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20230104 都市部vs.農村部という軸のみなおし ~都市祭礼の可能性~

 今日は時間があったのでCiNiiでの論文探しではなく職場の本棚をぼ~っと眺めてなんかいい本がないかを探してみました。自分で研究費を使って買った本については,全然読めてはいませんがタイトルぐらいは覚えているのに対し,図書館の除却本配布でもらってきた本はどんな本があるのかの記憶がほとんどないので,自分の本棚ですが宝さがし気分になれます。
 そんな中でぱっと目についたのが,滝本孝雄・鈴木乙史 (編) 1988 近隣社会の人間関係 (講座 人間関係の心理). ブレーン出版でした。

 この書名だと祭関係の記述もありそうだな~と思って読み進めると見事発見!
大石 昴先生が担当された「2 子どもを中心とした近隣関係 (2)地域の中の大人と子ども -富山県における調査から」に記述がありました。
 1986年前後に富山県西部の農村部と市街地で,大人の子どもの連帯とその崩壊に関して行われた調査データを元に記述されていました。
 「近所の子どもを叱ったこと」や「近所の子どもを叱ったことがあるし,自分の子どもも叱られたことがある」などの回答が農村部の方で多く,左義長や地蔵祭などの昔からの伝統行事や子ども会の行事(ハイキングやキャンプ,勉強会など)への参加への積極性も農村部の方が高いということが証明されていました。
 
 この調査から約40年たった現在,農村部と都市部の違いはどのように変化したのでしょうか?
 これは何の根拠もないのですが,おそらく「農村部はより都市部に近くなった。」であり,「都市部の中でも農村部の良さを取り入れた地域も存在している」のではないかなあと思っています。
 農村部の場合も少子高齢化の影響は避けられず,「子ども自体がいない。」状況で大人と子どもの連帯を保つことは困難だと思われます。その結果,この40年の間で農村部で行われていた伝統行事は衰退の一途であったと思われます。
 それに対して都市部に関しては,タワーマンションが建つだけで小学校を増やさないといけない事態になるなど,子どもの数自体はこの40年で増加しているところも多いと思います。そしてこの40年で都市部における都市祭礼は増えてきていると思われます。
 これらのことを合わせると「農村部の子どもより都市部の子どもの方が祭体験が多い。」という状況になっている可能性も否定できないのではと思います。となると逆に,「都市部で都市祭礼に参加して地域の人たちと接触している子ども」と「農村部で祭などがなくなりその他イベントなども少なくなり地域の人たちとの接触がないこども」という図式も出てくるのではないかと思えたりしました。
 このあたりについては一度丁寧に調査してみたいと思ってはいるのですが,社会調査などの知識に乏しくサンプリングの仕方などをどうすれば上記について検討できるのかが分かりかねているのも事実なのでなかなか実施に至れておりません。
 まあでも,もし上の様な状況が実際に起こっているのであれば,祭の存在意義は昔より増えていて,祭を心理学的に研究する意義も昔より増しているといえると思いますので,何とか頑張って検討してみたいと思います。

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