見出し画像

【EDH/統率者戦】なぜデッキにコンボを搭載すべきなのか

はじめに

統率者戦のデッキ構築指南ではよく「勝ち手段にコンボを採用しろ」と言われる。

その理由としてよく挙げられるのが「対戦相手が複数いるのでまとめて倒せるほうが効率がいいし勝率も上がるから」というものだが、実際にはそれ以外にもコンボを採用すべき理由は複数あると私は考えている。

今回はなぜ統率者戦のデッキに速やかにゲームを終わらせられるコンボを入れるべきなのかを解説していきたい。

なぜデッキにコンボを搭載すべきなのか

①ひとりだけ殺されたプレイヤーが手持ち無沙汰になる

デッキに即死系コンボを採用すべきもっとも大きな理由として私が考えているのがこれであるため、真っ先に説明しておきたい。

誰かがコンボでゲームそのものに勝利するのであれば「じゃあもっかいやろうか」と即座に次のゲームを始めることができるが、ひとりだけが離脱するパターンだと負けたプレイヤーはゲームを眺める以外にやることがなくなってしまう。

すぐに決着してくれるのであれば別に構わないが、もしこれが長いターンをかけて1人ずつ倒すプランしか搭載していないデッキ同士の対戦で起こった場合、負けたプレイヤーはゲームをプレイしている時間よりも待機時間の方が長いといった現象が起こることもある。
統率者戦の『観戦』ではなく『対戦』をしたいプレイヤーにとってはたまったものではないだろう。

「即死コンボで勝負が決まってしまうようなゲームはつまらない」と言われることもあるが、だからといって「戦闘で殺されたはいいもののそれ以降まったく終わる気配がないゲームを眺めるだけ」が面白かろうはずもないのだ。

「それもまたEDHだよ」と受け入れられる人もいれば「そんな卓では絶対やりたくないよ」と思う人もいるだろう。

そしてその両者の価値観をすり合わせるために「即死コンボを搭載したデッキがコンボの成立を自重してロングゲームにする」ことはできても「即死コンボを搭載していないデッキが速やかなゲームエンドを狙う」ことはできない。

このような事態を防ぐためにも私はデッキレベルの高低を問わず即死系コンボやそれに近いプラン(とコンボ成立確率を上げるためのサーチカード)の搭載を推奨している。

②ひとりずつ倒すプランはそのまま勝ちきれる可能性が低い

効率の良さ以前の問題として、《Helm of Obedience》と《虚空の力線》を使ったライブラリーアウトコンボだとかパワー21以上に育てた統率者で殴ってダメージ勝ちといった『そのままでは対戦相手を1人だけしか倒せないデッキ』が他のプレイヤーにターンを回してそのままゲームに勝利しきることはあまり多くない。

再びターンを回したら次に殺されるのは自分かもしれない状況下においては他のプレイヤーは自分が勝つために温存していたサーチやコンボパーツを駆使してでも除去を撃ったり戦場をリセットして死なないようにするためだ。

例えば《汚れた契約》は基本コンボカードだが、負ける可能性があるのなら仕方なく除去に変換するといったケースはしばしば発生する。

結果としてゲームが一からやり直しになってしまい、一連の流れで失ったアドバンテージを取り戻せずに負けてしまうといったことが起こりがちだ。

「一人でも殺せれば充分だ」と満足できるならまだいいが、もし「ゲームに勝ちたい」と思ってデッキを組んだのならこれは悔しい結果だろう。

なおこれは余談だが、ゲームに勝利可能なコンボでも事前準備が必要なタイプのものは同じ現象を引き起こしやすい。

《隠遁ドルイド》を出してターンが返ってくればデッキ全切削。
《献身のドルイド》を出してターンが返ってくれば無限マナ。
無限トークンを用意してターンが返ってくれば無限ダメージ。

対戦相手に対処の時間を与えることはそれだけ勝利できる確率を下げるのである。

③コンボが入っていないことが他プレイヤーを楽にする

《タッサの信託者》+《Demonic Consultation》コンボを筆頭に、現在の環境で主な勝ち手段とされるコンボは盤面での事前準備を必要とするものがほとんどない。
十分量のマナさえあればいつどこから即死が飛んできてもおかしくないのが現代の統率者戦だ。

例えばプレイヤーA、B、Cが対戦していて、Aはまだ勝ちそうにもないがBは序盤から高速でマナ加速をしていて次のターンにコンボが始動してもおかしくない、というようなケースではCは自身の展開を少し控えて妨害用のマナを準備しておくことが多い。

しかしここでBのデッキに即死コンボが入っていないことが明白だったらどうだろう。
Cはわざわざ妨害用のマナを準備する必要がないので全力で展開しても構わなくなる。

あるいは《リスティックの研究》や《Mystic Remora》《息詰まる徴税》といった妨害エンチャント影響下でも同じことが言える。
いくら手札やマナを与えても即死コンボにつながらないのであればある程度ドローや宝物の生成をさせることが許容され、対戦相手の動きが阻害できなくなってしまう。

MTGアリーナや店舗大会での対戦では相手のデッキ内容がわかるケースは少ないが、私の場合は統率者戦を友人やショップの知り合い相手に同じデッキで何度もプレイすることの方が多いので「どうも相手のデッキに即死は入ってないっぽいぞ」と判明することが結構ある。
また大会等で知らない人とプレイしていても《敵対工作員》等による相手のデッキのサーチで判明することもあるだろう。

このような事態を避け「対戦相手にとっての脅威」でいるためにもコンボの搭載は必要だ。

最後に

遍くEDHの記事で先人たちが言っているように「統率者戦は対戦相手が3人いるので勝つためにまとめて倒す手段(≒即死コンボ)が必要」というのは半ば常識となっているが、勝つためだけではなくゲームの進行を円滑にするためにも即死系のコンボは役立つ。

「俺は即死コンボが嫌いだから何が何でも戦闘で倒すぜ!」という人もいるかもしれないが、そういう主義ならそういう主義なりに追加ターン呪文だとか追加戦闘呪文といったポリシーに反さない要素を加え、可能な限り速やかに全員を倒せるようにすべきであろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?