【個人的EDHおすすめカード紹介】波乱の悪魔

最近はあまり紹介したくなるような面白いデッキが組めていないので趣向を変えてカード単体を紹介することにした。

といっても《リスティックの研究》とか《息詰まる徴税》みたいなド定番カードを紹介しても仕方がないので、多くのプレイヤーに「統率者戦向け」と知られたカードとはちょっとズレたあたりを攻めていこうと思う。

かつてラヴニカの献身～エルドレイン期くらいにスタンダードをやっていた人、あるいは現役でパイオニアをやっている人にはおなじみのカードかもしれない。

・波乱の悪魔

プレイヤーがパーマネントを１つ生け贄に捧げるたび、クリーチャー１体かプレインズウォーカー１体かプレイヤー１人を対象とする。波乱の悪魔はそれに１点のダメージを与える。

なるほど《波止場の恐喝者》と組み合わせて盤面を壊滅させたり無限宝物コンボで勝つカードなんだなと思った人は統率者戦慣れしているが、まだ甘い。

いや、確かに《波止場の恐喝者》との相性は特筆すべきだ。
実際他のカードと組み合わせてコンボに入り、そのまま勝つこともある。
しかし、だからと言って波止場を引くまではコンボの相方として手札に大事に抱えておくようなことはほとんどしない。自分の盤面に生贄エンジンがひとつもなくても3ターン目に平然とプレイしてそのままターンを渡したりする。

なぜなら、このカードはメタカードだからである。

・なんのメタカードなのか

「誰かが何かを生贄に捧げたらなにかに1点飛ばすだけ」というのはメタカードと呼ぶには一見すると些細な能力に思える。というよりなにも禁じていないのでそもそもメタカードにすら見えない。

自前で生贄エンジンを用意するデッキならともかく、3ターン目の無人の盤面に《波乱の悪魔》を着地させたプレイヤーが一体何をできるというのか。

私は何もしない。他のみんながするのである。

あなたがただ土地のプレイをするだけで対面のラガバンが焼けますよ？あえてフェッチランドを置いてみてはどうですか？

《フェアリーの黒幕》が2枚目のドローに反応して困っていますか？
生み出されたマナに使い道はないかもしれませんがそのペタルを割ってみては？

上家と下家のあなたたちが1個ずつ宝物を割ったら戦闘中にティムナが盤面から消えるのですがここはひとつ共闘といきませんか？

《波乱の悪魔》をプレイするとこういった政治的やり取りが幾度となく発生する。多人数戦だと波乱の悪魔を出された側も上手に使えば自分以外の妨害ができるのだ。

結果的にタフネスが小さくみんなから嫌われる生物はほぼ生存が許されない状況が誕生する。言うなればヘイトベアーメタだ。
更に言うとタフネスが1のクリーチャーなんかは誰にも何も迷惑をかけてないのにただフェッチを切ったからという理由だけで死んでいくことになる。
マナクリーチャー頼りの緑デッキ使いは露骨に嫌な顔をすること請け合いである。

この「他人と協調する波乱の悪魔」はスタンダードやパイオニアのラクドスサクリファイスでは決して見られない、統率者戦特有の強みと言える。

一見共闘してると見せかけて波乱の悪魔側は何もリソースを吐き出していないのもポイントだ。他人にだけ宝を割らせて他人の生物を焼く人間の屑の誕生である。

また「無限宝物」「無限手がかり」系コンボの抑止力になっている点も見逃せない。目に見えていないだけで実は誰かの勝利を止めていることもある。

・どんなデッキに採用すべきか

何かを生贄する系能力の絡んだ統率者で採用できればベストだが、赤黒デッキならとりあえずで採用しても問題なく仕事をしてくれる。
上述したように誰がどんなパーマネントを生贄にしても誘発する関係で、わざわざ相性の良いカードと組み合わせなくても勝手に他人と協調し始めるためだ。

あるいは単純に《波止場の恐喝者》と合わせて出して盤面を一気に掃除するだけでもかなりのパワーを感じられるだろう。
コンボと呼ぶのもおこがましいが、純粋に波止場と相性がよすぎるのでただ単に強い。

青いデッキが割と何も考えずに《リスティックの研究》をデッキに入れるのと同じように、最近の私は赤黒系のデッキを組むと特に何も考えずに《波乱の悪魔》を入れることが多い。それくらいのお気に入りカードだ。