松千代

それっぽいことをやっているフォトグラファーです。 https://matsuchiyo…

松千代

それっぽいことをやっているフォトグラファーです。 https://matsuchiyo.jp/ https://www.instagram.com/matsuchiyo8823

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  • 小説

    不定期で小説を書きます。

記事一覧

鬼になってしまった人に

何がトリガーになるかわからないな。強いて言うならば、そんな世界なぞ知らないに越したことはなかったと思うばかりの日だった。 東京の通勤ラッシュに見舞われたのは4年…

松千代
6時間前
6

たまごタルタルのチキン南蛮炒飯

今日は暑い。お腹が空いたから近所のドラッグストアにお弁当を買いに行った。かつ丼弁当がいいなぁ。そう思って行くとエビフライ弁当しかない。僕はエビが苦手だ。困っちま…

松千代
8日前
5

誰が思い出を遮るのか

GW中、旅をしていたら父親から母親の緊急入院の連絡がありまして、しかも大腿骨骨折で緊急手術という何とも痛ましい。 手術は無事成功し、母親はもう歩行器で歩いているら…

松千代
2週間前
4

二話【それぞれの行き先】

「驚いていない様子だね。ここに来るの何回目?(笑)」 大男が少年に問いかける。 「え、いや、1回目だと思いますけど。そんな何回も来れるところなんですか?」」 「…

松千代
4週間前
1

一話【ようこそ黄泉の国】

少年はどうしてかそこに並んでいた。 淡いピンクの空に大蛇みたいに伸びた人の列の中腹に少年はいた。 「お兄ちゃん、ここがどこだかわかるかい?」知らない世界の知らな…

松千代
1か月前
4

窓際にいる人

半年の眠りから覚めたので、以前までのいつも通りの生活に戻ったある日、その人と出会った。 白か黒しかないこの世界で、その人はその色すら持たせてもらえない透明な人だ…

松千代
1か月前
3

モロヘイヤってすげえ名前だなぁ

モロヘイヤってなんなんですかね モロヘイヤって口に出すほど「なんなんだお前?」感ありませんか? 急にその事実に続いて眠れなくなってしまった。 とりあえずググってみ…

松千代
1か月前
2

未来を撮ってる

最近はとりあえずスマホでパシャパシャ写真を撮ってます。 家の近所の同じところとか撮ってます。 でもひと月もするとそのどれかはなくなってたりして、あーあなくなってし…

松千代
2か月前
4

預かりますよ

あげるつもりだったんだけどなぁ 中学の時に最初に買ったギターはYAMAHAのエレキギターで、結構悩んで選んだRGXA2という機種でした。本当はレスポールが良かったのですが…

松千代
2か月前
3

タイトルが思いつかなかった

たぶんこういう時は直接語りかけられるより、なんとなく自分のことかもしれないってくらい遠い場所から声をかけられた方がスッと心に響くよね。 そのうちこれに気づいて読…

松千代
3か月前
3

みなもに映るのが星空であって欲しい

汚れた日本庭園の池は、ゆらめく木々から漏れる木漏れ日で照らしても酷い醜態を晒している。波たつ水面に映る世界は絵の具を混ぜたように混沌としていた。 風が止むと、水…

松千代
4か月前
2

頑張れない時

新年早々何かを拗らせずっと寝込んでいるのですが、ただ焦るだけの日々。寒さも追い風となって気分がどんどん落ち込んでいきます。 やらなきゃいけないことと不安がどんど…

松千代
4か月前
4

ぼくは4ばんめ

ぼくはね〜保育園で4ばんめに足がはやいんだよっすごい〜? 4歳の甥っ子はいつも自分がしたことを僕に伝えてくれるのですが、大体褒めてもらいたいようです。何が微笑まし…

松千代
4か月前
2

1時間経ってもまあるいほっぺ

甥っ子が字を書く練習をしていました。 最近はタブレットで勉強するんですね。 「ママへ手紙を書く」 おお、書け書け。何書くんだろう?と見ているとややっ! ほっぺ丸!…

松千代
4か月前
2

二眼レフはあの日の視点

趣味でフィルムカメラを使っているんですけど、最近頻繁に使っているのがこの二眼レフカメラ。このカメラは上部にファインダーがあってそこをパカってするとレンズの先の景…

松千代
4か月前
1

あいつは面白いと言う

2023年は、多分調子の良い年だったと思います。色々ありましたが、フォトグラファーとして生計を立てることができました。 旧友のクマガイユウヤというギタリストがいるん…

松千代
4か月前
25

鬼になってしまった人に

何がトリガーになるかわからないな。強いて言うならば、そんな世界なぞ知らないに越したことはなかったと思うばかりの日だった。

東京の通勤ラッシュに見舞われたのは4年ぶりだと思う。町田から浅草までの道のりだったが、6時半に友人の家を出たのに着いたのは9時だった。確か満員電車を避けたいから、という理由で早起きをしたはずだったがおかしい。私達は何故か、振り向けば至近距離に人の顔がある空間に鮨詰めになってい

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たまごタルタルのチキン南蛮炒飯

たまごタルタルのチキン南蛮炒飯

今日は暑い。お腹が空いたから近所のドラッグストアにお弁当を買いに行った。かつ丼弁当がいいなぁ。そう思って行くとエビフライ弁当しかない。僕はエビが苦手だ。困っちまった。お、何だこの長いタイトルのお弁当は!
たまごタルタルの〜、、、長え!これでいいや。

レジは白髪のお婆さまの後ろに並んだ。彼女が振り返って僕の手元を見る。
彼女はニコッと笑って
「先どうぞ」

僕は戸惑って応える。
「いやいや、良いで

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誰が思い出を遮るのか

誰が思い出を遮るのか

GW中、旅をしていたら父親から母親の緊急入院の連絡がありまして、しかも大腿骨骨折で緊急手術という何とも痛ましい。
手術は無事成功し、母親はもう歩行器で歩いているらしいのですが、そんな母親から電話が来た。

ん?通学団があるよな?と思いつつ聞いてみると

しかも、連絡網が機能しておらず、小学一年生の甥っ子は集合場所に行っても誰もいないことで焦り家に帰ってきたことがあるそうだ。
ここで、この子が家に帰

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二話【それぞれの行き先】

二話【それぞれの行き先】

「驚いていない様子だね。ここに来るの何回目?(笑)」
大男が少年に問いかける。

「え、いや、1回目だと思いますけど。そんな何回も来れるところなんですか?」」

「いや、なんでもない。ところで少年よ。名前が欲しくないか?そのままじゃここで生きていくのに困るだろう。」

「生きていくって(笑)僕はもう死んでるんですよね?おじさん変なこと言いますね。じゃあ死ぬってどういうこと。」
少年は率直に聞いた。

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一話【ようこそ黄泉の国】

一話【ようこそ黄泉の国】

少年はどうしてかそこに並んでいた。
淡いピンクの空に大蛇みたいに伸びた人の列の中腹に少年はいた。

「お兄ちゃん、ここがどこだかわかるかい?」知らない世界の知らない男が、振り返って聞いてきた。

「ん〜、わからないしおじさん誰?」
少年が答えると男は目を丸くして言った。

「なんで敬語を使わないんだ!全くどういう教育を受けているんだ、目上の人にはなぁ.....」

あまりにも非現実な景色の中、あま

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窓際にいる人

窓際にいる人

半年の眠りから覚めたので、以前までのいつも通りの生活に戻ったある日、その人と出会った。

白か黒しかないこの世界で、その人はその色すら持たせてもらえない透明な人だった。誰もその人を気にも留めない、ただひたすら過ぎ去る中に取り残されたその人は窓際にいた。

私だってそうだった。
真っ黒に染まりそうな世界で色を失ったひとりだった。

何を見たら良いか忘れた私は、窓際のその人にあてがわれた。
虚空を見つ

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モロヘイヤってすげえ名前だなぁ

モロヘイヤってなんなんですかね
モロヘイヤって口に出すほど「なんなんだお前?」感ありませんか?

急にその事実に続いて眠れなくなってしまった。
とりあえずググってみるとアラビア語!?
モロヘイヤってアラビア語が語源らしいです。

和名はシマツナソ、またわけわからん名前が出てきた。
ツナソってなんなんですかね。
そもそもモロヘイヤってどんな味でしたっけ。

マリク!?今度は遊戯王の話になってきました

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未来を撮ってる

未来を撮ってる

最近はとりあえずスマホでパシャパシャ写真を撮ってます。
家の近所の同じところとか撮ってます。
でもひと月もするとそのどれかはなくなってたりして、あーあなくなってしまったと思うんです。
撮ってる最中はそれが無くなることなんて考えてないから、次がある前提でそれを見てたんだなぁと気づくんです。

甥っ子を撮ってる時なんかは常に先のことを考えてたりします。
小学校、中学校、その辺りまで撮らせてくれるのかな

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預かりますよ

あげるつもりだったんだけどなぁ

中学の時に最初に買ったギターはYAMAHAのエレキギターで、結構悩んで選んだRGXA2という機種でした。本当はレスポールが良かったのですが、どうしてもレスポールならGIBSONしか受け入れられないし、かといって学生が買えるような代物ではないので、妥協に妥協を重ねて買いました。偉そうなことを言ってますが、ずっと貯めていたお年玉で買ったので実質両親のお金ですね。
スト

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タイトルが思いつかなかった

たぶんこういう時は直接語りかけられるより、なんとなく自分のことかもしれないってくらい遠い場所から声をかけられた方がスッと心に響くよね。
そのうちこれに気づいて読んでくれると思って書きます。

何やら死にたくなったんだってね。
よく話してくれました。結構勇気のいることだと思います。こんな理不尽な世の中だから、当たり前だよって思う。大袈裟だよって周りは言うけど、想像もしてなかった酷い事は、引き当てた人

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みなもに映るのが星空であって欲しい

みなもに映るのが星空であって欲しい

汚れた日本庭園の池は、ゆらめく木々から漏れる木漏れ日で照らしても酷い醜態を晒している。波たつ水面に映る世界は絵の具を混ぜたように混沌としていた。

風が止むと、水面は煌めき始めた。

そこには天の川があった。
少しの願いだった。みなもに映るのが星空だったら、と。

頑張れない時

新年早々何かを拗らせずっと寝込んでいるのですが、ただ焦るだけの日々。寒さも追い風となって気分がどんどん落ち込んでいきます。
やらなきゃいけないことと不安がどんどん頭の中で増大していき、脳内のキャパシティを埋め尽くすので、何も感じません。

自分が今どんな心理状態なのかわからないのです。そう、例えば小指をぶつけた時は痛いと思いますよね。お皿を割ったら悲しいとか。宝くじが当たったら嬉しいとか。

脳内

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ぼくは4ばんめ

ぼくはね〜保育園で4ばんめに足がはやいんだよっすごい〜?

4歳の甥っ子はいつも自分がしたことを僕に伝えてくれるのですが、大体褒めてもらいたいようです。何が微笑ましかったというと自己分析ができている点です。それと同時に自分が4番目だということをわかった上で、ポジションに満足しているというのは学ばされるところもあります。
こういう時って、じゃあ次は3番になろうか?とか、どうやったら1位になれるかな?

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1時間経ってもまあるいほっぺ

甥っ子が字を書く練習をしていました。
最近はタブレットで勉強するんですね。

「ママへ手紙を書く」
おお、書け書け。何書くんだろう?と見ているとややっ!

ほっぺ丸!!!
なんかもぐもぐしてるし、この境界線の曖昧な曲線が心を癒してくれる。
必死に書いているのを他所にずっとほっぺをムニムニしていると、少しずつ少しずつ文章ができていく。

結構長えなっと思っていると
え、なんかすごい泣けること書いてな

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二眼レフはあの日の視点

二眼レフはあの日の視点

趣味でフィルムカメラを使っているんですけど、最近頻繁に使っているのがこの二眼レフカメラ。このカメラは上部にファインダーがあってそこをパカってするとレンズの先の景色がワッと見えるんです。

それでこのカメラってウエストレベルって言うんですけど、上から覗くからどうしても視点が腰の高さくらいになるんですね。
そうすると大体小学校低学年くらいの目線になるわけです。
大人を覗くようなもんなら見上げることしか

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あいつは面白いと言う

2023年は、多分調子の良い年だったと思います。色々ありましたが、フォトグラファーとして生計を立てることができました。
旧友のクマガイユウヤというギタリストがいるんですけど、この男とは毎年年末に遠出をするのが昔からの慣わしで、しかもだいたいどちらかが落ち込んでいます。
その理由は様々で、おおよそは金銭面にかかるものがほとんど。
だがしかし、しかし!2023年は違った。
2人とも普通を迎えられたのだ

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