあ…などと。
 片親疎外自体はgenerativityや義両親との関係に関する知見にはあまり関係ないのでこれ以上の深入りは避けますが、今後いろいろと注目されていく概念ではあると思うので日常的な関心として持っていきたいなと思いました。

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