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2022年の失敗からの学び


2022年の5月以降ずっと体調の悪さに苦しみ、2022年はツールド沖縄はじめ失敗を積み重ねる一年となりました。

その原因を加齢、骨折の影響と一言で片付けることは簡単なのですが、それで終わらせると進歩がないので少し分析してみます。

骨折がパフォーマンスに及ぼす影響

私が負傷した骨折は、大腿骨の骨幹部が2箇所が完全に折れて、しかも皮膚から骨が飛び出す開放骨折ということで、かなり重たいものでした。

骨バキバキです。

折れた骨にはガンマネイルを入れて癒合を待つこと1年半ようやくほぼ癒合したと言える状態まで回復しました。

脚の骨の回復というのがほんとうに遅くて、最初の頃はレントゲン見るたびに遅々として治らない身体に絶望したものです。

骨折して1年半後にガンマネイルを引っこ抜く手術をやってもらいました。これを抜くか抜かないかは賛否両論ありますが、私の場合はガンマネイルを止めているスクリューが筋肉に当たっていたと思われ、大腿四頭筋の痛みを常に感じていたので、マグロドクターにも相談し抜く手術をすることにしました。
これは入れた病院(群馬)と抜く病院(京都)が違ったのでかなりの難手術になり、先生もネジが回らない状態に何度も諦めかけたそうです。

この太いものと悪さの原因のネジを取り出した。重さは120gくらいと軽量。

正直抜いて大正解だったと思っています。その後に大きな痛みはなく、普通にランニングができる体を取り戻しました。抜かなかったらランニングは一生できなかったと思います。


骨折の影響


骨折から半年後には普通にローラーにも乗れるようになりFTP近辺のパワーはほぼ元通りくらいになっています。同じく大腿骨骨折した方の数値を見ていてもL4くらいまでの影響はあまりないのではないかと思われます。

ただ短時間の瞬発系のパワーの低下はかなりあるのかなと思っています。

スプリントで1000w出すというのがかなり厳しくなったというのは事実としてあり、1分パワーは事故前は体重の10倍くらいでしたが、事故後は9倍いかないくらいが限界くらいになっています。

これについては、年齢的な衰えもあるので一概に骨折だけを原因にはできないですが、短時間スプリントなどの神経系も伴う動きはかなり鍛錬して戻す必要があるのではないかと思います。


血液は嘘をつかない


実は2022年は手術を何度もやった関係で、何度も術前検査で血液検査を行い、加えてマグロドクターにご協力いただいて何度か血液検査を行いました。
そして、これまでの血液検査のデータをすべてエクセルに落とし込み、パフォーマンスと血液検査の結果の因果関係について調査を行いました。

調べてみたのは赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、AST、ALT、中性脂肪、コレステロールの値。

ヘマトクリット値の推移

パフォーマンスと明らかな相関関係を示していたのが、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリットの数値。この3つの数値はグラフにして並べるとほぼ100%同じ傾向を示すので、今回はヘマトクリットの値を中心に確認します。

ヘマトクリット値の手元に残っているデータ推移を記録

上記グラフはヘマトクリットの値の推移。

パフォーマンスが良かった時のヘマトクリット値は有意に高いことがよくわかりました。

特に2021年の事故直前の春は紛れもなく人生最強状態であったと思います。この時のヘマトクリット値が48.1。

この時の生活を振り返ると、単身赴任で毎日自炊、基本は食事制限など一切せずに毎晩フルグラを食い漁る日々でした。(つまり栄養過多気味)

その直後に大事故で抹殺されて、脚は完全に破壊され、血液を大量に失い、おまけに肺塞栓症による生死を彷徨うという死の淵に立たされ、ヘマトクリットは瞬間的に33くらいまで下がります。この時は輸血なければ死んでました。

その後半年かけて回復し2021年12月にヘマトクリットは44.5まで回復し、なぜかFTPの絶対値としては人生最高を更新します。

一度完全にダメになっても半年かければ戻るということを証明できたかと思われます(笑)

再び体調悪化


2022年5月下旬から6月にかけて血尿が出始めて腎臓がおかしな兆候を表し始めました。
6月中旬に腎臓結石が尿管に詰まり水腎症となり完全に腎機能が低下していました。
6月下旬に手術するも、一度目は失敗に終わり、7月上旬の再手術でなんとか石の破砕に成功したものの、体調的なおかしさがここからずっと続くことになります。

7月7日の高山側の乗鞍ヒルクライムに出場したものの、腰痛も重なりまったく力が入らなくなり開始15分でもう無理と、ほぼリタイアのような走り。

この時に完全休養をしていれば回復していたのかもしれないのですが、このタイミングに低酸素トレーニングをするという取り組みをしたのが、さらに体調悪化に拍車をかけたと思われます。パワーが全くでなくなり、その原因が低酸素の影響なのか腎臓の影響なのか全くわからずでした。

いよいよこれはまずいと思い、8月の乗鞍直前に実はマグロドクターにお願いして血液検査をしていただきました。

レース4日前の検査では、ヘマトクリットは38.3と低酸素やれば通常上がるはずの数字がむしろ低下している始末。乗鞍ヒルクライムも開始15分250Wの平均アベレージでオールアウトして千切れるという史上最低のパフォーマンス。

ドクターに鉄剤を処方していただいたおかげか9月から10月上旬は少し体調が良い日もあり、少しパフォーマンスも改善。日によっては10分6.0倍くらいは出せる日があったりで、ヘマトクリットは42.7に回復して少し安心。

10月の失敗

しかし、10月中旬から調子があまりよろしくなく、この時には再びヘマトクリットは39.7に低下。この低下の原因はおそらく食事に問題があったのかと思われます。沖縄に向けてトレーニング量を上げる中で体重も減らそうとしたため体に過度のストレスがかかっていたのが原因かと思われます。

そこに追い打ちをかけるように10月最終週に家族全員がコロナに感染するという緊急事態。

私自身は発熱もなく、社会的な基準をすべて満たしうえで日常生活を過ごしていたものの、同居している以上、どんなに頑張っても影響を回避することはできませんでした。

心拍数は平常時から異常に高くなり、トレーニングもまったくパワーが出ないのにこれは異常かというような心拍数を乱発。心拍数とパワーの相関で示されるであろうVO2MAXの推計値が79→72に低下してしまいました。

ウィルスが身体に入り何らかの悪影響を及ぼしていたことは間違いなさそうで、沖縄までには何とかしたかったが、結果的には結局間に合わなかったという感じになりました。

表面的には発熱などの大きなダメージはなかったものの、極限状態で争う競技においてはこの僅かなダメージが命取りになり、パフォーマンス低下の一因になったかと思われます。

沖縄のパフォーマンスは自分でもこりゃダメだわと自覚するほど走れていなかったのは事実で一年間を棒に振ってしまいました。
そして、沖縄直後の手術時の血液検査のヘマトクリットは37.5。

これはレース前に暑熱訓化などの負担や食事制限などが相当影響していると思われ、体調管理は完全に失敗に終わってしまいました。

ツールド沖縄2022の直前失敗


2022年のツールド沖縄は15位で過去最低のリザルト。ただの加齢による衰えだろうと片づけてしまいたいところですが、改めて振り返ってみると色々な失敗が重なってしまいました。

前述の直前のコロナは子供起因なので親として回避し得るものではなく、これはアンラッキーとしか言いようがありません。

暑熱訓化の失敗

そして、実は前日に全く寝られないという失敗をやらかしました。
これには原因があって沖縄の気候に身体を慣らそうとしてレース2日前に沖縄入りしてから冷房を使わずに生活したことが大失敗でした。

今はガーミンで体調を管理しているので、自分の体のストレス状態が一目でわかるようにしていますが、あの時もしガーミンをつけていたら高ストレス状態が2日続きボディーバッテリーは激減していたと思われます。

沖縄の暑さで普通に部屋の中にいるだけで汗が止まらなかったり、夜がまったく寝付けず、少し仮眠程度の状態で朝を迎えてしまったという最大の失敗。

結局、体調がレース中も思わしくなく、補給の失敗やコロナの影響なども重なり後半に力が入らなくなり千切れてしまうという失態をやらかしました。

沖縄の暑熱訓化は何年出場してもかなり手ごわい関門ですが、そのために無理をすると逆に当日の朝に最低の状態で迎えてしまうということになります。

間違いなく言えることは、レース3日前からは体にかかるストレスはほぼなくして回復にすべてをかけたほうが絶対良いです。沖縄に入って熱いと感じたら極力部屋を快適なコンディションにして過ごすようにしましょう。
暑さ対策は大事ですが、直前に無理してやるものではありません。

暑熱訓化は室温高くしてローラー漕いだりしますが、扇風機をつけないなどすると異常な発汗量になりTSSには現れない体へのダメージがかなり大きくなります。やるならほどほどに27度くらいの室温で30分から1時間程度を数回で良いと思います。
余談ですが、私は4本ローラーのピストバイクで暑熱訓化を2時間やった挙句に大量の汗でタイヤがスリップして、急にグリップを失い室内で落車して直前で怪我をするというあほなことをやらかしました。


まとめ


出場するからには少しでも上のリザルトを望むのが人の心ですが、気合いを入れ過ぎて色々無理をすると碌なことにならないというのが私の経験です。
特に厄年を過ぎたおっさんの体の回復力は間違いなく弱っているので、直前は休み過ぎかなと思うくらい休んでレースに挑んで丁度良いかと思います。

塩抜きとか、糖質制限とか、大体慣れないことを直前にやると失敗します。特に体重を無理に減らそうとすると大体体力を失い最後まで持ちません。
4時間から6時間走るなら食べすぎなくらい食べておいて丁度良いです。前述のとおり血液の状態は良くなります。(ただ、食べるものの内容にはこだわってくださいね)
私が比較的、後半たれないほうなのはたくさん食べるのも一つの要素かと思っております(笑)。

また飲みなれないサプリやダイエットに良い食べ物を聞いて直前に食べるのはほとんど意味がないので止めましょう。

高いエントリー費と旅行代払っていくなら自分の力を100%出したいですよね。

であれば、周りに迷わされずにいつも通りの自然体で行くのが一番リザルトにつながりますよ。

あと、コロナ感染だけは避けたいので世の中の「もう関係ないやん」的な雰囲気に飲まれないように体調管理したいところです。















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